街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

オランダ、フリースラント・アクア動物園への移動を「拒否」した(?)フェリックス

a0151913_23434573.jpg
フェリックス Photo(C)Ouwehands Dierenpark

ランダ北部・フリースラント州のレーワルデン(Leeuwarden)にあるフリースラント・アクア動物園(AquaZoo Friesland)でオープンすることになる新ホッキョクグマ飼育展示場に移動する二頭のホッキョクグマのうちデンマークのスカンジナヴィア野生動物公園から3歳半になっている雄のネヌ(Nanu)はすでに到着したことはご紹介していましたが、もう一頭のレネンのアウヴェハンス動物園の14歳の雄のフェリックスについては今週水曜日の午前10時に到着する予定になっていました。ところがアウヴェハンス動物園ではフェリックスが移動用のケージに入ることを「拒否」してしまったようで移動作業は失敗に終わったそうです。

オランダ国内の移動ということでもあり非常に楽観視していたのではないかと思いますし、ホッキョクグマの移動作業についてそもそも麻酔を使用しようという発想の全くないオランダですから、ホッキョクグマに自発的に移動用ケージに入ってもらわなければスタッフとしてもお手上げだったのでしょう。アウヴェハンス動物園ではフェリックスに移動訓練を試み、来週の月曜日に再び移動作業を行うという予定だそうですが、全てはフェリックスの気分次第でしょう。以下のニュース映像はフリースラント・アクア動物園の担当責任者の方がフェリックスの到着の遅れについて語っています。映像ではすでに到着しているネヌ (オランダ語では"ナヌ" と発音しています)の様子が映っています。



次のニュース映像は到着した後のネヌの現在の様子についてです。担当者の女性の方の話しではやはり雌のホッキョクグマの導入を考えていることは間違いないようです。



現在14歳の雄のフェリックスは欧州でも屈指の繁殖能力を誇り、移動に移動を繰り返してきたホッキョクグマです。2011年3月12日(つまり東北の大地震の翌日)に投稿した「ドイツ・ニュルンベルク動物園、フェリックスの大活躍 ~ 欧州における偉大な雄の素顔」をご参照下さい。彼は5年前の時点ですらこれだけ移動していたわけです。しかしさらにその後も彼は移動に移動を重ねています。移動場所だけあげれば以下のようになります。

ウィーン(誕生) ⇒ カールスルーエ ⇒ ニュルンベルク ⇒ ゲルゼンキルヒェン ⇒ ニュルンベルク ⇒ オールボー ⇒ ニュルンベルク ⇒ シュトゥットガルト ⇒ レネン

移動することに慣れていたはずのフェリックスで、いつもおとなしく移動用ケージに自分から収まっていたらしいフェリックスですが、さすがに今回は「もう勘弁してよ。」という気持ちだったかもしれません。しかしフェリックスのこうした度重なる移動は、欧州のホッキョクグマ界の良い意味での「流動性」「機動性」を示していると言えそうです。欧州では雄(オス)の個体の繁殖を期待されての移動は勲章なのです。

日本の動物園では、来日してから亡くなるまで一つの動物園で暮らすというホッキョクグマが非常に多かったわけです。そしてそういったホッキョクグマの個体が亡くなったときに、「長いこと本当にご苦労様でした。」という言葉が出てきます。その言葉が悪いというわけでは勿論ありません。その動物園で繁殖に成功してくれていたらこの言葉はもっともっと意味のあるものになるでしょう。「鹿児島・平川動物公園のホクトが亡くなる ~ 34歳の老いた母を遺して相次いで逝った三頭の息子たち」という投稿をご参照下さい。故ホクトの家系は非常に繁殖能力に優れていました。このホクトの弟だったロッテルダム動物園の故エリックこそ、このフェリックスの父親なのです。さて、故ホクトは誕生したベルリンから鹿児島に来て以来、そこを動きませんでした。非常に可哀想なことをしました。彼は他園に移動して日本のホッキョクグマ界で繁殖に貢献すべきだったのです。彼はその真価を発揮できないまま亡くなってしまったわけです。そういった彼に対して亡くなった時に、「長い間ご苦労様でした。」と言うのは本当は奇妙なのです。「長い間、同じ動物園で暮らさせてしまって誠に申し訳ありませんでした。」と言うべきだったでしょう。

(資料)
Leeuwarder Courant (Jun.29 2016 - Tweede ijsbeer AquaZoo komt pas maandag)

(過去関連投稿)
オランダ・レーワルデンのフリースラント・アクア動物園(AquaZoo Friesland)に移動する二頭
オランダのフリースラント・アクア動物園にデンマークのスカンジナヴィア野生動物公園からネヌが到着
by polarbearmaniac | 2016-07-01 00:15 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

アメリカ・トレド動物園のホー..
at 2017-09-26 10:00
ロシア北東部の内陸をさまよう..
at 2017-09-26 03:00
ウクライナ・ハリコフ動物園の..
at 2017-09-25 03:00
ロシア北東部サハ共和国で北極..
at 2017-09-23 22:00
ロシア・ペルミ動物園が間もな..
at 2017-09-23 00:30
大阪・天王寺動物園がゴーゴの..
at 2017-09-22 01:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-09-21 01:00
アメリカ・オレゴン動物園のノ..
at 2017-09-21 00:30
ピョートル(ロッシー)とクラ..
at 2017-09-20 06:00
ロシアのサーカス団の4頭のホ..
at 2017-09-20 00:30

以前の記事

2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Lenin's Tomb: The Last Days of the Soviet Empire


Resurrection: The Struggle for a New Russia


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag