街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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エストニア・タリン動物園、ホッキョクグマたちの「国際ホッキョクグマの日」~ 苦悩が続く同園

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フリーダ(左)とノルト(右) Photo(C)Maaja Kitsing/Õhtuleht

バルト海に面した小国エストニアの首都タリンの動物園で2013年11月24日にフリーダお母さんから誕生した雌のノラ(Nora)については、その誕生から成長を追い続けたわけですが、その過程の中で同時にこのタリン動物園が直面した問題、つまり新ホッキョクグマ飼育展示場の建設計画とその資金調達の問題にも触れてきました。この整備された新しいホッキョクグマ飼育展示場の建設という問題はロシアの地方都市の動物園にいくつもあるわけで、たとえばクラスノヤルスクペンザや、ハバロフスク、ユジノサハリンスクといった都市のようにすでに計画中が計画が実行に移されている都市や(ハバロフスクは完成済)、サンクトペテルブルクやペルミやカザンのように動物園全体が移転・新設されることに伴ってホッキョクグマの飼育展示場が広くて整備されたものになるといったケースといった二通りがあるわけですがタリン動物園の場合は前者にあたります。
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ノラ Photo(C)Maaja Kitsing/Postimees

しかしこのタリン動物園に特徴的なのは、ホッキョクグマの飼育展示の継続というもののなかに繁殖といったものを強く意識し、そして自園で2013年に誕生した雌のノラに対する愛着の深さによってノラを引き続きタリン動物園で飼育し続けようという強い気持ちに支えられているといった点がみられるということです。ここで1964年以来のタリン動物園のホッキョクグマ飼育の歴史を映像にしたものがありますのでご覧いただきましょうか。歴代の同園のホッキョクグマたちが登場しています。特に開始後6分20秒あたりからのフランツヴァイダのペアは有名でした。それから御注目いただきたいのは開始後7分15秒あたりからの静止画なのですが、これは鍵の閉め忘れによってフランツが飼育展示場の外に出てしまったという2007年月の事件の写真ですね。彼を捕獲しようと発射した麻酔銃によってフランツは悲劇的な死を遂げるわけです。これについては以前の投稿である「エストニア・タリン動物園の気骨のホッキョクグマ、フランツの非業の死 ~ 待ち望まれる新施設 」をご参照下さい。



このタリン動物園でも2月27日の「国際ホッキョクグマの日」が祝われました。今年のイベントはエストニア全国単位での子供たちの絵画コンテストの開催にあったようです。ホッキョクグマに関連した題材で4月22日までが応募期間だそうです。こういった絵画を通してホッキョクグマの置かれている現状を考えるきっかけにしてもらうと同時に、タリン動物園の新飼育展示場の必要性についても理解してもらいたいということのようです。地元TVのニュース映像をご紹介しておきます。ノラ、そしてノラの両親である雌のフリーダ(13歳)と雄のノルト(14歳)の姿も映っていますが、新飼育展示場の概要も紹介されています。



次の映像は昨年11月のものですが、園長さんがインタビューに答え、さらにタリン動物園の現在のホッキョクグマ飼育展示場の概要がバックヤードの様子も含めて紹介されています。来年中(つまり今年2016年中)に新施設の建設が開始されないとタリン動物園はホッキョクグマを失ってしまうと園長さんは語っているようです。つまり現在は設計は完了したものの依然として資金不足で建設会社に発注できていない状況のようです。しかし現在同園で飼育されているこの三頭のホッキョクグマの権利は全てタリン動物園にあるはずで、最終的にはその権利を盾にとって現在の飼育展示場の環境の悪さによるホッキョクグマ飼育の継続を外部の力によって断念させられることはないはずです。しかしそうなると(つまりタリン動物園がホッキョクグマの所有権を前面に立ててEAZAなどの外部の力に抵抗した場合)、ノラのパートナーの獲得は非常に難しくなるという面は否定できないでしょう。



苦悩続くタリン動物園にとって「国際ホッキョクグマの日」とは、新施設建設資金寄付の呼びかけの日でもあったようです。

(資料)
Postimees (Mar.2 2016 - Tallinna loomaaed kuulutas välja joonistusvõistluse)
ETV (Feb.27 2016 - Tallinna loomaaed tähistas rahvusvahelist jääkarupäeva)
Delfi (Feb.26 2016 - Tallinna loomaaed kutsub homsel jääkarupäeval jääkarusid uudistama ja pakub toredaid üritusi) (Mar.4 2016 - Tallinna loomaaed kutsub osalema joonistusvõistlusel „Päästame jääkaru“) (Mar.5 2016 - Põnev aeg Tallinna loomaaias: jääkarude õrnuseaeg sai otsa, riffhaid said endale kuulsad nimed)
ETV (Nov.4 2015 - Mati Kaal: kui järgmisel aastal polaariumi ehitust ei alustata, on jääkarud jõuludeks Eestist ära viidud)

(過去関連投稿)
エストニア・タリン動物園の気骨のホッキョクグマ、フランツの非業の死 ~ 待ち望まれる新施設
エストニア・タリン動物園、ホッキョクグマ舎改築は予算獲得が難問
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エストニア・タリン動物園の一歳半の雌のノラの近況 ~ ネット上のホッキョクグマ映像の「強者」と「弱者」
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by polarbearmaniac | 2016-03-06 20:00 | Polarbearology

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