街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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中国・広州市の「皮扎 (Pizza)」の血統の深い謎 ~ 「皮扎 (Pizza) = 皮祖 (Pezoo)」 なのか?

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皮扎/皮萨 (Pizza) Photo(C)Our World Channel
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皮祖 (Pezoo)  Photo(C)People's Daily Online

中国・広東省、広州市の「広州正佳極地海洋世界 (广州市正佳极地海洋世界 - Guangzhou Grandview Polar Ocean World)」で飼育されているハイブリッドのホッキョクグマである「皮扎/皮萨 (Pizza)」が香港の動物保護活動家グループによって「世界で最も悲しいホッキョクグマ」というレッテルを貼られてネット上でこの施設の閉鎖を求める署名活動が行われている件、そしてイギリスのヨークシャー野生動物公園がこの皮扎/皮萨 (Pizza)の受け入れを申し出た件についてはすでに投稿しています。やはり予想していました通りこの広州市の施設側はこの申し出を断ったという報道がなされています。また、この施設の責任者はさらに施設を拡大して飼育展示する動物たちの数も増やす計画だそうです。そして皮扎/皮萨 (Pizza)については他施設からのローンであるとも述べています。借りている個体なのでそれをイギリスに出すなどという判断はできないという意味で述べているのでしょう。



今回の件に関して日本ではCNNやAFPなどの大手海外メディアの日本語サイトでは報じてはいるものの日本の新聞や放送などの大手メディアでこれを扱った社はないようです。これはある意味では実に健全なことだと思います。これはアジア・大洋州地域(特にシンガポール、香港、オーストラリア)に活動の本拠地を置くアングロサクソン系の保護活動家が得意とするところのメディアキャンペーンなのです。何かターゲットを見つけては「英語」というものを情報の武器にして批判キャンペーンを行うのが彼ら活動家の常套手段なのです。日本の新聞や放送などの大手メディアはこういった彼ら活動家の流す英語で書かれた情報は選別して排除しているというわけです。本ブログでも今回の件は当初は無視しようと思ってはいたのですが、当ブログ開設者はとりわけこの「皮扎/皮萨 (Pizza)」の血統について大きな関心を抱いているわけで、今回の件を「皮扎/皮萨 (Pizza)」の血統問題に的を絞って追及しているというわけです。さて、そうしていましたところニューヨークに本拠地のある新興ネットメディアである Quartz の記者が二度この広州市の当該施設を取材し、初めてこの「皮扎/皮萨 (Pizza)」の血統について広州市の当該施設より得た情報を報じましたのでそれについて述べておきたいと思います。

記者が確認したところによりますとこの「皮扎/皮萨 (Pizza)」は三歳の雌(メス)であり、父親は大連市(Dalian)の施設出身の個体であり母親は天津市(Tianjin)の施設で飼育されている個体であり、「皮扎/皮萨 (Pizza)」は天津市で育ったとのことです。これは人工哺育に間違いないものと思われます。以前に「中国・広東省、広州市の世界からの批判を浴びる「広州市正佳極地海洋世界のホッキョクグマ」の謎」という投稿で血統問題を考察したのですが、要するにこれでその投稿で考察した「個体A」と「個体B」は同一の個体であることを意味することがわかりました。少なくとも、そう想定して考察を行うことに問題はないということがわかりました。 さらに「皮扎/皮萨 (Pizza)」の父親は大連市で誕生した乐乐と静静と同じ個体である、つまり「皮扎/皮萨 (Pizza)」は乐乐と静静の妹であるだろうということです。問題は「皮扎/皮萨 (Pizza)」の母親ですが、これは以前に「中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影」という投稿でご紹介していた皮祖 (Pezoo)と同一の母親であることは確実でしょう。
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皮祖 (Pezoo)の登場した映画のポスター
(C)Hyde Park Entertainment

さてそうなりますとこれは大問題です。皮祖 (Pezoo)と「皮扎/皮萨 (Pizza)」は全く同じ年齢なのです。しかし皮祖 (Pezoo)が誕生したときのニュースでは、皮祖 (Pezoo)は一頭で誕生しており、双子ではないのです。そうなると実は皮祖 (Pezoo)と「皮扎/皮萨 (Pizza)」は同一のホッキョクグマではないかという強い可能性が生じてくるわけです。ただしQuartzの取材では「皮扎/皮萨 (Pizza)」は雌(メス)です。しかし皮祖 (Pezoo)は雄(オス)だと報じられているわけです。実に不可解です。しかしいずれにせよ「皮扎/皮萨 (Pizza)」と皮祖 (Pezoo)の母親は共通であることだけは99%間違いないでしょう。

仮に皮祖 (Pezoo)と「皮扎/皮萨 (Pizza)」が同一のホッキョクグマであった場合、カナダで撮影された映画("The Journey Home"/"Midnight Sun")に登場したほど有名であった皮祖 (Pezoo)は映画の中では広い雪原を駆け回っていたものの、現在ではこうして問題になっている広州市の息苦しい施設の室内で暮らしているということになるわけです。なんという数奇な運命だろうかと思ってしまいます。謎は深まりました。

カナダで撮影された映画に登場した皮祖 (Pezoo)

(資料)
BBC News (Sep.22 2016 - Pizza the 'sad' polar bear's owners plan to expand mall zoo)
Evening Standard (Sep.22 2016 - Shopping mall home to 'world's saddest polar bear' plans to expand zoo)
搜狐公众平台 (Sep.22 2016 - 世界最悲伤北极熊 不要悲剧再次上演)
Quartz (Sep.22 2016 - The world’s saddest polar bear is just one of thousands of “wild” animals living in malls in China)


(過去関連投稿)
セルビア・ベオグラード動物園のハイブリッドの正体 ~ “Polar Bear/Kodiak Bear Hybrid”
中国・広東省、広州市の世界からの批判を浴びる「広州市正佳極地海洋世界のホッキョクグマ」の謎
セルビア・ベオグラード動物園と中国・広州市の正佳極地海洋世界を結んだ「暗黒の闇」の連鎖の世界
イギリスのヨークシャー野生動物公園が中国・広州市の「皮扎 (Pizza)」の受け入れを申し出る

(*皮祖 (Pezoo)関連)
中国・天津市の天津海昌極地海洋世界でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ そしてカナダでの映画撮影
映画 “Il mio amico Nanuk” で共演したエイギー(Agee) とハイブリッドの皮祖 (Pezoo)
by polarbearmaniac | 2016-09-23 21:00 | Polarbearology

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