街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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浜松市動物園のモモの不調の原因は何なのか? ~ 展示時間の長さの変化にまだ対応できないためか

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モモ (Momo the Polar bear cub) 
(2015年3月14日撮影 於 天王寺動物園)


バフィンとモモの親子が大阪の天王寺動物園から浜松市動物園に移動してから、もうかれこれ三ヶ月が経過しています。この親子の浜松での様子はシルカを介したロシアと日本のファンの交流SNSサイトにアップされている同好の方々の写真や映像を拝見し楽しんでいます。さて、ところがどうもここ最近8月中旬頃から、モモの調子が万全ではないようで展示の中止などの告知が浜松市動物園よりなされることもしばしばのようです。ケガだったり体調の不良だったりということのようです。
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モモ(2015年3月14日撮影 於 天王寺動物園)

これは確たる根拠は勿論無いのですが私が思うには多分、モモが一日の生活のリズムを確立できず、活動のバランスを崩したために生じたことのように思います。6月まで大阪ではこの親子は半日展示だったわけですが、バフィンというのは「飼育されることに慣れた」ホッキョクグマであり、終日展示ならばそのように、そして半日展示ならばそのようにと、自分の一日の活力をうまく切り分けて生活することのできる老練なホッキョクグマなのです。大阪時代のモモはそういったバフィンにくっついていれば済んだ話だったわけです。ところが浜松では大阪のような「半日縛り」がなくなったわけです。バフィンはそれならそれでノラリクラリと一日のスタミナをうまく配分して見事に適応しているということです。ましてや彼女は古巣に戻った気安さもあるでしょう。ところがモモは大阪時代と違う生活の時間を与えられたものの、自分自身の活力の配分をできるほどの経験がないわけです。ですから活動のどこかに無理が生じてしまい、ケガをしたり体調が万全ではなくなったりしやすいと解釈するのが合理的なように思います。

Baffin the polar bear and her cub Momo at the off-exhibit on Aug.19 2016.「静養中のバフィンとモモ」映像:浜松市動物園

ホッキョクグマ親子の姿というのは世界のどの動物園においても最高の人気があるわけで、私の知る限りそういった親子の姿を半日展示だけにしたという動物園は記憶にありません。赤ちゃんは母親と一緒に屋外に登場してからも、基本的に母親と共に終日展示となります。もっとも、室内外の扉を開放している動物園では親子が長時間の昼寝をするときには室内に入ってしまうという例はあります。たとえばモスクワ動物園のシモーナ親子のような場合です。一方で長時間の昼寝を室外で行うといった例もあります。それはララ親子のような場合です。ですから終日展示とはいってもいつも動き回っているというわけではありません。ところが大阪でのバフィン親子は例外的な場合を除いて展示されていたのは半日だけという、ホッキョクグマ親子としては世界でも非常に稀な状況だったわけです。そして親子は基本的にはほとんどその半日を活動していたというわけです。ところが浜松では展示時間が長くなったわけで、老練なバフィンはそれには見事に対応したものの、モモはそう器用には対応できないというわけです。そうしたことでモモは活動のバランスがとれないまま夏を過ごし、そして体のどこかを過大に動かしてバランスを失い、そしてここにきて疲れが出てしまったということではないでしょうか。
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モモ(2015年3月14日撮影 於 天王寺動物園)

心配することはないと思います。ただし、室内外の出入りの扉は必ず開放してやってほしいと思います。展示時間中でも自由に室内に入れるということは、親子にとって活動のバランスを調整できる選択肢を持つことができるということで意味があると思います。

(資料)
浜松市動物園・飼育員だより
(Aug.12 2016 - 13日から、ホッキョクグマ治療のため見合わせもあります)
(Aug.13 2016 - 本日よりホッキョクグマの展示はしません)
(Aug.14 2016 - バフィンとモモ)
(Aug.16 2016 - ホッキョクグマの展示を再開します)
(Aug.17 2016 - 8月17日のバフィンとモモ)
(Aug.26 2016 - 本日、ホッキョクグマの展示を中止します)
(Aug.27 2016 - ホッキョクグマの展示について)
(Aug.30 2016 - 8月30日のバフィンとモモ)
(Sep. 3 2016 - おやつタイム再開しますバフィンとモモ)
(Sep.13 2016 - ホッキョクグマの展示について)
(Sep.14 2016 - ホッキョクグマの展示について)

(過去関連投稿)
生後僅か三ヶ月の娘と一緒にスウェーデンからオランダへ移動した母フギース ~ バフィン親子の先例
バフィンの母親としての軌跡 ~ "So has Baffin been a nursing Polar Bear Mother"
大阪・天王寺動物園のバフィンとモモが無事に浜松市動物園に到着 ~ 母娘、再び寝室で一緒になる
浜松市動物園到着翌日のバフィンとモモ ~ 里帰りしたバフィンの落ち着きがモモに好影響を与える
浜松市動物園でバフィンとモモのお披露目会が開催される
舞台裏で見るシルカ、そしてバフィンとモモの母娘 ~ "Behind the scene" での素顔
by polarbearmaniac | 2016-09-16 01:30 | Polarbearology

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