街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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クヌート (Dec.5 2006 ~ Mar.19 2011)、没後5年が経過しての回顧 ~ 悲劇の不気味な黒い影

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クヌート Photo(C)BZ

早いものでベルリン動物園のクヌートが亡くなってから今年の3月18日でもう5年が経過しました。私はクヌートの死を南朝鮮(韓国)のソウルのホテルで知ったのですが、信じられないという思いのどこかで、「やはり...」という感じがしたものです。5年も経った今では、クヌートはまさに「伝説」と「神話」のホッキョクグマとなってしまったと思います。しかし生前の彼に会うことができた(2009年9月)のは幸いだったと思っています(会ってみたら普通のホッキョクグマでしたが)。


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クヌートとトーマス・デルフラインさん Image:RBB

ベルリン=ブランデンブルク放送(RBB)が10年前から放送している"Panda, Gorilla & Co."という番組があり、ベルリンの二つの動物園である旧西ベルリンの「ベルリン動物園 (Zoologische Garten Berlin)」と旧東ベルリンの「ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin)」の動物たちを定期的に紹介しているのですが、その番組の中でクヌートの映像が映っていますのでご紹介しておきます。7つの番組からクヌートのシーンを抜き出してあります。私が今まで見たことのない映像も多いように思いました。音声は必ずonにして下さい。全体で35分ほどあります。興味深いシーンの連続です。



クヌートは僅か4歳でこの世を去ったわけですが、まさに猛スピードで駆け抜けていったという印象を私は持ちます。2008年の9月には育ての親のトーマス・デルフラインさんが亡くなるなど、クヌートには常に悲劇の影が色濃く投影されていたように思います。そしてクヌートの死の引き金をひいた原因の究明が徹底的に行われ、最終的に「抗NMDA受容体抗体脳炎 (Anti-NMDA-Rezeptor-Enzephalitis)」が彼の死をもたらせたものだという結論が出たわけでした。つまり彼の死は人工哺育とは無関係であったということが証明されたわけです。

クヌートの母であったトスカも昨年の6月23日に亡くなりました。 「クヌートの物語」はこうして完全に幕を閉じたのです。クヌートもトスカもすでに「記憶の中」のホッキョクグマとして少なくとも私の心の中では生きています。それはドイツのファンの方々も同様でしょう。しかし私には、何かどこかに割り切れなさといったものを感じています。トスカとクヌート、この親子はやはり「悲劇のホッキョクグマ」だったということです。そして何かどこかに不気味な黒い影といったものをこの親子に感じてしまうわけです。

(資料)
ARD Mediathek (Panda, Gorilla & Co. - Folge 53 67 70 76 86 100 im Winter)
Märkische Allgemeine Zeitung (May.17 2016 - „Panda, Gorilla & Co.“: Tierische Erinnerungen)
BZ (Mar.19 2016 - Fünfter Todestag: Eisbär Knut bleibt unvergessen)
Berliner Morgenpost (Mar.13 2016 - Zum fünften Todestag von Eisbär Knut bleibt es still)

(過去関連投稿)
(*クヌート関連)
クヌート、ベルリンで繁殖を担う主役の座に!
ベルリン動物園・クヌートの育ての親トーマス・デルフラインさん没後2年
ベルリン動物園のクヌートが雌と対面へ ~ 少年から青年への道程
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クヌートの死因の結論出る ~ 脊髄の炎症
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ドイツ・ヴッパータール動物園のイェルカ、突然逝く
ドイツ・ヴッパータール動物園のラルス(クヌートの父)、病状回復へ
ドイツ・ヴッパータール動物園の故イェルカの死因はヘルペスウィルス(Zebra herpesvirus)の感染と判明
ベルリン動物園の故クヌートの死因解明の最終報告書が発表される ~ 「ウィルス感染による脳炎」
ベルリン動物園の故クヌート(2006~2011)の死因は「抗NMDA受容体抗体脳炎」 ~ ウィルス不特定の謎解明
クヌートとフロッケの人工哺育、そのドキュメンタリー映像から見えてくるもの ~ 光と影のドラマ
(*トスカ関連)
トスカ(クヌートの母)とサーカス団の悲しきホッキョクグマたち
ベルリン動物園のクヌートに対して雌3頭が共同包囲網!
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ベルリン動物園のクヌート、遂に雌のトリオに反撃開始!
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ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)、本日午前の同園での倫理委員会で安楽死執行が決定
ベルリン動物園のトスカ(故クヌートの母)逝く ~ 物語と伝説を身にまとったホッキョクグマの死
by polarbearmaniac | 2016-05-25 23:55 | Polarbearology

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