街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・ウィニペグのアシニボイン公園動物園で生徒にホッキョクグマの個体識別技術の講習が開催

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マルル(仮称ノワール - 左)とポロロ(仮称ブランシュ - 右)
(2013年4月7日撮影 於 札幌・円山動物園)
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マルル(左)とポロロ(右)
(2013年7月21日撮影 於 札幌・円山動物園)

カナダ・マニトバ州、ウィニペグのアシニボイン公園動物園では若い世代向けにホッキョクグマについてのワークショップを開催してホッキョクグマに対する理解を深めてもらうと同時に、そこから将来の研究者が出てくることも期待し、実に具体的で興味あるテーマを用いて実践的な講習が行われています。
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Photo(C)Assiniboine Park Zoo

今回は市内から30名の高校生たちが参加して、テーマは「画像によるホッキョクグマの個体識別」ということだったそうで、ウィニペグ大学とアシニボイン公園動物園の研究者が講師を務めました。その様子をカナダ放送協会(CBC)のニュース映像でご覧ください。



この「画像によるホッキョクグマの個体識別」というのは野性のホッキョクグマに対する調査・研究の実践に取り入られている手法だそうで、画像をソフトウェアに取り込んで処理するようなのですが、同園のSNSサイトでも報道でもこれが具体的にどのような順序でなされていくかの詳しい説明が省略されているのが残念です。しかし概要では、ホッキョクグマの顔の眼、鼻、口の距離や角度とか毛の抜けた場所の位置とか、そういった個体それぞれの外見的な特徴を画像から数値化して抽出するということのようです。
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野性のホッキョクグマ研究において、調査ごとにいちいち麻酔銃でホッキョクグマを捕獲して血液サンプルなどを採取するのは必要最小限とし、あとは空からホッキョクグマたちの写真を撮影して蓄積してあるデータから画像による個体識別を行い、栄養状態やら健康状態の変化を観察すればよいといった場合などは非常に有効な手法であることに間違いありません。ホッキョクグマたちへの負担も少なくて済むわけです。この日のワークショップに参加した生徒たちはそれぞれカメラを持参してアシニボイン公園動物園で現在飼育されている若年個体の9頭のホッキョクグマたちの写真を撮影し、そして実際にその画像を用いて個体識別を行う手法を学んだようです。こういう講習会ならば私も是非とも参加してみたいように思います。
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Photo(C)Assiniboine Park Zoo

動物園で飼育されている動物たちの中には実際に個体識別が非常に難しい種も存在しています。親しみを持ってもらおうという意図からか、あえて名前を付けてそれを公開している場合もあるのですが、果たしてその種を本当に個体識別することに意味があるのかといった場合もあるように感じるわけです。性格の違いや行動の違いの程度が大きいほど動物園における個体識別には意味があるように思います。ホッキョクグマの個体識別は「難し過ぎず、簡単過ぎず」といったところで絶妙のバランスの上に成り立っているように思います。一番個体識別が楽な動物は人間(Homo sapiens)でしょう。一方で野生動物の生態研究ではこういった性格差や行動差などを考慮せずに純粋に個体識別を行う必要が研究・調査上あるということでしょう。

(*追記)2012年12月に札幌の円山動物園で生まれたマルルとポロロの雌の双子について私はその成長を追って何度も札幌に行きましたが、動物園で撮影した膨大な枚数の写真をその日の夜にホテルの部屋でマルル(仮称ノワール)とポロロ(仮称ブランシュ)のフォルダーを作って分類・保存したわけです。ところがそれから数年経過してそのフォルダーを見てみますと「これはマルルとポロロが逆ではないか?」という疑惑の写真が何枚かは見つかるわけです。その日の記憶に新しいうちに細心の注意で分類したはずなのに、やはり間違いは生じてくるということですね。私の実感では、実物ならわかるが写真になるとわからなくなるという感じがします。ただしこのブログに掲載した当時の投稿の分の写真についてはマルルとポロロの識別は間違っていないと思っています。

(資料)
CBC.ca (May.12 2016 - Winnipeg students learn polar bear research techniques at zoo school)
by polarbearmaniac | 2016-05-15 17:30 | Polarbearology

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