街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・サンフェリシアン原生動物園のイレ(Yellé) のハロウィーン ~ 「ホッキョクグマ週間」について

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イレ(Yellé)  Photo(C)Zoo sauvage de Saint-Félicien

カナダ・ケベック州のサンフェリシアン原生動物園 (Zoo sauvage de Saint-Félicien) でもホッキョクグマのイレ(Yellé) をはじめとして、いろいろな動物たちにハロウィーンのプレゼントがあったようです。その様子が映像になっていますのでご紹介しておきます。



エサクバクやミラクなどの雌のホッキョクグマたちは出産準備のために別の非公開エリアに移動していまうので、来園者び接しているのは雄のイレだけという状態になっていますが、同園ではまたこのイレに対するエンリッチメント(アンリシスマン - "l'enrichissement")の映像を公開していますのでご紹介しておきます。



さて、10月31日のハロウィーンのイベントが規模の大小はあれ欧米の多くの動物園で行われたわけですが、この日を挟んで10月30日から11月5日までを「ホッキョクグマ週間 (Polar Bear Week/Semaine de l'ours blanc)」というキャンペーンを行っているのがあの Polar Bears International です(以下、PBI と略記)。PBI が推進しているキャンペーンとしてかなり有名になってきているのが毎年2月27日の「国際ホッキョクグマの日(International Polar Bears Day)」です。この日は世界的にもかなり認知度が高くなってきたと思います。日本でも大阪の天王寺動物園などではこの日にイベントを行っているはずです。その一方で秋にはホッキョクグマ関連の日がありませんし、ちょうどハロウィーンの日を前後して野生のホッキョクグマを取り巻く厳しい環境の変化を考える時期としてこの「ホッキョクグマ週間」もこれから認知度が高まっていくかもしれません。
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以前にも述べたのですが、2月27日の「国際ホッキョクグマの日(International Polar Bears Day)」というのはPBIが本拠地を置くアメリカ、そしてカナダの動物園ではホッキョクグマを危機的状況に追い込む原因となる地球温暖化への対策としてエネルギーの節約ということを呼びかけ、その実践として自宅の温度設定の変更を行うことを呼びかけるという非常に具体的な行動の呼びかけです。これは通常北半球では2月27日はまだ室内には暖房が入っている時期ですので、温度設定を2℃低くすることで各自がエネルギーの節約を実践しようという目的です。ところが欧州やロシアの動物園はこの「国際ホッキョクグマの日」を、ホッキョクグマという種がいかにして生息地で環境の変化によって脅威にさらされているかについての理解を深めるためにレクチャーが行われたり、あるいは特別給餌で飼育担当者が来園者にそういう事情を説明したりと、非常に啓蒙的な要素の強いことを行う日という性格となっているわけです。アメリカやカナダの動物園が示すものは「具体的行動の実践」であり、欧州やロシアの動物園が示すものは「危機への認識の深化」ということなのです。やはり欧米といっても「国際ホッキョクグマの日」の受容に関しては北米と欧州とでは文化の違いがあるということです。

さて、では今年からPBIが積極的な呼びかけを強めた秋の「ホッキョクグマ週間(Polar Bear Week/Semaine de l'ours blanc)」ですが、PBIはやはり2月27日の「国際ホッキョクグマの日」での呼びかけと同様、10月30日から11月5日までの「ホッキョクグマ週間」においても家庭内の温度設定の変更を呼びかけています。これこそが具体的実践というわけです。
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私はハロウィーンの日でのホッキョクグマへのカボチャのプレゼントのイベントを取り込んだ形にして、秋のこの時期に再度ホッキョクグマの置かれている環境に認識を深めるような形でハロウィーンの前後にも別のイベントを行うことは意義があると思っています。
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しかし正直言ってこの「ホッキョクグマ週間」のイベントで活躍するのは雄(オス)のホッキョクグマが中心になるでしょう。雌(メス)は出産準備のために別飼育になっている時期です。イベントの開催も歓声などで騒がしくなって周囲の環境に影響を与えるなど、出産準備に入っている雌を飼育している動物園には難しいかもしれません。

熊本のマルルのハロウィーン ("Make-believe Halloween" at Kumamoto City Zoological and Botanical Gardens on Oct.25 2014.)

(資料)
Polar Bears International (Polar Bear Week - Take the Energy Challenge!)

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by polarbearmaniac | 2016-11-02 01:00 | Polarbearology

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