街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア極北で保護のホッキョクグマの野生孤児のモスクワへの移送の様子が公開 ~ ロシア軍が輸送に協力

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リィルカイピ村で保護された野生孤児 Image : РЕН ТВ

数日前からロシアの最北東端のチュクチ自治管区のリィルカイピ(Рыркайпий)村の付近で孤児となっていたホッキョクグマの幼年個体が発見・保護されモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に輸送されたニュースを順次投稿してきました。ロシアのTV局がこの孤児個体の保護とモスクワ動物園への移送についてその模様を伝える映像をTVニュースの中で公開しましたのでご紹介しておきます。こういった野生孤児の保護や移送については私たちには非常に馴染みが薄いわけで、どうしても映像で見ておく必要があるわけです。それからこの野生孤児の性別なのですが、今回のニュース報道では "девушка" とか "медведица" とか女性形になっていますので雌(メス)ということになるようです。ちょっと意外な気持ちがしますね。本当に性別チェックを行った上でそう報道しているのでしょうか?
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Image : РЕН ТВ

まず最初の映像ですが、これはこの孤児をリィルカイピ村で保護する際に閉じ込めて外に出られないようにしていた様子がよくわかります。こうやって閉じ込めておきませんとこの孤児は再び野外に出てしまい、そして食べ物を独力で求めることができずに餓死してしまうからです。当初はWWFロシア支部の「ベアパトロール(«Медвежий патруль»)」という野生個体保護チームがこうしたことについて対応し、そしてモスクワ動物園のスタッフが現地に派遣されたわけですが、モスクワ動物園の園長さんはこの孤児の輸送についてロシア国防省(Министерство обороны Российской Федерации)に協力を求めたそうで、それに応えてロシア軍がこの村から近くの街までのヘリコプターでの輸送と空軍による首都モスクワまでの軍用機での輸送を行ったそうです。音声はonにして下さい。



二番目の映像は全国ニュースの映像です。



ロシア軍といえば実に強面で怖いイメージなのですが、こういったことに協力するというのも何かロシア人の熊に対する感情と言いますか、あるいはいつかも述べましたが何か歴史的・文化的な背景を感じてしまいます。ロシア国防省の広報サイトでも今回の「輸送作戦」について述べており映像も公開しています。それが下の映像です。軍のスタッフもインタビューに答えています。



以前にペルミ動物園のセリクが野生孤児として保護された件を詳しくご紹介した中でペルミ動物園のスタッフは、こういった野生孤児の保護には極北の地から動物園までの輸送の手段の確保が何よりも大切であると述べていました。まともにヘリコプターや輸送機をチャーターする資金など動物園にあるはずがありませんので、どうしても自治体などの当局の力を頼りにするしかありません。今回はロシア軍という最強の協力者があったわけで何よりのことでした。こういったホッキョクグマのたった一頭の孤児の輸送のために国防省がわざわざ軍を動かすというのですからロシアという国は本当に不思議な国です。

この野生孤児個体は母親と別れてしまい本当に気の毒ではありますが、これからは飼育下で可能な限り伸び伸びと成長してほしいものです。

(資料)
Телеканал "Звезда" (Регистрация) (Sep.14 2016 - Погибающего на Чукотке белого медвежонка спасли по личному приказу Шойгу)
Шанс-online (Sep.14 2016 - По приказу Шойгу на Чукотке спасли погибавшего белого медвежонка)
«Телекомпания НТВ» (Sep.14 2016 - На Чукотке военные выручили из беды белого медвежонка)
"Вести" интернет-газета" (Sep.14 2016 - На мысе Шмидта военные спасли белого медвежонка)

(過去関連投稿)
ロシア極北・チュクチ自治管区 リィルカイピ村でホッキョクグマの生後約8ヶ月の孤児が発見・保護される
ロシア極北 リィルカイピ村で保護された推定生後8ヶ月の孤児はモスクワ動物園で保護・飼育が決定
ロシア極北で保護されたホッキョクグマの野生孤児がモスクワ動物園・ヴォロコラムスク附属保護施設に到着
by polarbearmaniac | 2016-09-14 18:30 | Polarbearology

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