街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中露国境地帯、沿海州ウスリー河の大ウスリー島(黒瞎子島)に全種類の熊を飼育する動物園が開設へ

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大ウスリー島のサファリ動物園予定地 Photo(C)AmurMedia

実にスケールの大きなニュースが報じられました。ロシア極東・沿海州のウスリー川とアムール川が合流する位置にあって以前からロシア(ソ連)と中国との間で領有権に紛争があった大ウスリー島(остров Большой Уссурийский/中国名:黒瞎子島)は長年にわたってロシア(そしてソ連)が実効支配を続けてきたものの2008年にロシア(プーチン大統領)は中国との間で協定を締結し、この島に関してはその西半分を中国に返還したという経緯があります。この件については北海道新聞の映像サイトのこのページを開いていただいて、そのニュース映像をご参照下さい。
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この大ウスリー島の西半分、つまりロシア領から中国領になった地域(中国の行政区画では黒龍江省・撫遠市に属することとなるはずです)に数年前に自然を生かした開発計画が告示され、その中には130ヘクタールの「サファリパーク」のいう動物園を新設しようという計画が含まれていたわけです。

そして今回、この計画が実施に移されることとなり「サファリパーク」というその動物園の建設工事が開始されたと同時に、この動物園の内容も明らかになったのですが、驚くべきことにこの動物園の主たる展示は世界中の全ての種類の熊をここで飼育するという企画なのだそうです。そしてその展示方法はいわゆる「サファリパーク」という、今までの動物園における熊の展示とは異なるものとなるようで、欧州におけるデンマークのスカンジナヴィア野生動物公園やスコットランドのハイランド野生公園と同じコンセプトのものが出来上がるということにあるようです。これは中国とロシアとの国際協力プロジェクトのようですが、こうして領土問題解決後に中露がこうした形で共同計画を進めていくというこの「サファリ動物園」などの大型プロジェクトは、なにか非常に大陸的なスケールというものを感じさせます。「サファリ動物園」を手始めとしてこの大型プロジェクトは全体としては観光施設としての性格を持つわけで、順次工事が行われていくようです。

さてそうなると、ホッキョクグマの飼育環境は従来の動物園におけるものよりも遥かに優れたものとなるはずで、極めて注目すべき施設となると思われます。この「サファリ動物園」で飼育されるホッキョクグマはおそらくロシアから移動してくる個体となるわけで、そこで繁殖を担っていくということになるでしょう。「サファリ動物園」はその工事は開始されたものの報道では完成時期については触れていないようです。

日本の動物園を取り巻く状況は少しずつ厳しさを増してきているというわけです。ロシアのホッキョクグマというのはこうして全て繁殖計画のなかに組み入れられ、そして環境の良い動物園に移動していくことになりますから、日本に新たに導入するということはますます困難になっていくというわけです。

日本でも同じことをやろうと考えれば北方領土の色丹島(Остров Шикотан)でしょうね。いずれにせよ北方領土問題は色丹島と歯舞群島の返還で解決するということになるでしょう。そうなった場合にロシア領として残る国後島(あるいは択捉島)での日露共同プロジェクトで観光資源の開発の一貫としてこのような「サファリ動物園」という構想は出てこないとも限りません。問題は交通のアクセスと集客力でしょう。

(資料)
Город Фуюань 抚远市 (Aug.26 2016 - На китайской половине Большого Уссурийского начали строить зоопарк)
AmurMedia (Aug.26 2016 - Медведей всех пород разместят в зоопарке на китайской половине Большого Уссурийского)
by polarbearmaniac | 2016-08-26 23:00 | Polarbearology

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