街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ニューヨーク・ブロンクス動物園のタンドラに対する無邪気で荒唐無稽な批判意見

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タンドラ Image:News 12 Bronx

ニューヨークのブロンクス動物園に一頭で暮らしているのが現在24歳の雄のホッキョクグマであるタンドラ(Tundra)です。彼は1991年11月にこのブロンクス動物園で誕生して以来ずっとここで暮らしています。ニューヨークでは2013年にニューヨークではセントラルパーク動物園のガスが亡くなっていますのでタンドラは大都市ニューヨークで飼育されている唯一のホッキョクグマとなっています。このタンドラの様子を2011年の映像ではありますが一つ見てみましょう。



さて、このタンドラについて今年の7月頃から「彼をこの残酷な動物園から解放して保護地域(sanctuary)に戻そう」という運動の署名活動がネット上でなされはじめたわけです。そういった活動とブロンクス動物園の園長さんのコメントを報じる地元の報道を見てみましょう。





こういった運動というものは実に無邪気な認識からなされているわけであり、よく考えもせず気分や感情でなされる場合が大多数です。しかも今回の運動は単なる言いがかりであり内容的にも荒唐無稽なものです。ブロンクス動物園の園長さんもそういった運動に対して、現在のタンドラの飼育状況とか健康状態に対して丁寧な説明を行っています。タンドラについて別の映像を見てみましょう。彼は飼育下のごく普通のホッキョクグマです。





ネットが発達して誰でも自分の意見をネット空間で簡単に発信することが容易になったわけで、実につまらないことにでも安易な意見によってもこうした運動というものが発生するようになってしまったわけです。そういったものに対してまで批判された側が説明や反論などを行うことが求められるというのは時間と労力の無駄でありましょう。欧米の首脳はかつて活字メディアからの批判に対しては、そのメディア上での反論というものは行わなかったわけです。その唯一の例外はイギリスの "The Economist" 誌に対してでした。何故なら "The Economist" 誌からの批判に対しては反論する重要性と価値があると欧米各国首脳は判断したからです。それだけ"The Economist" 誌は価値のある記事を掲載していたわけです。ところが日本の橋本龍太郎元首相はイギリスのタブロイド紙からの批判に反論を行ったわけです。相手が本当に反論する価値のある相手であるのかということに対しての認識が薄かったためでしょう。いや、ひょっとしたら橋本氏は現在のネット社会における批判と反論の価値対象の選別判断基準の不可避的崩壊について、時代を先取りしていたのかもしれません。

「世界で最も悲しいホッキョクグマ」は最近まではメンドーサ動物園のアルトゥーロでした。現在では広州の皮扎 (Pizza)になっているようです。次は果たしてこのブロンクス動物園のタンドラになるのでしょうか? 

(資料)
News 12 Bronx (Aug.30 2016 - Group: Polar Bear at Bronx Zoo living in inhumane conditions)
Citizens for Legitimate Government (Jul.14 2016 - Free Tundra the Polar Bear from Bronx Zoo)
WCS Newsroom (Jul.7 2016 - Statement on Bronx Zoo’s Polar Bear, Tundra)

(過去関連投稿)
ニューヨーク、セントラルパーク動物園のイダ逝く
ニューヨーク・セントラルパーク動物園のガス ~ ホッキョクグマにも「離(死)別の悲しみ」はあるのか?
ニューヨーク ・ セントラルパーク動物園のガス逝く
by polarbearmaniac | 2016-09-21 12:00 | Polarbearology

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