街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシア・ホッキョクグマ界の期待の星、ザバーヴァが偉大なる母ウスラーダと過ごした日々の光景

a0151913_15134350.jpg
ウスラーダとザバーヴァ (Белая медведица Услада и медвежонок Забава) (2014年9月14日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園で長年にわたって君臨してきたウスラーダとメンシコフという世界最高のペアは、先日のメンシコフの死をもって終わりを告げたという形になってしまいました。このペアの間には16頭の子供たちが生まれ育ったわけですが、その16番目の子供が2013年12月6日に誕生した雌のザバーヴァ (Забава) であり、彼女は現在ロシア・ウドムルト共和国のイジェフスク動物園(正式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)に暮らしています。彼女は野生孤児のバルーをパートナーとして将来の繫殖が期待されているというわけです。まさにロシアの期待の星といったところで、間もなく彼女は3歳になるわけです。
a0151913_15235912.jpg
ザバーヴァ (Белый медвежонок Забава)(2014年9月14日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

さて、このザバーヴァですが彼女がまだサンクトペテルブルクで母親であるウスラーダと暮らしていた時の映像を、これは多分地元の方でしょう、うまく編集して公開していますのでご紹介しておきましょう。レニングラード動物園の公式映像としても採用されたものも入っています。

偉大なる母であるこの時には26歳となっていたウスラーダ、そして彼女の16番目の子供であるザバーヴァとの様子を良く伝えていると私が感じるのは最初の二つの映像です。ここで映っているウスラーダは母親としての長い経験と、そして風格といったものを見せつけてくれます。非常に肩の力を抜いた自然体で余裕のある母親としての姿であることも印象的です。





この2014年には私はノヴォシビルスクでゲルダとシルカの親子を観察していますし、翌年の2015年には大阪でバフィンとモモの親子、札幌でララとリラの親子、オランダ・ロッテルダムでオリンカとシゼル、トーズの親子、レネンでフリーダムとアキアク、スラの親子、モスクワでシモーナとその双子というように立て続けにホッキョクグマの親子を観察できたわけですが、この2014~2015年に私が実際に会ったホッキョクグマの親子のうち、やはり最高だと思ったのはこのウスラーダとザバーヴァの親子、次点ではシモーナとその双子といった感じでした。ただしそれは親子としての姿ととらえた場合のことです。子供だけで単独に取り出せばやはり前年にノヴォシビルスクで会ったシルカが最も印象が強かったというわけなのですが、それはシルカの持っていたある種の諦念と孤独の影に魅せられてしまったということです。いやそれだけではなく、シルカ自体が極めて「大物」の幼年個体であったというわけだからです。シルカとこのザバーヴァを比較するとシルカの方がずっと高い評価が付く個体であることは間違いないと思います。ところが親子で比較してみた場合、つまり「ゲルダ/シルカ」と「ウスラーダ/ザバーヴァ」を比較すると、これはもう圧倒的に「ウスラーダ/ザバーヴァ」の方が高い評価が付くというわけです。「ウスラーダ/ザバーヴァ」の親子には「ゲルダ/シルカ」の親子の持っていたような不安定さといったものがまるで見られなかったということです。母親だけの姿を見れば、やはり札幌のララはウスラーダに肉薄する素晴らしい母親の姿だったと思っています。
a0151913_15293551.jpg
ザバーヴァ (Белый медвежонок Забава)(2014年9月14日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

次の三つは基本的にザバーヴァを中心にとらえた映像です。ザバーヴァにはシルカの持っている影のような孤独といった要素はなく、健やかで平明であり屈託のない個体です。







オーロラ、ヴィクトリア、コルィマーナ、ユムカ(ミルカ)、コメタ、サバーヴァ、スネジンカ、ニカ.....とにかくロシアのホッキョクグマ界の若年・幼年個体は層が非常に厚く、そして将来の繫殖の成功が期待できる個体ばかりです。そういったなかでシルカだけはロシアを旅立って遠い日本に去ったわけですが、なにかそこには聡明であるもののシルカという孤独の影を持つ個体が背負っていた運命のようなものを感じてしまいます。「ゲルダ/シルカ」を見ているよりも私には「ウスラーダ/ザバーヴァ」を見ている方が気が楽だなという感じです。

