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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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よこはま動物園ズーラシアは将来のホッキョクグマ飼育展示をどうするか ~ 「ツヨシ購入」が唯一の道か?

よこはま動物園ズーラシアは将来のホッキョクグマ飼育展示をどうするか ~ 「ツヨシ購入」が唯一の道か?_a0151913_22462825.jpg
こうしてツヨシを見ていていろいろなことを考えた。まずズーラシアは今後のホッキョクグマの飼育展示についてどうするのかということである。「今後」とは、つまり「ジャンブイ後」ということである。今のうちから将来を見据えて考えておかなくてはならないわけである。選択肢としては三つあるように思われる。
よこはま動物園ズーラシアは将来のホッキョクグマ飼育展示をどうするか ~ 「ツヨシ購入」が唯一の道か?_a0151913_055537.jpg
A.ホッキョクグマの飼育展示からは撤退する。

B.ツヨシを釧路市から購入して彼女を繁殖に寄与させるべく、
  パートナーの入手も狙う。

C.他園からの預託個体で飼育展示を行う。

よこはま動物園ズーラシアは将来のホッキョクグマ飼育展示をどうするか ~ 「ツヨシ購入」が唯一の道か?_a0151913_0412411.jpg
まずだが、これはかつてとくしま動物園が園の方針として公言し選択した道である。かつてシロー(ララ 、ルルの父)が亡くなった時の「お別れ会」で当時の園長さんがそう述べていたのである。「これからはバーレーを大事に飼育していく。」という内容で、その発言の全体からは「バーレー後」というものを全く想定していないことが明らかであった。しかし同園は結果的には札幌からの預託個体であるポロロを受け入れたのである。それから一般的には、動物園で飼育されたいたホッキョクグマが亡くなってしまいその存在が不在となった場合は現在はこのAという選択肢をとらざるを得ないわけである。何故なら国内の飼育頭数が減少しているからである。現時点で名古屋と神戸はこの道への方向を突き進んでいるように見える。

次にだが、これについては最近、ロシア個体の入手に関する私のいくつかの投稿の中で提案したものである。詳しくは以下の投稿を御参照頂きたい。

・ロシア動物園水族館協会(RAZA)が設立 ~ ロシアでモスクワ動物園の主導的地位が一層強まる
・ロシア・ペンザ動物園の新ホッキョクグマ飼育展示場が9月にオープン ~ それが意味する重要なこと
・ロシア・クラスノヤルスク動物園の新飼育展示場計画発表 ~ 欧露の「囲い込み」体制に日本はどう対応するか
・「ホッキョクグマ計画推進会議」が大阪で開催 ~ 将来の方針と海外個体導入の可否は議題と無縁か

は現在、おびひろ動物園が採っている道である。つまり、ララの子供たちの預入先に徹しているわけである。現在は熊本と徳島もこういった形でホッキョクグマを飼育している。
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さて、A、B、Cをそれぞれ少し考えてみたい。

まずAであるが、これは非常に簡単で楽な道である。横浜の人間というのはホッキョクグマを大きな目的の一つとしてズーラシアに行っているようには見えない。だからホッキョクグマの飼育展示から将来撤退しても誰も文句は言わないと思われる。私も文句は言わない。

次にBであるが、ツヨシがもう五歳若ければ、ズーラシアは躊躇することなくこの道を選択すべきであり、そしてそのパートナーとしてツヨシの存在をカードにしてロシア個体の導入を狙うという方法である。しかし現在のツヨシの年齢(2003年12月11日生まれ)ならばこれは微妙である。難しいというべきかもしれない。ロシアから雄(オス)の個体を導入してもその個体は幼年であってツヨシと年齢差がかなりあるからである(ゴーゴ/シルカの場合も年齢差はあったのだが)。そうなると、もっと年齢が上の個体、つまりツヨシと年齢差の小さい個体を導入せざるを得ないのだがロシアにはロスゴスツィルク (Росгосцирк)に所有権のある野生出身の雄のウムカとスネジョークの二頭しか候補はいない。ただし交渉を持っていく有効なルートを見つけるのは難しいと思われる。ブラジルのサンパウロ水族館はこの二頭の購入に失敗しているそうである。サンパウロ水族館は雌(メス)はノヴォシビルスク動物園からシルカを購入し、そして雄(オス)はカザン市動物園が所有しイジェフスク動物園で飼育されていたピリグリム、あるいはこのウムカとスネジョークのどちらかを購入してシルカのパートナーにしようとしたようである。ところがサンパウロ水族館はカザン市動物園、及びロスゴスツィルクとの個体購入交渉に失敗したため、雄(オス)の入手ができないままノヴォシビルスク動物園の故シロ園長とのシルカ入手の交渉を継続したそうである。そこで口を挟んできたのがモスクワ動物園だったのである。モスクワ動物園は故シロ園長に対して「シルカを彼女のパートナーとなる雄のいない施設には売るな。それがEARAZAの方針だ。」と言ってきたのである。これでサンパウロ水族館は大阪に負けたというわけである。ズーラシア(横浜市)はウムカとスネジョークの入手についてはモスクワ動物園に泣き付いても無駄である。この二頭はモスクワ動物園の影響力の範囲外にある個体なのだ。

次にCであるが、これは簡単なようでいて実はそうではないと思われる。先日も述べたのだが、これは日本のホッキョクグマ界において短期・中期的にいったいどういう方針でホッキョクグマの繁殖を試みるかという今後の方針に直結する話だからである。近年行われてきたように国内飼育頭数の維持を図ろうという方針が今後も維持され、そして現在有望な若年個体ペアの繫殖が順調に成功し続けるという二つの要因の存在が不可欠なのだ。要するにCはあまりに不確定要素が大きく、それを将来の方針として決めるというわけにはいきにくい。なにしろ自園で所有権を持つホッキョクグマが一頭もいないという状態を前提としたホッキョクグマの飼育展示の継続はリスクが大きすぎる。
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よって私の意見ではAを選択すべきであると考える。可能な限りジャンブイの健康状態に注意しながら彼を長生きさせるということである。そして「ジャンブイ後」はホッキョクグマ飼育展示から撤退すべきと考える。横浜市民でそれに意義を申し立てる人はいないだろうと思う。
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しかし万が一にでも「何が何でもホッキョクグマの飼育展示を将来も続ける」という方針を採るならば、国内個体の購入を行うこととなる。そうであるならばツヨシが最適の個体だろう。その場合、パートナーが非常に難しい。国内にはいないのである。
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よこはま動物園ズーラシアは将来のホッキョクグマ飼育展示をどうするか ~ 「ツヨシ購入」が唯一の道か?_a0151913_0452624.jpg
Nikon D5500
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
(Oct. 5 2016 @よこはま動物園ズーラシア)
by polarbearmaniac | 2016-10-05 23:55 | しろくま紀行

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