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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」に見るポロロの質的な成長 ~ 母親ララを凌いだ技術

とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」に見るポロロの質的な成長 ~ 母親ララを凌いだ技術_a0151913_23162473.jpg
ポロロ (Белая медведица Пороло)
(2015年12月5日撮影 於 とくしま動物園)

とくしま動物園のポロロ(2012年12月8日、札幌・円山動物園生まれ)について地元の方が毎週定期的に映像を公開している「週刊ポロロ通信」については以前にも触れていますが、ポロロの姿を徹底的に平凡な日常生活の視点からとらえ、そして彼女の多彩な姿をさりげない形で見せてくれるという点で実に優れた連載シリーズであると思っています。前回の投稿から現在までアップされたもののうちのいくつかを見てみましょう。

7月中旬のこの下の映像には驚きました。小さなブイに入っている食べ物を取り出すポロロの姿にご注目下さい。ブイを口で咥えたまま右前脚を手前から外に動かすことで中に入っているものを取り出しています。これは極めて効率的なやり方ですね。あのララすらやらない高度なテクニックだと思います。同じだけの時間でポロロはララ以上に多くの食べ物をブイから取り出す技術を習得しているのです。



今年の夏のポロロは昨年のような薄毛ではなく、また体も大きくなってふっくらしているように見えます。体調も良いようですね。



次は8月に入ってからの映像ですが、ポリタンクの中には食べ物があり、ポロロがやはり同じテクニックで中身を全て外に出して少しだけ食べたあとで、このポリタンクをおもちゃにして遊び始めます。取り出したものの多くは後から食べればよいのだという考え方なのでしょう。まずポリタンクで遊びたいのだから、その中身は先に出しておくという発想なのです。理屈に合った考え方です。つまりポロロは自分の行動のスケジュール管理と時間の切り分けができているわけです。このポロロの行動は合理性というものに立脚しているわけです。



この下は最新の映像ですが、ここでもポロロの優れたテクニックが見事に発揮されているのがわかります。



ポロロの成長というのは単に体つきがしっかりしてきたといってような外見的な成長だけではなく、そこに質的な要素が伴っていることがよくわかる映像だと思います。進化するホッキョクグマであるという点でポロロは母親であるララに似てきたように思います。こうしたポロロの成長していく姿は "Bildungsroman" そのものだと言ってよいでしょう。現在ポロロは3歳ですが、世界中の飼育下の3歳のホッキョクグマで、このポロロほど質的な意味で充実した成長を遂げつつある若年個体は一頭もいないだろうと思います。そして3歳以下の世界の飼育下の雌(メス)のホッキョクグマではポロロ、シルカ(大阪)、ノリア(ブルノ)、この3頭が抜きん出た存在ではないかと私は思っています。

