街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたちのサラトフ公演が始まる ~ "Жизнь в цирке"

a0151913_201565.jpg
Photo(C)Взгляд-инфо

ロシアのサーカスで演技を行う四頭のホッキョクグマたち、モーチャ (Мотя)、ウムカ (Умка)、クノーパ (Кнопа)、ドーラ (Дора)は調教師であるユリア・デニセンコ女史とその夫であるユーリ・ホフロフ氏に連れられてヴォルガ河流域の都市であるサラトフのサーカス団に参加し、19日から新演出による公演を行うことは先日ご紹介していた通りです。実はこのサラトフの街でホッキョクグマのサーカスでの演技が行われるのは10年振りだそうで、前回もこの同じ四頭が演じていたそうですから、彼らのこの世界でのキャリアは非常に長いということになります。19日から始まった公演について地元のTV局が伝えるニュースをご紹介しておきます。ホッキョクグマが登場しているシーンは前日の総リハーサルのものが用いられていると思います。



「新演出」とはいってもホッキョクグマの演技自体は以前のものとそう大きな違いがあるようには見えませんが、おそらくホッキョクグマたちの演技の前後に演じられている出し物がかなり違うということなのでしょう。次も今回の公演について報じている地元のニュース映像です。これもホッキョクグマのシーンについてはリハーサルで収録されたものです。



ホッキョクグマなどの動物たちにこのような演技をさせてよいかといった問題とは全く別に考えれば、少なくとも彼らが大きなケガをするような可能性のある演技を強要されているようには見えません。その点に関する限りならば一応の安心は可能かもしれません。私が以前から追い続けているロシアでのサーカスの演技を行うホッキョクグマたちですが、数年前にはここにラパというもう一頭のホッキョクグマがいたわけです。彼女についてはもう何年も前からここで投稿していますが、ロシア政府によって絶滅のおそれのある野生生物に対してサーカスで演技することを禁じる提案が出されたために真っ先にラパが引退することになり彼女は現在ではゲレンジークのサファリパークで暮らしていますが、このラパはスケートの演技を行うホッキョクグマでした。以前のそのラパの演技を再度下の映像でご紹介しておきますが、このラパの場合はスケート靴を履かされての演技を要求されていたわけで、これは彼女の脚に悪い影響を与える危険性は極めて大きかったわけです。



幸いなことに引退した時点でのラパには脚への障害はなかったわけですが、ともかく彼らにこれ以上こうした演技をさせることは極めて好ましくないことは言うまでもありません。問題は引退後の彼らの余生が保障されているかどうかなのです。巡回動物園などに送られてしまえば最悪の環境が待っているわけです。彼らの余生、それが保障されない限りは、少なくともサーカスで演技を続けるほうが、まだましであるという考え方はありえるわけです。以前に「極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"」、及び「ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気に今度はイジェフスク公演へ ~ 尊厳とは何か?」という投稿を行ったわけですが、その時にも考えてみたテーマなのです。

私がホッキョクグマファンになってからもう何年にもなるのですが、その間に実は非常に大きな関心を抱くようになったのはサーカスのホッキョクグマたちと野生孤児という不幸な存在についてです。前者についてはハバロフスク動物園のサーカス出身の故ゴシの視線、後者についてはペルミ動物園のセリクやイジェフスク動物園のバルーの保護後の間もない時期の表情などに接して彼らの不幸な体験に深く同情するようになったというわけです。ホッキョクグマ観が大きく変ったといってよい体験でした。私はサーカスのホッキョクグマたち(つまり世界ではこの四頭だけになっているはずです)の姿を追い続けることを止めることは決してないでしょう。飼育下のホッキョクグマですら、我々日本人には全く想像もできない世界があるということなのです。

(資料)
Взгляд-инфо (Mar.21 2016 - В саратовском цирке выступают Умка и Мотя)
СаратовБизнесКонсалтинг (Mar.21 2016 - Поют, играют и вальсируют. В саратовском цирке «Шоу белых медведей»)
ГТРК Саратов (Mar.21 2016 - "Шоу белых медведей" покажут на арене саратовского цирка)
FreeNews-Volga (Mar.21 2016 - Фоторепортаж. В саратовском цирке белый медведь сыграл на арфе)

(過去関連投稿)
(*サーカスのホッキョクグマ関連)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
サーカス団のホッキョクグマ今昔物語
サーカスを「引退」し余生を送るホッキョクグマ ~ ウクライナ・ハリコフ動物園のティムの夏
サーカス団(ロシア)のホッキョクグマの訓練風景
ロシアの氷上サーカスでスケート演技をするホッキョクグマのラパ ~ その引退の日は遠し
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマ ~ 現役で活躍するラパ、そして引退したホッキョクグマたちの余生
ロシアの氷上サーカスのホッキョクグマのラパ、ベラルーシ公演でも大好評となる
ロシアの氷上サーカスに出演のホッキョクグマたち、元気に公演を続ける
ロシアの氷上サーカスに出演のラパたち5頭のホッキョクグマの最近の様子
ロシアの氷上サーカス団のホッキョクグマたち、モスクワのボリショイサーカスに出演し大好評
ロシアの氷上サーカス団でスケート演技をするラパに遂に引退の日来る ~ スタロースコルィスク動物園へ
ロシア・クラスノヤルスク動物園のセードフ司令官が陸路5日間で無事にスタロースコルィスク動物園に到着
ロシア西部、スタロースコルィスク動物園でのラパとセードフ司令官の近況 ~ ラパの健康状態への危惧
ロシア西部、スタールイ・オスコル市のスタロースコルィスク動物園で、ラパとセードフ司令官の同居が始まる
ロシア・スタロースコルィスク動物園のラパとセードフ司令官が黒海沿岸のゲレンジーク・サファリパークへ
ロシアの氷上サーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にヴォルゴグラード公演を行う
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にロストフ・ナ・ドヌ公演に登場
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気にサンクトペテルブルク公演へ
極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"
ロシアのサーカス団の四頭のホッキョクグマたち、元気に今度はイジェフスク公演へ ~ 尊厳とは何か?
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちがアストラハン、ヴォルゴグラードと元気に公演を続ける
ロシアのサーカス団の4頭のホッキョクグマたちがヴォルガ河下流のサラトフで新演出の公演へ
(*巡回動物園関連)
ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実
サーカス団のホッキョクグマ、ダーニャは何処に消えた? ~ サーカス団と巡回動物園とを結ぶ暗黒
by polarbearmaniac | 2016-03-22 06:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-27 11:00
ロシア極東・沿海州、ハバロフ..
at 2017-04-27 00:30
チェコ・ブルノ動物園の一歳半..
at 2017-04-26 00:30
ベルリン動物園 (Zoo B..
at 2017-04-25 00:30
モスクワ動物園の二歳半の雄(..
at 2017-04-24 01:30
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-04-24 00:30
オランダ・ヌエネン、「動物帝..
at 2017-04-23 00:30
ベルリン動物公園で死亡した赤..
at 2017-04-22 01:00
ロシア・シベリア中部、クラス..
at 2017-04-22 00:30
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-21 12:00

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin