街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシアの巡回動物園「モスクワ・サファリ園」に暮らすウムカとスネジョーク ~ ロシアの闇の部分

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ウムカとスネジョーク (Белые медведи Умка и Снежок)
Photo(C)МАНГАЗЕЯ

飼育下のホッキョクグマを語る場合に現在の我々ではなかなか想像することが難しいのがロシアにおける巡回動物園 (Передвижной зоопарк) におけるホッキョクグマです。この巡回動物園というのは私設の動物園であり、ロシアの地方の中小都市をキャラバンのように回って住民に動物たちを見せるという、いわゆる「どさ回り」の動物園です。以前に「サーカス団のホッキョクグマ、ダーニャは何処に消えた? ~ サーカス団と巡回動物園とを結ぶ暗黒 」という投稿でご紹介していましたが、「私設」を基本的な性格にしているはずの巡回動物園に、ロシアのサーカス団体を統轄する組織であるロスゴスツィルク (Росгосцирк) が参入しており、サーカスで不適格となった動物たちを集め、そしてロシアの各地を巡回する動物園が存在しているわけです。それが巡回動物園「モスクワ・サファリ園 (Московский передвижной зоопарк "Сафари")」なのです。この「モスクワ・サファリ園」は私設というよりも公営に近い「準公営」といった動物園なのですが、その飼育環境が劣悪であることは言うまでもありません。

この巡回動物園「モスクワ・サファリ園」には現在二頭のホッキョクグマが飼育されているのですが、ロシアの他の私設動物園にもホッキョクグマが飼育されているかどうかをかなり詳しく調べているのですが、まだ見つかっていません。しかし存在している可能性は十分あると思っています。過去にはホッキョクグマが演技を行うサーカス団はロシア(ソ連)にはいくつかあったはずで、そういった各サーカス団で不適格となったホッキョクグマが地方の巡回動物園に預けられた例があったわけで、たとえばハバロフスク動物園(プリアムールスキー動物園)の故ゴシなとはその一例です。そういった時代から地方の巡回動物園で生き残っているホッキョクグマが存在している可能性はあるということです。ただしそれを突き止めるのは容易ではありません。とりあえず、この「モスクワ・サファリ園」で飼育されているホッキョクグマについて放送用の映像その他で部分的に映っている映像を集めてまとめてみたのが下の映像です。



「モスクワ・サファリ園」は昨年の秋にアストラハンからヴォルゴグラードといった都市に移動していました。その時の地元TV局のニュース映像を抽出したのが以下の映像です。まあなんとか元気にしているようです。



放送ではこの二頭の名前をウムカ (Умка)とスネジョーク (Снежок)と紹介しています。名前から言ってもこの二頭は雄のホッキョクグマだということです。ようやくこれで名前がわかりました。彼らは間違いなく野生出身であるあずですが、年齢がわかりません。サーカスで不適格の烙印を押されてこのロスゴスツィルクが運営している「モスクワ・サファリ園」に預けらたことモ間違いありません。老齢のホッキョクグマには見えませんから本来はロシア国内のどこかの動物園で引き取ってやり繁殖に寄与してもらうのが一眼よいわけですが、そのあありやはり何かの権利関係がからんでいるのか、それともやはりこういった巡回動物園というのは「闇の世界」という認識がなされているのか、そのあたりはいろいろありそうです。しかしそういった事情とは関係がなくロシアのサーカス団の動物たちの一種の「ファーム」としての受皿として機能しているのが「モスクワ・サファリ園」なのだと理解しておくほうが間違いないでしょう。とはいってもこの悪い飼育環境は何が何でも改善してもらわねばならず、そうなると巡回動物園という環境そのものが問題なのです。

この巡回動物園で飼育されているホッキョクグマの存在こそまさにロシア・ホッキョクグマ界の闇の部分であるといって過言ではないでしょう。私はサーカスでホッキョクグマに演技をさせることはもちろん大反対です。しかし彼らをサーカスから解放してやっても、その結果としてこういった場所に入れられてしまうのでは五十歩百歩なのです。ロシアはもっとこういった動物たちの福祉について真剣に考え、そして彼らにきちんとした暮らしをさせてやる必要があります。

(資料)
Государственный интернет-канал «Россия» (Jun.6 2011 - В Волгоград приехал передвижной зоопарк-сафари) (Sep.15 2015 - Передвижной зоопарк на гастролях в Волгограде пополнился новыми обитателями) (Nov.3 2015 - Львица из передвижного зоопарка родила в Волгограде трех детенышей)
ВИТА (КОНЕЦ КРОВАВОГО ШАПИТО)
Волга (К НАМ ПРИЕХАЛ БЕЛЫЙ МЕДВЕДЬ-ДОЛГОЖИТЕЛЬ)

(過去関連投稿)
ロシア・モスクワ郊外の私設動物園の悲惨な現実
サーカス団のホッキョクグマ、ダーニャは何処に消えた? ~ サーカス団と巡回動物園とを結ぶ暗黒
極地で死ぬかサーカスで生きるか? - "Смерть на полюсе или жизнь в цирке?"
by polarbearmaniac | 2016-07-10 23:55 | Polarbearology

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