街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

アメリカ・インディアナポリス動物園がホッキョクグマ飼育から撤退 ~ 29歳のタンドラはデトロイト動物園へ

a0151913_0374981.jpg
タンドラ (Tundra the Polar bear) Photo(C)Indianapolis Zoo

実に考えさせられるニュースが入ってきました。こういった状況は日本でも今後は無縁ではない話です。アメリカ・インディアナ州の州都であるインディアナポリスの動物園が発表したところによりますと、同園はホッキョクグマ飼育・展示を今後は行わないことにし、ホッキョクグマ飼育展示場を閉鎖することが決定したとのことです。現在このインディアナポリス動物園では29歳の雌のタンドラ(Tundra) が一頭で飼育されているのですが、同園はこのタンドラの引き取り先として環境の整った動物園がどこかを検討し、そしてデトロイト動物園が最も適しているということになり、タンドラは6月22日以降にデトロイト動物園に移動することとなるそうです。
a0151913_1281537.jpg
タンドラ Photo(C)Joe Tamborello/IndyStar

このインディアナポリス動物園のホッキョクグマ飼育展示場は1988年に完成し当時は非常に近代的なものとされていたわけですが近年は改修の必要が生じていたと同園は述べていますが、タンドラはこの1988年の飼育展示場のオープンからこのホッキョクグマ飼育展示場で暮らしており、今になって同園がホッキョクグマの飼育・展示から撤退せねばならないほどの状態とは思えないわけで、いったいどういった事情があるのかについて同園はその詳細を述べてはいません。以下のTVニュース映像で同園の広報担当の方は絶滅危惧種となったホッキョクグマの入手が困難となったことを理由として挙げていますので、高齢のタンドラの後継のホッキョクグマの入手が難しいことを問題視したという以上の理由は見当たらないように思うわけです。





近年、AZA(アメリカ動物園・水族館協会)はホッキョクグマ飼育展示場に関して厳しい基準を課しているわけで、その基準を達成できない動物園はホッキョクグマの飼育・展示ができなくなる状況が生じていることはこのブログでも過去に何度もご紹介してきました。その典型は数年前のバッファロー動物園のケースであり、バッファロー動物園は強引ともいえるやり方で寄付を募り、そして新飼育展示場の建設にこぎ着けたことは記憶に新しい話です。しかしこのインディアナポリス動物園に関しては同園からそういった障害が生じていることが明らかになったという話は少なくとも私は知りません。ここでインディアナポリス動物園で暮らしているタンドラの姿を映像で見てみましょう。そして飼育展示場にも注目してみたいと思います。









以下はインディアナポリス動物園でのホッキョクグマの訓練(トレーニング)の様子です。



こうしてタンドラの暮らす環境を見てみると悪いとは言えないように思います。確かに土の部分が無い(あるいは少ない)のかもしれませんが、それは改良が比較的容易に可能です。とすれば、同園はAZAの要求する基準に対してでなく、やはり高齢のタンドラの後継のホッキョクグマの入手が難しいことを問題視したということでしょう。また、タンドラのパートナーが他園から得られず、繁殖にも挑戦できなかったことに対するAZAのホッキョクグマ繁殖計画(SSP)への不満も背景に存在している可能性は否定できないかもしれません。ともかく、インディアナポリスの人々にとってはホッキョクグマと言えばイコールこのタンドラとうほど、自分たちが子供の時から親しんできたホッキョクグマですので、彼女との別れを惜しむ声で溢れています。しかし一方で、「何故ホッキョクグアの飼育展示場を閉鎖してしまうのか?」という疑問の声が少ないのは奇妙な話だと私には思えます。

さて振り返って日本の動物園はと言えば、私は言いたいことがいくつもあるわけで、それらについては今後折に触れていろいろ述べて行きたいと考えます。

(資料)
Indianapolis Zoo (Jun.13 2016 - Closing Our Polar Bear Exhibit)
Indianapolis Star (Jun.13 2016 - Indianapolis Zoo says farewell to polar bear)
Fox 59 (Jun.13 2016 - Indianapolis Zoo to close polar bear exhibit)
WRTV Indianapolis (Jun.13 2016 - You're running out of time to see the Indianapolis Zoo's polar bear)
WXYZ (Jun.13 2016 - Detroit Zoo getting new 29-year-old polar bear from Indianapolis)
NUVO Newsweekly (Jun.13 2016 - Tundra The Polar Bear moves to Detroit)
The Dodo (Jun.13 2016 - Zoo Gives Away Polar Bear So She Won't Be Alone Anymore)
by polarbearmaniac | 2016-06-14 02:00 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

チェコ・ブルノ動物園の一歳半..
at 2017-04-26 00:30
ベルリン動物園 (Zoo B..
at 2017-04-25 00:30
モスクワ動物園の二歳半の雄(..
at 2017-04-24 01:30
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-04-24 00:30
オランダ・ヌエネン、「動物帝..
at 2017-04-23 00:30
ベルリン動物公園で死亡した赤..
at 2017-04-22 01:00
ロシア・シベリア中部、クラス..
at 2017-04-22 00:30
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-21 12:00
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-20 15:00
ロシア・サハ共和国、ヤクーツ..
at 2017-04-20 14:30

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin