街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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オランダ・レーワルデンのフリースラント・アクア動物園(AquaZoo Friesland)に移動する二頭

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フェリックス Photo(C)Ouwehands Dierenpark Rhenen

オランダ北部・フリースラント州の都市であるレーワルデン(Leeuwarden)郊外にあるフリースラント・アクア動物園(AquaZoo Friesland)では施設面の整備とともにホッキョクグマを新規に導入する計画が進められてきましたが、このたびここで飼育されるホッキョクグマが決定したとのことです。雄は現在オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園で飼育されている14歳のフェリックス(Felix)、そしてデンマークのスカンジナヴィア野生動物公園で飼育されているやはり雄の3歳のネヌ(Nanu)だそうで二頭は6月下旬にこのフリースラント・アクア動物園に移動してくるそうです。
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この新設されたフリースラント・アクア動物園のホッキョクグマ飼育展示場は5000㎡の広さがあるそうで、これでまたオランダに新しいホッキョクグマを飼育展示する動物園が一つ加わったということになります。

スカンジナヴィア野生動物公園で飼育されている3歳のネヌ(Nanu)については移動があっても全くおかしくはない年齢なのですが、欧州の幼年・若年個体の雄をプールするイギリスのヨークシャー野生動物公園にではなくこのフリースラント・アクア動物園に移動させるというのは、あくまでもこの動物園はホッキョクグマの新規展示に参入してきたからなのでしょう。しかし雄のフェリックスについては、その移動の意味がよくわかりません。彼はドイツのニュルンベルク動物園が権利を有しており、彼の繁殖能力が抜群であるために近年は非常に重宝されて欧州内の動物園を何度も移動しているわけです。通常で言えば彼は今年の年末にでもニュルンベルク動物園に帰還して来年の繁殖シーズンにはヴェラとの間でまた繁殖を狙うわけですが、それまでの間の短期間にこのフリースラント・アクア動物園に留まるという意味なのではないかと思います。まさか彼はあのヴィクトルのように繁殖の舞台から「強制引退」させられてこのフリースラント・アクア動物園に留まり続けるということはないように思います。

そうなると、現在3歳の雄のネヌの将来のパートナーがどの個体になるのかに注目が集まります。このネヌは札幌で生まれたマルルとポロロの双子姉妹と同年齢ですので、マルルやポロロやリラをパートナーとするのならばピッタリということになりますが、血統的な観点から6親等の組み合わせをどう考えるかにもよるでしょう。ただし今回の件についてはEAZAのコーディネーターは今までとは非常に違った「何か」を考えている臭いを感じます。

欧州域内の動物園のホッキョクグマに関する小さな記事に何か見逃せないある種の「変化」があるのかどうかに私は最近注目しているのですが、その「変化」の意味を考え、そしてララファミリーの雌の若年個体との関係を結びつけて、ある種のストーリーが描ければ、その小さな記事には重大な意味が隠されている可能性があるわけです。3歳の雄のネヌは若年個体をプールする集中基地であるヨークシャー野生動物公園を経由しないでこのフリースラント・アクア動物園に間もなく移動してくるわけです。となれば、彼のパートナーとなる雌の個体も集中基地であるエメン動物園を経由しないでこのフリースラント・アクア動物園に移動してくる可能性は大きいでしょう。ということは欧州にしては非常に変則的な雌の個体の直接の導入を意味するわけです。となれば、欧州域外からの個体ではないかと考え得る余地が非常にあるわけです。そうなるとまず考えられるのはロシアからということになるのですが(つまり2014年11月にモスクワのシモーナが産んだ雄の個体)、しかし昨年の報道記事でフリースラント・アクア動物園の担当者の発言からはロシアからの個体導入を考えている形跡がないことを間接的に示している内容しか感じないわけです。となれば、欧州域外、しかもロシア以外からの個体導入が考えられている形跡を否定することはできないわけです。

私はララファミリーの雌の若年個体と欧州個体との交換は95%の確率で実現しないと考えています。しかし仮にマルルやポロロやリラが日本から直接このフリースラント・アクア動物園に移動すると考えれば、そういうストーリーで全体を描ききることは十分可能だと思います。仮にそうであるならば実はララファミリーの雌の若年個体と欧州個体との交換計画は奥深い部分で進行し、そして成功しつつあることを意味するわけです。どういうことかといいますと、日本側(つまり札幌)が投げたボールに対して欧州側がそれに応えようとしている兆候ではないかということです。しかしそう考えることはまだ時期尚早でしょう。具体的・直接的な根拠がありません。
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(*追記 - この "AquaZoo Friesland を何と訳すかが問題です。AquaZoo というのは造語(Aquarium + Zoo)ですので「水族動物園」としようかと思いましたが、そもそも「水族」という語が不自然に感じます。苦肉の策として「アクア動物園」としておくことにします。ホッキョクグマは「氷族」というのならばともかく、「水族」ではなく「動物」ですから「水族」という用語使用は単に「アクア」としておけばよいと考えます。Friesland は単なる地名ですからそのままでよいでしょう。語末の -d は無声音となるため Friesland は「フリースランド」ではなく「フリースラント」とするのが正しいことになります。)

(資料)
AquaZoo Friesland (May.24 2016 - IJsberen Felix en Nanu naar AquaZoo Friesland)
Leeuwarder Courant (Dec.10 2015 - AquaZoo Friesland verwacht ijsberen) (May.24 2016 - IJsberen Felix en Nanu naar AquaZoo Friesland)
Huis aan Huis (Dec.10 2015 - Er komen ijsberen naar AquaZoo)
TV 2 | ØSTJYLLAND (Mar.27 2014 - Isbjørne dier hos deres mor)

(過去関連投稿)
(*以下フェリックス関連)
ドイツ・ニュルンベルク動物園、フェリックスの大活躍 ~ 欧州における偉大な雄の素顔
フェリックスさん、はじめまして!
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オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の22歳のフギースの繁殖へのさらなる挑戦

(*以下、ネヌとヌノの双子関連)
デンマーク ・ コリンのスカンジナヴィア野生動物公園でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生!
デンマーク のスカンジナヴィア野生動物公園で誕生の双子の赤ちゃんの産室内映像を地元TV局が公開
デンマークのスカンジナヴィア野生動物公園で誕生の双子の赤ちゃんの生後70日目の映像が公開
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デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園で進行中の2つのドラマ ~ イルカ親子、そしてシークー
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園でのイルカお母さんと双子の赤ちゃんのライブ映像の配信開始
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園の双子の赤ちゃんたちの近況
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園のホッキョクグマたちの織りなす多彩なドラマ
デンマーク・コリンのスカンジナヴィア野生動物公園の双子の成長 ~ お行儀の良さは環境の良さが原因?
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(*シークー、ネヌ、ヌノの同居関連)
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園でのシークーとネヌ、ヌノの同居 ~ ドキュメンタリー番組より
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園でのネヌ、ヌノ、シークー、そしてイルカお母さんの同居の近況
デンマーク・スカンジナヴィア野生動物公園のシークー、ネヌ、ヌノとイルカお母さんの近況
by polarbearmaniac | 2016-06-02 16:30 | Polarbearology

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