街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」、ガヌークとヘンリーの雄二頭の同居は大成功

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ガヌークとヘンリー Photo(C)Polar Bear Habitat

カナダ・オンタリオ州 コクレーン (Cochrane) の「ホッキョクグマ居住村(Polar Bear Habitat)」に暮らすのはオーストラリアのシーワールド生まれで現在は三歳になったばかりの雄であるヘンリーとケベック州のサンフェリシアン原生動物園で生まれた6歳の雄のガヌークの二頭です。この二頭の雄は今までそれぞれ別の囲いで飼育されていたのですが、「ホッキョクグマ居住村」は当初はこの二頭の同居を必ずしも狙っていたわけではないようですが、別々の囲いの中にいたこの二頭の様子を観察すると彼らが一緒になりたいというような様子が窺えたそうで、思い切ってこの二頭を同居させることにし、5月7日に施設を臨時休園としていよいよ同居の試みが実行に移されたそうです。

この二頭のホッキョクグマの同居、それも若い雄同士というのは最悪の場合は闘争に発展する危険が付きまとうわけですから、スタッフの方々も非常に緊張したようで、放水のためのホースとか消火器も用意され、獣医さん、そしてアメリカから動物行動学の専門トレーナーをわざわざこのために呼んできたそうで、とうとうこの二頭の同居の試みが開始されました。これを報じる地元のTVニュースをご紹介しておきます。



次に実際に同居開始となった映像をご紹介しておきます。





ガヌークとヘンリーは何事もなくすんなりと同居が開始できたようです。ホッキョクグマの同居の性別による組み合わせ、そして同居準備については以前に「「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)』よりの考察(9) ~ 同居を許容しうる雌雄の頭数構成」、及び「「『ホッキョクグマ飼育マニュアル(Care Manual)』よりの考察(12) ~ 二個体の同居準備はどうするか」という二つの投稿をご参照下さい。雄(オス)二頭の同居というのは比較的難易度が高いのです。
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ガヌーク(左)とヘンリー(右) Photo(C)Polar Bear Habitat

この「ホッキョクグマ居住村」のスタッフの方は実におもしろいことを述べているのですが、それはこうしてこの二頭を同居させてみて初めてこの二頭の性格の違いが見えてきたということだそうです。つまり、一頭だけだとかなり観察してみてもその個体特有の性格といったものを掴みにくいということでしょう。これにはなんとなく納得できるように思います。要するに同居させてみて初めて本当の意味での性格分析が可能となるということだと思われます。私たちが札幌・円山動物園で誕生した双子であるイコロとキロル、マルルとポロロ、このそれぞれの性格の違いを見ていくのが大きな楽しみであったわけですが、やはりそれは同居している時を見ることによってかなり明確に違いを理解できるということなのです。札幌時代のマルルとポロロを見ないで、現在の熊本のマルル、徳島のポロロを別個に見たとしても、その性格の違いを明確に言語の上に抽出することは、ある部分に何かの切り口を見つけて洞察力を働かせる以外にはそう簡単ではないということです。「ホッキョクグマ居住村」のスタッフの方が言うには、年少のヘンリーは活力に満ちており年上のガヌークに絶えず何かの働きかけを行っているものの、年長のガヌークは時としては怒るものの好奇心と茶目っ気で辛抱強くそれらを受け流しているという行動の違いがあるそうです。この二頭の同居の映像をもう一つご紹介しておきます。水に入っているのが年少のヘンリー、上にいるのが年長のガヌークでしょう。



前回ご紹介していますが、この「ホッキョクグマ居住村」の飼育展示場にはライブカメラがあります。こちらをクリックしてみて下さい。

(資料)
Timmins Press (May.6 2016 - Henry and Ganuk together at last)
Polar Bear Habitat (Zookeepers Blog/May.19 2016 - Polar Bear Introduction with Henry and Ganuk)

(過去関連投稿)
カナダ・コクレーン、ホッキョクグマ保護施設のナヌークの死 ~ 安住の地で波乱の生涯を終える
カナダ・オンタリオ州、コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村の苦闘 ~ 新しい個体を求めて
カナダ・サンフェリシアン原生動物園の双子、旅立ちの時来る ~ 2頭共にケペック水族館へ
カナダ・コクレーンのホッキョクグマ保護教育生活文化村にホッキョクグマ戻る ~ ガヌークの近況
カナダ・コクレーンのホッキョクグマ保護施設のガヌークが発揮した「画才」
カナダでの飼育下期待の星、イヌクシュクの物語
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村のイヌクシュク、繁殖への期待を担って再びトロント動物園へ
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村へのイヌクシュクの帰還とEAZAの狙うミラクの欧州域外流出阻止
カナダ・コクレーン、保護教育生活文化村にイヌクシュクが無事帰還 ~ 息子のガヌークの近況
カナダ・オンタリオ州 コクレーンの保護教育生活文化村に暮らすイヌクシュクとガヌークの父子の近況
カナダ・オンタリオ州 コクレーンの保護教育生活文化村へ州政府から援助金 ~ ガヌークの近況
カナダ・コクレーン、ホッキョクグマ保護教育生活文化村での新しい試み ~ おもちゃに臭いを付着
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村 (Polar Bear Habitat)」を紹介した日本のTV番組
オーストラリア・シーワールドのヘンリーがカナダ・コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」へ旅立ちが決定
オーストラリア・シーワールドのヘンリーがカナダ・コクレーンへの移動のためシーワールドを出発
オーストラリア・シーワールドのヘンリーがカナダ・コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」に無事到着
カナダ・オンタリオ州コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」に到着したヘンリーが屋外に登場
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のヘンリーに給餌を兼ねた訓練が行われる
カナダ・オンタリオ州コクレーン、「ホッキョクグマ居住村」のヘンリーが前衛美術の画家となる
カナダ・オンタリオ州コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」で拡張された新飼育展示場が完成
カナダ・オンタリオ州コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」で飼育展示場のライブ映像配信が開始
by polarbearmaniac | 2016-05-31 06:00 | Polarbearology

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