(過去関連投稿)
(*ザバーヴァ関連)
女帝ウスラーダとシモーナ、コーラ、リアの三頭の娘たち ~ 偉大な母親たちの三代の系譜
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの歩む道 ~ 再説: 繁殖可能年齢上限
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園で26歳の女帝ウスラーダが16頭目の赤ちゃんを出産!
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの赤ちゃんの産室内映像が公開される
ロシア・サンクトペテルブルクのレニングラード動物園がウスラーダの赤ちゃんの産室内映像を一挙に公開
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の女帝ウスラーダの15頭の子供たちの姿
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃんが遂に戸外へ!
ロシア・サンクトペテルブルクに記録的な暑さ到来 ~ 果物を楽しむホッキョクグマたち
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダ親子の関係に深く切り込んだ映像
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃん、10月に移動か?
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの16頭目の赤ちゃんは雌(メス)と判明
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園の赤ちゃんの名前が 「ザバーヴァ」 に決まる
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園でウスラーダとザバーヴァの母娘に氷のプレゼント
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のハロウィン ~ カボチャを独り占めしたザバーヴァ
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のウスラーダの娘ザバーヴァが12月に他園へ移動決定
ロシア・サンクトペテルブルク、レニングラード動物園のザバーヴァがイジェフスク動物園に移動となる
ロシア・イジェフスク動物園に移動したウスラーダの16頭目の子供のザバーヴァの近況 ~ バルーとの同居
ロシア連邦ウドムルト共和国イジェフスク動物園の開園7周年が祝われる ~ ザバーヴァとバルーの近況
ロシア・ウドムルト共和国イジェフスク動物園のザバーヴァとバルーのペアへの期待 ~ 新しい繁殖基地へ
ロシア・ウドムルト共和国、イジェフスク動物園のザバーヴァとバルーの幼年ペアの近況
(2014年5月レニングラード動物園訪問記)
グランド・ホテル・ヨーロッパからレニングラード動物園へ ~ ウスラーダの一家との再会
帝王メンシコフ、その偉大さへの限りなき称賛
ウスラーダの16頭目の赤ちゃんの行動が示すその性別の予想
ウスラーダの母性とは何か? ~ 魅せられる芯の強さと筋の一本通った強靭なる母親の姿
肌寒い気候の日曜日のウスラーダお母さんと赤ちゃんの姿 (*投稿準備中)
(2014年9月レニングラード動物園訪問記)
秋晴れのサンクトペテルブルクでウスラーダ、ザバーヴァ、そしてメンシコフとの再会
ザバーヴァ (Забава)、その性格と素顔
「歴史上のホッキョクグマ」となったウスラーダ、その娘ザバーヴァへの接し方 ~ 「女帝王学」の伝授へ
レニングラード動物園二日目 ~ ウスラーダとザバーヴァの親密さ (*投稿準備中)
レニングラード動物園三日目 ~ ウスラーダさん、メンシコフさん、ザバーヴァちゃん、お元気で! (*投稿準備中)
by polarbearmaniac | 2016-10-19 16:30 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

オランダ・ヌエネン、「動物帝..
at 2017-04-23 00:30
ベルリン動物公園で死亡した赤..
at 2017-04-22 01:00
ロシア・シベリア中部、クラス..
at 2017-04-22 00:30
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-21 12:00
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-20 15:00
ロシア・サハ共和国、ヤクーツ..
at 2017-04-20 14:30
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-20 01:00
アメリカ・コロンバス動物園の..
at 2017-04-19 15:00
アメリカ・サンディエゴ、シー..
at 2017-04-19 12:00
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2017-04-18 16:00

以前の記事

2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin