街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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大阪・天王寺動物園のシルカが享受している十分な飼育環境への配慮 ~ ファンとの間の新しい関係へ


大阪・天王寺動物園のシルカは6月にバフィン親子が浜松に移動後に一頭で暮らすようになったわけですが、いろいろと配慮のある飼育がなされてきることが同園の飼育員さんのブログその他の内容でよくわかります。ここにきて彼女の寝室がバフィン親子の使用していた場所に変わったという内容の報告がなされています。昼間の休息に使ってもらうというところから始めて、ごく自然な形で部屋の交代に誘導していくといったような穏健な手順が採用されたようです。

そうですね、そのように「選択に自由」といったものを与えた形にしておいて決して無理強いしないとよう手法はなかなか好ましいと思いました。シルカを新しい寝室に収容した際の映像を見てみることにします。



格子状の扉が閉まってもあまり気にしていないようで大成功だったように見えます。この寝室移動はゴーゴの帰還計画と何らかの関係があるかについては、私はそのあたりの事情に疎いので何とも言えませんが、今回のようなことを行うことによって飼育環境にある種の自由度を拡大しようという意図であるように私には感じられ、ゴーゴの帰還時期云々と強引に結びつけるのもどうかと言う気もします。ゴーゴは本来で言えば7月頃に大阪に帰還してもおかしくはなかったはずですが、しかし彼の帰還前にこうやってシルカを単独で飼育展示してトレーニングやシルカの一日の生活リズムの確立を達成させようというためには時間が必要でしょうから、ただちにゴーゴの帰還を実現しないというのは理にかなっていると思います。白浜もまだゴーゴの存在が必要であるという状況であるのかもしれません。それから以前にも述べましたが、ゴーゴを白浜以外の場所で繁殖に寄与させようにも、その場所はほとんどないというのが実情です。白浜のオホトも現時点では24歳だったはずで、場合によっては来年(そしてあるいは再来年)もゴーゴとの間で繁殖を狙うといった状態が生じてくる可能性は十分想定しうるわけです。

10年前や20年前には日本のホッキョクグマ界には遥かに多くの繁殖可能なホッキョクグマがいたわけであり、移動によってさらに多くの繁殖の可能性を追求することは十分可能であったものの現在ではそれがすっかり先細っている状態です。ペアの組み合わせに意外性を求めることは非常に難しいわけで、あまりあれこれと考えていくこと自体が何か空しい気がしています。舞台裏でどのようなことが進行していたとしても、そこから出てくる結果はサプライズにはなりにくいというのが実際のところです。そういった中で大阪のシルカのように飼育員さんからもファンからも大事にされているホッキョクグマがいることは、私たちが頭数の減ってきた日本のホッキョクグマ界のホッキョクグマたちと我々ファンの間での新しい関係を結ぶ貴重なあり方であると言って良いでしょう。

(資料)
天王寺動物園スタッフブログ(Oct.2 2016 - 第9話「寝室変わりました」)

(過去関連投稿)
大阪・天王寺動物園のバフィンとモモが無事に浜松市動物園に到着 ~ 母娘、再び寝室で一緒になる
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by polarbearmaniac | 2016-10-04 00:30 | Polarbearology

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