街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ホッキョクグマの視点 (Point of View)

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オレゴン動物園のタサル

米紙ニューヨークタイムズがアメリカ地質調査所 (USGS)が行っているホッキョクグマの生態研究として最近試みられているホッキョクグマの首に付けたカラーに装着されたカメラで撮影されたホッキョクグアの視点による映像をコンパクトに紹介していますので、まずそれをご紹介しておきます。部分的に映像の乱れがあります。音声はonにして下さい。



この研究については以前にもご紹介したことがあり、「アメリカ地質調査所 (USGS) がアラスカで野生のホッキョクグマにカメラを装着し生態研究を開始」という投稿をご暗唱いただきたいのですが、ホッキョクグマたちが一日をどう過ごし、そしてどのように活動のエネルギーを費やしているか具体的に知ることによって温暖化による影響によって彼らの生態がどう変化していくのかを調査したいというのがこの研究の趣旨です。

野性のホッキョクグマに対しての調査行うにあたっては準備段階として手始めに飼育下のホッキョクグマ、オレゴン動物園のタサル(Tasul)の首にカメラを装着して映像を撮ったわけです。これについては「アメリカ・オレゴン州 ポートランド、オレゴン動物園のタサルがホッキョクグマの生態研究に協力」でご紹介しています。その映像を振り返ってみることにします。





加速度計を取り付けた特殊な首輪をホッキョクグマのタサルに付け、その体の動きの変化と方向性を記録・発信し、そして同時に撮影したカメラによる映像を組み合わせることによってデータとホッキョクグマの動きとの関連性を明らかにしておくといった準備です。そして野性のホッキョクグマに対しては首に取り付けたカラーから発信される彼らの体の動きの変化と方向性を示すデータを衛星経由にて受信し、彼らのいる位置とその行動を知るといった方法を採るわけです。野性のホッキョクグマの首のカラーにカメラを装着しても気温の低さによってバッテリーは8~10日間しか持続しないものの、体の動きの変化と方向性を示すデータの送信ならばもっと長い日数の持続が可能であるため、もっぱら野生のホッキョクグマに対してはこのデータを受信して行動のパターンを解析するという方法が行われているわけです。この下の二つの映像はカメラを装着した場合による映像です。





ホッキョクグマの生態研究もこうして進歩しているわけですが、現時点ではホッキョクグマの個体からのデータを映像経で受信するための彼らの国にカラーを取り付けるといった方法が用いられており、遠隔操作によってそのカラーが外れるような仕組みであるとはいえ彼らにとってはやはり負担であることも間違いないわけです。下の写真はこのようなホッキョクグマの生態研究によって首に取り付けられたカラーが首に食い込んでしまったという例です。
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Photo(C)CBC

こういった例は極めて稀であるようですが、ホッキョクグマの体に発信装置を装着してデータを受信する方法から彼らにとって負担のない次の新しい方法への転換を模索する動きが出てきています。以前に「ホッキョクグマの生態・生息数調査に衛星画像利用の試みがなされる ~ 果たして本当に有効か? 」という投稿でもご紹介していたのですが、この衛星画像をもっと精緻なデータとして利用する方法などはその一つかもしれません。

(資料)
The New York Times (Jun.13 2016 - Video From a Polar Bear’s Point of View)
Oregon Zoo (Jun.3 2013 - Zoo bear sports high-tech neckwear for conservation)
CBC (Oct.28 2015 - Photo shows polar bear injured by tight radio collar)

(過去関連投稿)
アメリカ・ポートランドのオレゴン動物園が麻酔を使用せずにホッキョクグマの血液サンプル採取に成功
アメリカ・オレゴン州 ポートランド、オレゴン動物園のタサルがホッキョクグマの生態研究に協力
アメリカ地質調査所 (USGS) がアラスカで野生のホッキョクグマにカメラを装着し生態研究を開始
ホッキョクグマの生態・生息数調査に衛星画像利用の試みがなされる ~ 果たして本当に有効か?
by polarbearmaniac | 2016-06-18 22:00 | Polarbearology

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