街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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来年2017年に人生(Bear's Life) の全てを賭ける(賭けさせられる)横浜・ズーラシアのジャンブイ

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ジャンブイ(Белый медведь Ямбуй)
(2016年2月1日撮影 於 ズーラシア)

釧路市動物園の12歳のツヨシが3月1日に無事によこはま動物園ズーラシア(以下「ズーラシア」と略記)に到着したことは御承知の通りであり、そのツヨシの近況がズーラシアの公式ブログのページで紹介されています。さて、このツヨシについては東京新聞の報道によれば「来年からの繁殖を目指すという」ということだそうです。随分と悠長な話だと思います。私はこのペアの間の繁殖については、結局は結果的には来年が勝負という形になってしまうだろうという予想はしていたものの、まさか最初から「来年2017年からの繁殖」ということを考えているとは全く予想もしていませんでした。おそらくこれは上野動物園でのデアとイコロの繁殖スケジュールに影響されているのではないかという気もするのですが、それにしても貴重な一年を失ってしまうという気がしてなりません。「急がば回れ」は上野には有効ですがツヨシとジャンブイのペアの場合は通用しないように思います。ツヨシに負担をかけないようにしようという配慮だと思いますが、そういった配慮を行う時間的余裕はもうないだろうと思います。結局来年から同居させて来年2017年の繁殖シーズンの「一発勝負」ということになるわけです。
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ジャンブイ(2016年2月1日撮影 於 ズーラシア)

そもそもツヨシの今年のズーラシアへの来園の時期が遅すぎたということにも問題があると思っています。繁殖を狙う個体が3月になって移動してきて新しいペアを形成する(しかもその両方に繁殖実績が無い)というのは欧州の動物園ではあまり聞かない話です。ツヨシを移動させるのだったら1月でなければならなかっただろうと思います。さて、しかし重要なのは結果ですから、たとえ来年であっても結果を出してもらえれば問題はないということです。こういった繁殖へのスケジュールなのでしたら私自身も時間的余裕ができたというか、そう急いで頻繁にツヨシに会いに行く必要はなくなったとも思っています。ツヨシのズーラシア滞在は二年間という契約のはずですが、今後それが一年延長される可能性は十分にあると考えます。ただし、ジャンブイの年齢というものが非常に微妙となってくるわけで、ツヨシの三年目(三シーズン目)にはジャンブイの加齢というそれなりの代償を払わねばならなくなるでしょう。野生出身個体ジャンブイの生涯(“Bear’s Life)を賭けた「最後の戦い」は来年2017年の一回しか残されていないということで理解しておくべきでしょう。

ここのところ10年に一頭の割合でミスによってホッキョクグマを死なせてきた横浜市です。彼等に対する贖罪の気持ちで真摯に繁殖に取り組んでいただきたいと願っています。

(資料)
東京新聞 (Feb.17 2016 - 雌だけど「ツヨシ」 ホッキョクグマ、来月ズーラシアに
"Reproductive trends of captive polar bears in North American zoos: a historical analysis" (2015)
"ANURSUS:A POPULATION ANALYSIS SYSTEM FOR POLAR BEARS (Ursus maritimus)" (1987)

(過去関連投稿)
ジャンブイの素顔 ~ 彼の出自の謎を追う
夏の日曜日の昼下がりのジャンブイ、再び彼の出自の謎を考える ~ 彼は果たして豪太の伯父なのか?
モスクワ動物園のムルマ(4) ~ 危機の克服、そして豪太の誕生
ウムカ (男鹿水族館・豪太の父)、悠々の水遊び
「ロシア血統の謎」に迫る(4) ~ 横浜・ズーラシアのジャンブイの誕生・血統の真相を探る
追い詰められた「含羞のホッキョクグマ」ジャンブイ ~ 彼を覆い始めた北の方角の「暗黒の闇」の不気味な力
「ロシア血統の謎」に迫る(5) ~ ジャンブイ(横浜・ズーラシア)の幼年時代の映像が示す深い謎
北米の過去約100年間の飼育下のホッキョクグマ出産記録が語ること ~ 再び考えるキャンディの今後
釧路市動物園のツヨシ、新千歳、羽田経由で横浜へ
by polarbearmaniac | 2016-03-08 21:00 | Polarbearology

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