(過去関連投稿)
移動先でのホッキョクグマの近況をどう知り、そしてどう伝えるか? ~ エメン、大阪、徳島...
とくしま動物園のポロロの成長を追う「週刊ポロロ通信」を称える ~ 世界で最も優れた若年個体の成長記録
(*回想のマルルとポロロ)
回想のマルルとポロロ(1)~ 2013年初夏の札幌
回想のマルルとポロロ(2)~ 2013年秋の札幌
(*札幌よりのポロロ、マルルの旅立ち関連)
札幌・円山動物園での 「マルルとポロロを送る会」 ~ "Auf Flügeln des Gesanges..."
ララお母さんとマルル、ポロロの最後の一日
全てを察知し、全てを理解し、そして最後に全てを諦念で受け入れた偉大なる母、ララの姿
マルルとポロロの札幌よりの旅立ち ~ いささかの心残り
娘たちの去った日のララお母さん、心の葛藤、そして虚脱感、そして哀しさの片隅に希望への眼差し
(*徳島のポロロ、熊本のマルル関連)
とくしま動物園でのポロロ歓迎式、そしてポロロの自信に溢れた徳島での公式デビュー
ポロロ、その優れた適応性、そしてその執着力が予感させる器の大きさ ~ 大輪晩開の花
熊本市動植物園での、いささか精彩に欠いたマルルの熊本公式デビュー ~ "Marle of Our Time"
マルル、その「正統派ホッキョクグマ」 が克服を期待される試練 ~ 「我らが時代」のホッキョクグマの姿
熊本市動植物園でマルルの歓迎会が開催される
大きく成長を遂げつつあるポロロ ~ クーニャよりもシヌックの影を強く感じるララファミリーの子供たち
冷雨の日曜日、間近に見るポロロの表情 ~ 亡きシロー爺さんに見守られているポロロが優位に立つ
マルルの "Perpetuum mobile" ~ 公開後、約一か月が経過したマルル
マルルに当分の苦境は続くか? ~ "Every cloud has a silver lining."
マルル、まどろみの日曜日
ポロロとマルルが暮らす徳島と熊本の二つの動物園の印象 ~ 「組織の徳島、人の熊本」
マルルが取り戻した快活さの裏側 ~ 多大な労力で「幻影」の維持を強いられる飼育員さんへの同情
熊本の夏の入り口の暑さにも動きが鈍らないマルル ~ in/outdoorの扉開放方式の試験的導入が成功
夏の暑さの到来した徳島にあっても、立ち止まることなく前進するポロロの「快進撃」
ポロロこそララの後継熊なのか? ~ マルルを突き放し姉のアイラに肉薄する稀有の逸材の歩む道
真夏日の徳島、ポロロのゆったりとした日曜日
「正統派・アポロ的ホッキョクグマ」であるマルルの逆襲の条件を探る ~ 精神の自由の付与で「快適さ」へ
ポロロの二つの「動と静」のドラマ (前) ~ 水中での避暑と遊びとを共存させ 「痛みを経ての快感」 へ
ポロロの二つの「動と静」のドラマ (後) ~ 休息と外界よりの刺激(おもちゃとおやつ)が無理なく共存
猛暑の熊本に見たマルル ~ 失わない爽快な動き
ようやく自分の世界を確立したマルル ~ ポロロへの追い上げ態勢に入る
蒸し暑い曇天の日曜日のマルル ~ 飼育員さんからの刺激を日常生活の重要な部分に取り込み糧とする
「雨ニモマケズ雷鳴ニモマケズ...」 ポロロの悠然とした台風接近の日の土曜日
確固とした存在感を確立し、さらに進化を遂げつつあるポロロ ~ その非凡なるホッキョクグマの姿
豪雨の日曜日にポロロの奏でる遊びのファンタジー
尊重されるポロロの自由意思、そして有益な死角の存在 ~ 日本で一番大事にされた個体となったか?
爽快な秋晴れの徳島、二ヶ月半振りのポロロとの再会 ~ 持久力と集中力の増した輝かしい成長
ポロロ、その行動と思索 ~ 「哲人的ホッキョクグマ」 という前人未到の領域への進化・発展を目指す
連日の秋晴れ、ポロロの日曜日 ~ ポロロとマルル・ミルクを隔てるものは 「伸びしろ」 の大きさか?
秋の熊本に到来した札幌の夏、そしてマルルのハロウィン ~ "Make-believe Halloween" の楽しみ
マルル、その「正統派・アポロ的」かつ天恵の存在の成長と、五里霧中の将来の展望が醸し出す悲哀感
マルル、その淡々とした歩みの日曜日
ポロロ (とくしま動物園) が飼育展示場の水槽の一部を破壊する! ~ 補修工事中の数日間は展示中止 
冬の到来を拒否する熊本の陽光、青空の下でのマルル ~ 北の街から来た仲間 「聖なるもの」 と共に
天恵のホッキョクグマ、マルルの歩むべき道
阿波の国をも襲った冬の寒波、山々の冠雪と展示場に復活した薄毛のポロロのゆったりとした土曜日
ポロロの二歳の誕生会 ~ 集中力、持久力を増した揺るぎ無き成長を続けるポロロの快活な日曜日
梅雨入りを吹き飛ばす絶好調ポロロの豪快な快進撃 ~ 「アーチ型」のポロロと「パルス型」のミルク
二歳半となったポロロ、その揺るぎない成長  ~ 徳島で「ララ・ファミリー」を考える
典型的な梅雨期の曇天の下、ポロロの過ごす日曜日 ~ 何故ポロロは円盤状のものが好きなのか?
一年ぶりの熊本、マルルの成長を追って ~ 「天恵のホッキョクグマ」の待機期間
マルル、その「流線型のホッキョクグマ」への華麗なる変貌
師走の晴天の土曜日、とくしま動物園のポロロの快活な動き ~ 過不足無きエンリッチメントの充実さ
ポロロの確固とした成長 ~ いったい本当の「勝者」は誰なのか?
by polarbearmaniac | 2016-09-01 00:30 | Polarbearology

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