街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・サンフランシスコ動物園のウウル(推定35歳)の健康維持に細心の配慮を行う同園

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ウウル Photo(C)San Francisco Zoo

ある国で複数の動物園が「自園で飼育しているホッキョクグマは国内最高齢である。」と主張するケースは珍しくはありません。飼育している動物園が主張しないまでも、いったいどちらが本当に国内最高齢であるのかについて判断がつかないといったケースもあります。後者のケースは日本であり、たとえば仙台・八木山動物公園のナナ(1984年12月15日生まれ)と徳山動物園のユキ(1985年7月15日保護)のどちらが国内最高齢であるのかについては本当のところはわからないわけです。しかし一般的に飼育下で誕生したホッキョクグマと野生出身のホッキョクグマを比較した場合、飼育下で誕生したホッキョクグマをもって「最高齢」であるとするのが慣習的であり、そうなると日本では仙台のナナをもって「国内最高齢」とするのが正しいだろうということです。前者のケースとしてはアメリカであり、フィラデルフィア動物園は自園で飼育している飼育下で誕生の雌のコールディロックス(1980年12月13日生まれ)が全米最高齢であると主張し、そしてサンフランシスコ動物園は自園で飼育している野生出身の雌のウウル(Uulu)(推定1979~80年生まれ)を全米最高齢であると主張しているわけです。
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ウウル Photo(C)San Francisco Zoo

このサンフランシスコ動物園の推定35歳のウウルはカナダ・マニトバ州のチャーチルで民家の近くでゴミを漁っていたところを保護されたそうで1985年以来サンフランシスコ動物園で飼育されてきました。昨年5月に同園で飼育されていた当時32歳の雌のホッキョクグマであるピケ (Piké)が亡くなってからは、一頭で暮らしているわけです。ウウルは排尿促進剤や血圧安定剤などの薬物が含まれている食べ物を与えられているものの健康状態は良好で、プールの中に入れられた魚を捕まえたり飼育展示場で転げまわったりなどという行動をする若々しさがあるそうです。レタスが大好物だそうで、血液サンプルを採取する際にうまく前脚を出して来た場合にはご褒美としてレタスが与えられているそうです。

さて、このウウルですが3年前に運動機能が低下して活動量が落ち込んだ時があったそうで、最悪の場合は安楽死をさせる危険もあった際にサンフランシスコ動物園の専属獣医さんの努力でウウルは健康を取り戻したそうで、それ以来同園ではこのウウルの行動に異常がないかを注意深くモニターしているそうです。昨年8月のウウルの姿をご紹介しておきます。



この下は今から5年前の「雪の日(Snow Day)」のウウルの様子です。



このウウルは現在は健康とはいえ、いかんせん高齢です。遅かれ早かれサンフランシスコ動物園にはホッキョクグマが不在となる日がやってくることは間違いありません。サンフランシスコのような大都市の動物園でホッキョクグマが不在となってしまってよいのでしょうか? 現在のアメリカではホッキョクグマを国外から導入することも、国外に出すことも法令上は不可能となっているわけです。ですから日本の動物園とも個体交換ですら不可能なのです。アメリカは国別ではホッキョクグマの飼育数は最も多いわけですが、繁殖という点ではうまくいっておらず、雌のホッキョクグマで確実に頼れるのはトレド動物園のクリスタルだけというありさまです。さらにアメリカではホッキョクグマの飼育展示場の基準を非常に引き上げてしまったわけで、そうなるとサンフランシスコ動物園ではホッキョクグマを飼育し続けるために巨額の設備投資を行う必要があるわけで、これも頭の痛い話です。
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ウウル Photo(C)Marianne Hale/San Francisco Zoo

ともかく、ウウルが今後の健康を祈りたいと思います。

(資料)
San Francisco Chronicle (May.27 2016 - Older animals get special treatment at SF Zoo)
SFGATE (Feb.27 2016 - Polar Bear at San Francisco Zoo Enjoys A Snow Day)

(過去関連投稿)
アメリカ・サンフランシスコ動物園のアンディ逝く
アメリカ・サンフランシスコ動物園での「ホッキョクグマの雪の日」
アメリカ ・ サンフランシスコ動物園でホッキョクグマのお誕生会に10トンの雪のプレゼント
アメリカ・サンフランシスコ動物園での1982 ~ 83年のピケ (Piké) の人工哺育 ~ 実践から体系化へ
アメリカ・サンフランシスコ動物園の32歳のピケ (Piké) が亡くなる
アメリカ・フィラデルフィア動物園の34歳のクロンダイクが亡くなる ~ 全米最高齢のホッキョクグマの死
アメリカ・フィラデルフィア動物園のコールディロックスが元気に35歳となる ~ 全米最高齢のホッキョクグマ
現在日本国内最高齢のホッキョクグマはどの個体か? ~ カアチャン、ユキ、ナナの三候補を比較する
by polarbearmaniac | 2016-05-28 19:00 | Polarbearology

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