街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・タタールスタン共和国 カザン市動物園のマレイシュカの夏の日 ~ 知られざる偉大な母

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マレイシュカ (Белая медведица Малышка)
(2015年8月14日撮影 於 ロシア・カザン市動物園)
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マレイシュカ Photo(C)Комсомольская правда

日本では暑い日が続いています。日本の動物園ではホッキョクグマへの「氷のプレゼント」や「夜の動物園」などのイベントの真っ盛りですが私はそれには一切背を向けています。さてしかし、世界の動物園の飼育下のホッキョクグマたちがこの季節にも元気にしているだろうかということを確かめてことだけは怠りません。特に非常に情報の少ないロシアの地方都市の動物園に暮らすホッキョクグマたちについてです。そうしたうちの一つがロシアのタタールスタン共和国にあるカザン市動物園のホッキョクグマについてです。なにしろ非常に飼育環境が劣っているだけでなく、ホッキョクグマが死亡したとしても公表しないのがこの動物園です。その良い例がペルミ動物園から出張してきたユーコン(白浜のゴーゴの父)だったわけでした。

さて、このカザン市動物園で唯一のホッキョクグマとなっているのが20歳の雌(メス)のマレイシュカです。このマレイシュカはレニングラード動物園の女帝ウスラーダの妹であり、すでに四頭の子供たちの出産・育児に成功しているロシアではすでに「偉大なる母」の領域に入っているホッキョクグマです。しかし彼女は現在はパートナーがいない状態であり、このカザン市動物園で一頭で暮らしています。その彼女の近況というものを把握することは容易ではありません。現在のロシアではノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマたちの情報が断トツに多くネットで紹介されているのはノヴォシビルスク在住の地元の熱心なファンの方々の功績だと言えましょう。しかしノヴォシビルスク動物園のゲルダよりも繁殖の実績のあるカザン市動物園のマレイシュカについてはカザンの地元にはホッキョクグマのファンという方はいらっしゃらないようですしカザン市動物園も彼女の姿をネットで発信しようという気はないようですので、マスコミの映像など極めて稀にしかその菅らを見せるということはありません。そういったマレイシュカをなんとか盛り立ててやりたいと私も現地から写真や動画をアップしたりしてきたわけです。しかし悲しいかな、マレイシュカは欧米では認知度の低いホッキョクグマなのです。

カザン市動物園のマレイシュカ (2015年8月14日撮影 - The profile of Malyshka the polar bear(2) at Kazan Zoological Garden, Russia)

このマレイシュカですが、高温の夏の日が続くカザンと、そこの動物園の動物たちの様子を報じる本日付のコムソモリスカヤ・プラウダ紙の記事にマレイシュカが久し振りに元気な姿を見せています。
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マレイシュカ Photo(C)Комсомольская правда



カザンもここ連日は最高気温が30℃を超え、マレイシュカも冷凍の鶏肉なとをもらっているそうです。以前ここに暮らしていた雄のユーコンは夏にはホースで水をかけてもらうことが大好きだったそうですが、このマレイシュカはそれが大嫌いだそうで彼女に水をかけると走り出してヒステリックな態度でそれを拒否するそうです。このマレイシュカはまだ20歳ですからこれからも十分繁殖が可能なのですがパートナーがいないのが頭の痛いところです。昨年はチェリャビンスク動物園の雄のアルツィンが出張してきたわけですが残念ながらマレイシュカは出産に至らなかったわけでした。このカザン市動物園の飼育環境では、たとえばロストフ動物園のテルペイなども候補には成り得るものの連れてこられた雄は可哀想な話です。しかしレニングラード動物園のあの偉大なるウスラーダはこの動物園のこの環境の中で生まれたわけです。またペルミ動物園のアンデルマやとくしま動物園の故バーレーも一時期この動物園で暮らしていたわけです。

カザン市動物園も現在この場所のすぐ横の地区に新しい動物園を建設中です。その概要は以下の映像でご覧になれます。



カザン市動物園は他に、現在ブラジルのサンパウロ水族館で飼育されている雄のピリグリムの所有権と雌のオーロラの飼育管理義務を保持していますので、この二頭が新動物園の完成後はカザンに戻ってくることになっています。しかしそれまでの間このマレイシュカの繁殖はどうするつもりでしょうか? このあたるは多分何らかの対策があるとは思いますがこのカザン市動物園からはそういった情報が出てくることは非常に稀でしょう。情報を収集することが非常に難しく、そして謎の多いのがこのカザン市動物園なのです。

(*追記)このホッキョクグマの名前の "Малышка" は本当は「マリィシュカ」と表記すべきなのですが、カザン市動物園はキリル文字をローマ字に返還する際に "Malyshka" とローマ字変換すべきところを最初は "Maleishka" そして次にそれを訂正して "Maleeshka" と表記して血統登録を行っってしまったわけです。これらはいずれも不正確な変換ではありますが、しかしこのローマ字表記を踏襲して本ブログでは「マレイシュカ」と表記しています。

(資料)
Комсомольская правда в Казани (Aug.5 2016 - Жара в Казанском зооботсаду: айс-меню для белых медведей и барсы под кондиционером)
Вечерняя Казань (Oct.2 2015 - Рвы и провода под током заменят клетки в казанском зоопарке)
Республика Татарстан (Aug.5 2016 - Белого медвежонка назвали Пимка)
Вечерняя Казань (Apr.15 2013 - МЕДВЕДЬ В ПЛОМБИРЕ) (Jun.6 2015 - ПСО «КАЗАНЬ» СОТВОРИТ «РЕКУ ЗАМБЕЗИ»)

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by polarbearmaniac | 2016-08-05 23:55 | Polarbearology

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