街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の28歳のウスラーダ (Услада)、出産ならず

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ウスラーダ (Белая медведица Услада)
(2015年9月22日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園は同園における「国際ホッキョクグマの日(International Polar Bear Day/Международный день белого медведя)」の催し物を2月27日ではなく翌日28日の日曜日に行いました。そしてその日に同園で飼育されている推定27歳の雄のメンシコフと現在28歳となったばかりの雌のウスラーダが登場しました。その様子を現地のTVニュースでご覧いただきたいと思います。最初のニュースでは、初めに登場しているのはメンシコフ、そして1分20秒あたりから雪の上で体を転がしているシーンから登場しているのがウスラーダです。最後にまたメンシコフが登場しています。



次はその前日の2月27日土曜日のウスラーダの様子を伝える地元のTVニュース映像です。



(*追記 - もう一つご紹介しておきます。)



当代最高のペアとして世界のホッキョクグマ界の頂点に君臨しているこの雄のメンシコフと雌のウスラーダのペアですが、この「国際ホッキョクグマの日」のイベントにウスラーダが登場したということは、昨年暮れの出産シーズンには繁殖に成功しなかったということを意味します。このペアの間で約20年間以上にわたって16頭の繁殖に成功し、そして2013年12月6日に誕生した個体(つまり雌のザバーヴァ - 現在イジェフスク動物園で飼育)が、おそらくこの世界最高のペアの間に誕生した最後の個体となる可能性が極めて強くなったことを意味しています。
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ウスラーダ (2015年9月22日撮影 於 レニングラード動物園)

Uslada(Услада) the polar bear in contemplation(1) at Leningrad Zoo, St.Petersburg, Russia (Sep.22 2015) - youtube

Uslada(Услада) the polar bear in contemplation(2) at Leningrad Zoo, St.Petersburg, Russia (Sep.22 2015) - youtube

ウスラーダは昨年彼女が27歳の時点で繁殖が期待され、仮に成功していれば28歳での成功となっていたはずで、これはホッキョクグマの雌の繁殖可能年齢のデータから言えば実に驚異的な記録となるところでした。私は昨年9月にサンクトペテルブルクで2回、同園を訪問し終日ウスラーダと向かい合ってきましたが、彼女自身の次の出産への「決意」といったものには全く衰えが無く、今回も母親となるべき心構えが十分であるといった態度と表情でした。しかしさすがに彼女も27歳という年齢ではやはり出産は難しかったのでしょう。実は昨年12月中旬頃に現地から聞いていた話ではまだ出産が無いということでしたので、私も今回は難しいだろうとも考えていました。
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ウスラーダとザバーヴァ(Белая медведица Услада и медвежонок Забава)(2014年5月3日撮影 於 レニングラード動物園)

こうして「ウスラーダとメンシコフの時代」の繁殖成功の輝かしい歴史は、現役の繁殖を狙うペアという意味に限定するならば終焉を迎えたと言ってよいのかもしれません。私自身は2012年の秋に彼女が前年の11月に産んだ雄のロモノーソフをもって彼女の最後の繁殖成功となるかもしれないと思っていたものの、さらに2013年12月に彼女自身にとって16頭目の子供である雌のザバーヴァの出産に成功した時には本当に信じられない気持ちであり、ウスラーダがまた素晴らしい宝物をこの世にもたらしてくれたと彼女に感謝したわけでした。日本においては彼女と血の繋がりのある個体は何頭も飼育されています。ウスラーダの息子である仙台のラダゴル(カイ)、静岡のピョートル(ロッシー)、彼女の孫である大阪のシルカと旭川のイワン、彼女の姪である静岡のヴァニラといったところです。姫路のルトヴィク(ホクト)、白浜のクライ(ゴーゴ)はメンシコフとは血の繋がりがありますがウスラーダとは血縁はありません。
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ウスラーダが2002年に産んだ三つ子であるセードフ司令官、ベーリング、マリーギン Photo(C)Ленинградский зоопарк

このウスラーダについては稿を改めてまた述べたいと思いますが、ともかくこの偉大なホッキョクグマに対して心からの感謝の気持ちを捧げたいと思っています。2010年春(サイモンとサムソン)、2012年秋(ロモノーソフ)、2014年の春と秋(ザバーヴァ)と三度も彼女の育児の姿に接することができたのはホッキョクグママニア冥利に尽きると思っています。これらは私の「ホッキョクグマ体験」の頂点の一つであり、そして決して忘れえない貴重な体験でした。ウスラーダはその出産の有無にかかわらず、これから何度も会いに行くつもりです。偉大なホッキョクグマに対する私の賛辞は、たとえ彼らが繁殖の舞台から引退しても全く変わらないのです。

(資料)
Life 78 (Feb.28 2016 - Белым медведям в зоопарке устроили праздничный рыбный ужин)
ГТРК "Санкт-Петербург" (Feb.27 2016 - В Ленинградском зоопарке отметят Международный день полярных медведей)
Ленинградский зоопарк (Афиша / Мероприятия - Feb.20 2016 - 28 февраля в Ленинградском зоопарке пройдет мероприятие «Международный день белого медведя»)
Сайт газеты Metro (Feb.24 2016 - В Ленинградском зоопарке 28 февраля отпразднуют День белого медведя)
Актуальные новости Санкт-Петербурга и мира - Информационное агентство <<Телеграф>> (Feb.24 2016 - День белого медведя отметят в Ленинградском зоопарке)
Фонтанка.Ру(Feb.16 2016 - В Зоопарке отметят День белого медведя)
"Reproductive trends of captive polar bears in North American zoos: a historical analysis" (2015)
"ANURSUS:A POPULATION ANALYSIS SYSTEM FOR POLAR BEARS (Ursus maritimus)" (1987)

(過去関連投稿)
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(*2015年9月レニングラード動物園訪問記)
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by polarbearmaniac | 2016-02-29 21:30 | Polarbearology

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