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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア連邦・タタールスタン共和国 カザン市動物園の20歳のマレイシュカ、昨シーズンは出産ならず

ロシア連邦・タタールスタン共和国 カザン市動物園の20歳のマレイシュカ、昨シーズンは出産ならず_a0151913_20534442.jpg
マレイシュカ (Белая медведица Малышка в Казанском зооботсаде) (2015年8月14日撮影 於 ロシア・カザン市動物園)

昨年2015年の世界のホッキョクグマ界での繁殖シーズンで、私が現時点まで唯一ただ一頭、過去に繁殖実績があるものの今回その繁殖の成否について確認がとれなかった大物ホッキョクグマがいました。それはロシア・タタールスタン共和国カザン市動物園の20歳の雌のマレイシュカでした。あのサンクトペテルブルクのウスラーダの妹だけあって繁殖能力にはかねてから定評がある雌だといってよく、過去の4回の出産・育児に成功しているわけです。
ロシア連邦・タタールスタン共和国 カザン市動物園の20歳のマレイシュカ、昨シーズンは出産ならず_a0151913_20581946.jpg
マレイシュカ(Белая медведица Малышка)
(2015年8月14日撮影 於 ロシア・カザン市動物園)

このカザン市動物園というのはロシアの動物園の中ではモスクワ、サンクトペテルブルクという二つの大都市の動物園に次ぐホッキョクグマの繁殖実績を持っているわけですが、繁殖に成功した場合の正式発表が非常に遅く、いつも3月中~下旬となって赤ちゃんが一般にお披露目となる日が同時に誕生の正式発表の日となっていたわけです。昨年8月に私はこの動物園に行ってマレイシュカに会ってきたわけですが、その時の印象は「マレイシュカは年末に出産するか? ~ 劣悪な飼育環境にも逞しく生きるホッキョクグマのロシア魂」という投稿で述べた通りです。 問題は昨年の彼女のパートナーが実績のあった故ユーコンではなくチェリャビンスク動物園から出張してきた当時14歳のアルツィンだったわけで、このアルツィンには過去にチェリャビンスク動物園で繁殖成功の実績がありません。これが大きな問題だと思っていました。
ロシア連邦・タタールスタン共和国 カザン市動物園の20歳のマレイシュカ、昨シーズンは出産ならず_a0151913_2351187.png
私はカザン市動物園で今年になってから撮影された映像やら写真をネット上でしらみつぶしに当たっていましたがマレイシュカの姿を捉えたものは一つもなく、つまりこれは彼女に出産があった可能性があるとも思っていたわけです。ところが3月8日に地元カザンのTV局がこの動物園のベテラン担当者(スヴェトラーナ・クルバーシュキナさん)にスポットを当てたニュース番組の中でマレイシュカの姿が登場しマレイシュカが20歳であることと、このクルバーシュキナさんが生後三か月のマレイシュカの赤ちゃんを抱いたことがあるということを紹介しています。その部分だけ映像を抽出してみます。



このマレイシュカの姿がこうやって登場したということは彼女には昨年末には出産がなかったということを意味するわけです。非常に残念ですが、しょうがありません。このカザンの地元TV局のニュース番組全体は下でご覧いただけます。このカザン市動物園のクルバーシュキナさんはカザン大学の生物学部の出身で大学卒業後からカザン市動物園に勤めており、現在は同園の飼育部門の責任者となっているようです。なかなか手慣れた手つきで動物たちに接している姿がご覧になれます。こうした情報の乏しいこの動物園にあっては、これは非常に興味深い映像だと思います。



さて、このカザン市動物園のマレイシュカはまだ20歳ですし過去に4回の出産:育児に成功していますから当然今年も繁殖に挑戦することになるとは思いますがパートナーが問題です。他園からの雄の出張となるはずですが再びチェリャビンスク動物園からアルツィンが出張してくるのか、それともひょっとしてロストフ動物園からテルペイが出張してくるのか、あるいはエカテリンブルク動物園のウムカがやってくることになるのか、全く予想がつきません。しかしいずれにせよ、どの雄の個体が出張してきたにせよカザン市動物園の環境では非常に悲惨な出張になりそうで気の毒は話です。ともかくカザン市動物園というのは発信される情報が極めて乏しいわけで、その状態を把握するのは容易ではありません。ともかくこれで私にとっては、昨年2015年の繁殖シーズンの結果は全て出そろったということになります。やはり昨シーズンは幾分不作の年だったのかもしれません。

さて、ここでカザン市動物園でのマレイシュカの過去4回の繁殖成功から、そのうちの3回について赤ちゃんの一般公開(つまりこれが誕生の正式発表と同じというわけですが)の日の貴重な映像がありますのでご紹介しておきます。

まず2008年3月13日、雄のプロメテイとマレイシュカお母さんの姿。


次は2010年3月12日、雄のピリグリムとマレイシュカお母さんの姿。


次は2013年3月21日、雌のユムカとマレイシュカお母さんの姿です。


日本でこのマレイシュカ以上の雌のホッキョクグマとなれば、もうララしか存在していないということになるでしょう。神経の図太さという点に関するならば、このマレイシュカは世界最強の雌のホッキョクグマかもしれません。現時点でも繁殖の面における底力という点ではこのマレイシュカは依然としてゲルダ以上であると思います。

マレイシュカ(2015年8月14日撮影)

カザン市動物園はひどい飼育環境ですし不可解な状況が渦巻いているわけですが、私自身はこのマレイシュカを非常に応援しています。

(資料)
Телерадиокомпания «Казань» (Mar. 8 2016 - "И тигры у ног": интервью со Светланой Курбашкиной)

(過去関連投稿 - マレイシュカ関連のみ
ロシア連邦 ・タタールスタン共和国、カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!
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(*2011年9月 カザン市動物園訪問記)
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カザン市動物園、その疑惑と謎に満ちた不可解な状況 ~ マレイシュカとの再会
マレイシュカは年末に出産するか? ~ 劣悪な飼育環境にも逞しく生きるホッキョクグマのロシア魂
by polarbearmaniac | 2016-03-14 21:30 | Polarbearology

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