街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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大阪・天王寺動物園のバフィンの健康状態を憂う ~ 繁殖可能年齢上限付近の個体の繁殖成功が示唆するもの

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バフィン (Белая медведица Баффин)
(2015年7月14日撮影 於 天王寺動物園)

天王寺動物園の飼育員さんのスタッフブログの3月16日付の投稿でバフィンの体調の不良が報告されています。やはり23歳を目前にして出産に成功し、そしてその後の初めての育児に肉体的・精神的にかなりの負担を背負ってきたという経緯が彼女の体に相当の無理を生じさせていたということを理解しなくてはならないでしょう。モモの遊び方がおとなしくなっているそうですが、これはかつて札幌でララが前脚にケガをしたためにイコロとキロルがすっかり元気が無くなってしまった日のことを想い出してしまいました。母親の不調を子供たちは正確に感知し、そしてその行動が非常におとなしくなってしまうというのは理解できる話です。

私の感じることですが、バフィンというのは「飼育されることに慣れているホッキョクグマ」である(非常に変な言い方ですが)と思っています。この点が札幌のララと異なるわけで、ララというのは飼育下で生まれ育ったにもかかわらず、「飼育下」という枠にはめることができないどこか野生の特性を感じさせるホッキョクグマであり、バフィンとは違って「飼育されることに安住できないホッキョクグマ」という感じがします。ですからララは自分の感情、自分の感じる不満、自分の状態というものが比較的ストレートに外に出てくるわけですが、バフィンというのは「飼育下慣れ」しているが故に自分の不満や感情を表明することを諦念の中で封印し、意外にそういったものをストレートに外に出さないホッキョクグマであるように思うわけです。ララは何か不満があったり調子の良くないことがあれば態度でそれをすぐ外に伝えるわけですが、バフィンは「飼育下慣れ」しているためにじっと耐えるという能力が発達し、外からは彼女の不満や不調を理解できない場合があるということです。ですからバフィンの体調は外から見ているよりも実はもっと悪い可能性があるだろうと私は非常に心配しています。
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バフィン(2015年7月14日撮影 於 天王寺動物園)

それからもう一つ、これは現在の日本のホッキョクグマ界での繁殖可能年齢上限に達しているホッキョクグマであるサツキやキャンディの今後の繁殖挑戦に示唆を与えると考えられるのは、このバフィンのような年齢で初めて出産・育児に成功した場合のその後なのですが、こういった高齢で出産・育児に成功した場合にその後の体力の消耗という点で非常に心配な点があるということです。つまり繁殖に成功しても年齢的にその後の体に無理がたたってくるという危険性を考えなければならないということです。育児のベテランの母親(たとえばウスラーダなど)は、育児中であってもノラリクラリとうまく自分の体調をコントロールさせて決して自分に無理をさせないわけですが、バフィンにはそういった熟練の芸はとても無理だと思いますし、サツキやキャンディにも全く無理な話だと思います。今回バフィンの健康状態がさらに悪化して仮に、もしものことでもあれば今後の日本のホッキョクグマ界において繁殖成功未経験の雌のホッキョクグマの繁殖挑戦の年齢について再検討が必要になるかもしれません。

ともかくバフィンについては十分にその状態を観察していただき必要ならば迅速て的確な治療をお願いしたいと思います。仮にバフィン親子の移動などという計画が万が一にも近日中にでも具体化しているとすれば、とりあえずそれは無期限延期としていただき、バフィンの体調回復を最優先にしていただきたいと思います。そうしませんと、今まで天王寺動物園が行ってきた努力、そして今回の繁殖成功という成果が水泡に帰するという結果になりかねません。

(資料)
天王寺動物園スタッフブログ(Mar.16 2016 - ホッキョクグマの展示について

(過去関連投稿)
居残った夏の金曜日、バフィン親子の姿 ~ バフィンの視力に生じた重大な懸念
一息ついた大阪の猛暑で「帰宅拒否」したバフィン親子 ~ 「夜の動物園」のフラッシュが視力悪化の原因か?
大阪・天王寺動物園のバフィンの視力に生じた障害に抗生物質投与が開始される
by polarbearmaniac | 2016-03-17 10:00 | Polarbearology

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