街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 「ゲルダ/シルカ」、「バフィン/モモ」と比較する

a0151913_0305842.jpg
ゲルダお母さんとロスチク Photo(C)Nina Kurbatkina

昨年2015年の12月7日にロシアのノヴォシビルスク動物園でゲルダお母さんから誕生した雄のロスチク (Ростик)の成長を追っています。漫然と映像を見ていくのではなくテーマを絞って行動を見ていきたいと思います。最近一週間ほどで現地の方が撮影されたゲルダとロスチクとの映像の中で今回は水中での親子の「スキンシップ」といったシーンを見てみましょう。





上の二つのようなシーン、特に母親が子供を後ろから押さえつけてしまうといったシーンは札幌のララが得意としているのですが、このシーンを単なる「遊び」と考えるか、それとも何らかの「訓練」と考えるかは微妙な点があるように思います。この二つが結合していると考えるのが妥当であるとは思うのですが、上のゲルダとロスチクのシーンは、たまたま一日の行動の中で親子が水中で接近した際の「絡み合い」といった要素が大きいように思うわけです。次のシーンですが母親は同じゲルダであり、その相手は娘のシルカです。

ゲルダとシルカ (Gerda and Shilka the plar bears are playing in the water, at Novosibirsk Zoo on Sep.12 2014.)

前回も述べましたが、上のシーンではゲルダお母さんとシルカとの間に何か行動のリズムがうまく噛みあっていないように思いますし、距離間についてはかなり不安定な感じがしています。次に札幌のララのシーンを同じく二つご紹介しておきます。相手となっているのは娘のリラです。

ララとリラ (Lara the polar bear combines(2) giving an ordeal to her cub in the water, with her own pleasure, at Sapporo Maruyama Zoo, on Aug.24 2015.)
ララとリラ (Lara the polar bear gives lessons to Lilas, her cub, at Sapporo Maruyama Zoo, on Oct.24 2015.)

上の二つのララ親子の映像では、やはりララお母さんの行為は「遊び」というものを大きく含んでいるものの何か「訓練」といった要素も強く感じさせます。これはララの「得意技」であるわけですが、自分の娘への過度の集中ではなく一日の全体の生活の中のシーンとして実によく溶け込んでいるように思いますし母親としての貫録をも感じさせます。母親としての「役割と責任」を、自分の楽しみとしての「遊び」、この二つを高い次元において結合させた点で素晴らしいものだと感嘆せざるを得ません。 こういった点でララは世界でも指折りの優れた母親なのです。 次は大阪のバフィンお母さんとモモのシーンです。

バフィンとモモ (Baffin the polar bear and her female cub Momo play together in the water at Tennoji Zoo, Osaka, on Aug.27 2015.)

バフィンとモモ (Baffin and Momo, the polar bears enjoy themselves together in the water, at Tennoji Zoo, Osaka,on Jun.9 2016.)

水中で子供の背後に回り込むということは子供に対する支配力がなければ難しいわけで、そうやってみで後方から子供を押さえつけるというのは、やはり母親にその行為が何らかの「訓練」であるという自覚が必要になってくるわけです。ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんは、最初の育児体験であったシルカの場合には娘の背後に回り込むといったような行動は少なかったと記憶しています。しかし今回のロスチクに対する態度にはシルカに対する時にはあまり見られなかった、何か子供に対する母親の「叱咤」のようなものを感じさせる瞬間がいくつもあり、ゲルダお母さんの母親としての良い意味での「責任」というか「自覚」というか、そういったものがかなり顕著に出てきているように思います。やはりゲルダは母親としての潜在的な能力が非常に大きいということがわかるように思います。

これはあくまでも私の印象ですが、「ゲルダ/シルカ」と「バフィン/モモ」を比較すると母親の育児においてはバフィンのほうがかなり優れた母親であるように思います。これには説明が必要なのですが、つまりバフィンは自分の能力のキャパシティーのほとんど100%を発揮してモモを育てた(育てている)わけです。ただし、この母親の能力のキャパシティーの大きさはバフィンよりもゲルダの方がかなり容量(あるいは「器の大きさ」と言ってもよいかもしれません)は大きいように思います。ただしゲルダはそれだけの容量(あるいは「器の大きさ」)をシルカへの育児において十分に発揮できていなかったわけで、総合的に見れば「ゲルダ/シルカ」におけるゲルダは「バフィン/モモ」におけるバフィンに負けていたと思うわけです。ところが今度の「ゲルダ/ロスチク」ではゲルダのもともと大きい「器の大きさ」、あるいは潜在能力の大きさがかなり発揮されてきているようです。こうなると、あくまで現時点での印象では「ゲルダ/ロスチク」におけるゲルダは「バフィン/モモ」におけるバフィンに優っているように私には見えます。あくまでも映像で得た印象だけでの話です。

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、一瞬姿を見せる ~ 'authenticity' への視座
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんがゲルダお母さんと本日、初めて5分間だけ戸外に登場!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダ親子の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの声を札幌のリラ、大阪のモモと比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの性別予想に盛り上がる地元 ~ 雄(オス)の予想に高い支持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 親子関係を破壊しかねない来園者のエサやり行為
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、日曜日に来園者が入場に長蛇の列 ~ 大人気のゲルダ親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、生後100日を超える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんは雌(メス)と判明 ~ 赤ちゃんはシルカの妹だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名への同園の迷い ~ シルカ同様の過熱を恐れる同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ララ/アイラの多層的な親子関係と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃん命名について沈黙状態 ~ 「シルカ事件」から学ばぬ同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃんの性別を訂正発表! ~ 赤ちゃんは雄(オス)だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんとオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)のプール開き
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が「ロスチク (Ростик)」に決まる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんの機嫌を損ねないように巧妙に立ち回るロスチク
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ 「シルカの物語」を乗り越えられるか?
by polarbearmaniac | 2016-08-09 00:30 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ロシア・西シベリア、セヴェル..
at 2017-06-22 23:00
ロシア・中部シベリアに記録的..
at 2017-06-21 18:30
アメリカ・フィラデルフィア動..
at 2017-06-20 23:50
デンマーク・オールボー動物園..
at 2017-06-19 22:00
オーストラリア・ゴールドコー..
at 2017-06-19 20:30
モスクワ動物園・ヴォロコラム..
at 2017-06-18 21:00
フランス・ミュルーズ動物園の..
at 2017-06-17 23:00
エストニア・タリン動物園の雄..
at 2017-06-16 23:55
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2017-06-15 23:55
ロシア・ウラル地方 ペルミ動..
at 2017-06-14 23:55

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin