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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中国・青島市の極地海洋世界の萌宠 (豪太の弟)、その存在と近未来で交差する不気味な影

中国・青島市の極地海洋世界の萌宠 (豪太の弟)、その存在と近未来で交差する不気味な影_a0151913_23192222.jpg
萌宠 Photo(C)青岛海昌极地海洋世界

最近、当ブログの内容はカッサンドラ調となっています。飼育環境には一部問題はあったり頭数の減少はあるものの日本のホッキョクグマ界は今までなんとか命脈を保ってきたわけですが、そういった日本のホッキョクグマ界も、これから数年のうちに大波が押し寄せてくることが予想されるわけで、そういったことに警鐘を鳴らしておきたいという危機意識からの投稿が最近多くなっています。

さて、ロシアのノヴォシビルスクにお住まいの何人もの(ホッキョクグマの)ファンの方々は、果たしてたった二年半ほど前までノヴォシビルスク動物園で飼育されていた一頭のホッキョクグマについて果たしてまだ記憶があるかをお聞きしてみたいわけですが、まあそれはそれとして今回はその一頭のホッキョクグマについて私なりの観点で投稿しておきます。まず過去関連投稿のうち、「ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で待機中の2歳の雄の幼年個体 (豪太の弟) が中国へ」という投稿を最初に御参照頂き、そしてできましたら下の過去関連投稿の全てを順を追ってご参照頂ければ幸いです。この一頭のホッキョクグマというのはモスクワ動物園で2011年11月25日にムルマお母さんから生まれた雄の個体で、彼は2013年6月にモスクワ動物園からノヴォシビルスク動物園に移動し、そして翌2014年2月に中国へ旅立っていったわけです。具体的な行先は中国・山東省の青島市の海昌極地海洋世界でした。この一頭の雄のホッキョクグマについてのその後の動向は長くわからなかったわけですが、その元気な姿が同施設のHPの中で最近になって紹介されてました。それが冒頭の写真です。体型は明らかにロシアのホッキョクグマに典型的なものです。現在の名前は萌宠("Meng Chong")というようですが、まだパートナーはいないようです。この雄のホッキョクグマは当時2歳だった2014年にロシアから中国へ12万5千ドルで売却された個体なのですが、現時点ではロシアから国外に「単純売却」された個体としてはその最後の個体ということになります。「単純売却」とは、その個体が複数の他種の個体と「抱き合わせ」にはされず Untied で売却されたという意味です。大阪のシルカの場合はパートナーの存在(つまりゴーゴ)が条件とされたわけですから厳密な意味での「単純売却」とは言えないわけです。
中国・青島市の極地海洋世界の萌宠 (豪太の弟)、その存在と近未来で交差する不気味な影_a0151913_164533.jpg
萌宠 Photo(C)北京途牛国际旅行社

この雄の個体はムルマの息子ですから、つまり男鹿水族館の豪太の一番下の弟にあたるわけです。ミルクの叔父さんということになりますね。なかなか素晴らしい顔立ちをしていると思います。この個体はパートナーがいないわけで、中国のホッキョクグマ界の現状を考えればこれからもパートナーが与えらえず、単にこの施設で展示されているだけのホッキョクグマとして一生を終える可能性があるでしょう。なにしろ中国国内には広域にわたるホッキョクグマの繫殖計画というものは存在していないわけです。さらにこの個体は、将来的にこの施設を経営している企業が中国国内に所有している別の施設に移動する可能性もあると思われます。そうなった場合、いったいどこに移動したのかがわからなくなる可能性は大きいでしょう。

さて、以前に「ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園が静岡・日本平動物園に突き付けた法外な条件」という投稿で述べたのですが、仮に本当に日本平動物園が何が何でもピョートル(ロッシー)の所有権を得たいと考えてヴァニラとの間に誕生した5頭の赤ちゃんを次から次へとレニングラード動物園に「引き渡した」場合、それはすなわちレニングラード動物園はその個体を中国に高額で売却するであろうことは必至の情勢ですから、そゥいった個体を購入するためにこの青島の海昌極地海洋世界が必ず手を挙げてくることも必然なのです。そういう事態が今後数年以内に起こるでしょう。日本平動物園が最速で5頭のホッキョクグマをレニングラード動物園に「引き渡す」意図ならば、それはこういうこととなるでしょう、つまり「一年サイクル」の繫殖を試みれば可能であるということです。このためには「強制離乳」という方法があるわけです。かつて1980年代に札幌の円山動物園がそれをやったわけです。どういうことかといいますと、母親が赤ちゃんを育てようという意思の有無にかかわらず誕生の翌年の3~4月に赤ちゃんを母親から強制的に引き離し、そして母親はすぐにまたパートナーとの間での繁殖を狙わせるというやり方です。先年ヨハネスブルグ動物園で惜しまれつつ亡くなったポロは、まさにそういう形で札幌・円山動物園で春に無理やり母親から引き離されたわけです。端的に言えば一頭の雌のホッキョクグマに毎年出産をさせようというホッキョクグマの繁殖に関する究極的な方法です。日本平動物園が仮にこういう方法を採用しますと4年ほどで5頭の赤ちゃんをレニングラード動物園に引き渡すことは可能です。そうやって順調にいけば2020年頃にはピョートル(ロッシー)の所有権を日本平動物園が得ることが可能になります。しかしピョートル(ロッシー)はずっと借り物の状態のままでよいと日本平動物園が考えるならば繫殖の成果物の「強制離乳」は不要でしょう。
中国・青島市の極地海洋世界の萌宠 (豪太の弟)、その存在と近未来で交差する不気味な影_a0151913_1131735.jpg
萌宠 Photo(C)青島海昌極地海洋世界

条件が Untied で中国に売却されたこの青島市の海昌極地海洋世界のムルマの息子、そしてレニングラード動物園が何としても中国に Untied で売却するために得たい日本平動物園での繁殖の成果物、この二つはアジア極東地域におけるホッキョクグマの近未来における深層の部分で奇妙な形で交差することとなるでしょう。

(資料)
青岛海昌极地海洋世界 (极地新闻 - 科普性强)  

(過去関連投稿)
モスクワ動物園、禁断・非公開のムルマお母さんと秘匿された2011年誕生個体の姿 ~ 闇に沈む深い謎
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園にモスクワ動物園から雄の幼年個体が到着 ~ 謎と暗黒の闇
ロシア・西シベリア ノヴォシビルスク動物園に移動したモスクワ動物園生まれの幼年個体の姿
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園で待機中の2歳の雄の幼年個体 (豪太の弟) が中国へ
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の幼年個体は中国・青島市の極地海洋世界が仕向地と判明
by polarbearmaniac | 2016-08-26 01:30 | Polarbearology

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