街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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熊本市動植物園のマルルを想う

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マルル (Белая медведица Марле)
(2015年11月21日撮影 於 熊本市動植物園)

さて、熊本市動植物園のマルル(2012年12月8日、札幌・円山動物園生まれ)が熊本地震の被害で閉園状態となったままの同園において、我々一般来園者の前から姿を消した形となって約4ヶ月半が経過しています。彼女が元気でいることは同園の飼育員さんのブログで写真と共に明らかにされています。そもそもマルルは札幌・円山動物園からの預託個体ですので彼女が公開されていようがいまいが、それは大した問題ではないとも言えます。ちゃんと飼育されていれば預託契約の目的は果たされているわけです。マルルは同園において来園者の視線が全くない状態で暮らしているわけですが、単に彼女の立場だけで考えてみれば、こうして事実上の非公開状態となっているほうが気分的には楽でしょう。仮に熊本市動植物園が開園していてマルルが公開されているほうが彼女の存在意義が大きいだろうといった考え方は、全く別の「評価」という視点からの問題であるということです。
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マルル(2015年11月21日撮影 於 熊本市動植物園)

円山動物園がこういったララファミリーの若年個体たちの今後についてどう考えているかは私にはわかりません。まさかマルルは「見捨てられている」といったことはないでしょう。しかし日本のホッキョクグマ界のこれからを考えれば何か具体的な方針がなければならないはずです。ともかくマルルについては現行の預託契約期間終了後は札幌に戻すのが筋でしょう。仮に「飼育下のホッキョクグマは展示されてこそ意義がある。」といった考え方をするとすれば神戸の王子動物園にでも移動させて、みゆきとでも同居させるほうがよいのかもしれません。マルルの存在について「地震被害からの復興の心の支え...」といった要素は人間の側の問題であり、何らかの形でそれが意識下の問題として存在するとすれば、それは飼育下のホッキョクグマの福祉とは全く別の問題としてでありましょう。私にはこれほどまでにマルルとポロロの双子が異なった道を歩むということは想像すらできませんでした。それと比較するとイコロとキロルはそれぞれ現在は全く別の場所にはいますが、本質的には同じ道を歩んでいるということです。ところがマルルとポロロは全く別の場所にいることはもちろんのこと、与えらえた運命そのものに劇的な相違が生じてしまっているということです。

(過去関連投稿)
ノルウェーの極地動物園、ララの子供たちの入手を狙い円山動物園と接触か? ~ 報道内容の真偽を検証する
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札幌・円山動物園の新ツインズ(ノワールとブランシュ – 仮称)、そして他のララの子供たちの将来 (上)
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ララの子供たちの将来(下) ~ ドイツ・ハノーファー動物園のシュプリンターとナヌークのハロウィン
熊本のマルルと徳島のポロロの預託期間延長はあるか? ~ 霧の中の日本のホッキョクグマ界
熊本市動植物園のマルル、とくしま動物園のポロロの預託期間が1年延長へ ~ Polar Bears on call
熊本市動植物園、地震発生約一週間後の4月22日のマルルの元気な姿 ~ 地震直前に野鳥一斉に去る
(*回想のマルルとポロロ)
回想のマルルとポロロ(1)~ 2013年初夏の札幌
回想のマルルとポロロ(2)~ 2013年秋の札幌
by polarbearmaniac | 2016-09-02 01:00 | Polarbearology

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