街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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デンマーク・オールボー動物園で急死したヴィルマの直接的死因が判明 ~ 「出血性腸炎」

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故ヴィルマ Photo(C)Jens Buettner/B.T.

ドイツのロストック動物園が新しいホッキョクグマ飼育展示場を建設するために、その期間中に飼育しているホッキョクグマを他園に預けることとなり、そのための13歳の雌のヴィルマはデンマークのオールボー動物園に移動しました。ところが彼女は移動後二週間で急死してしまったという事件については「デンマーク・オールボー動物園のヴィルマが急死! ~ 移動後二週間での不可解な死」という投稿でご紹介した通りです。このヴィルマの検死結果についてオールボー動物園はまだ正式発表を行っていませんが、その担当獣医さんの発言についてデンマークのメディアが報じています。

それによりますと、ヴィルマの直接的死因は「出血性腸炎 (blødende tarmbetændelse)」だそうです。ただし、これを引き起こした原因については複数が考えられるとも述べています。コペンハーゲン大学の獣医学部のヘンリク・イェンセン(Henrik Elvang Jensen)氏によりますと、これを引き起こした誘因としてはロストックからオールボーまでの輸送も考えられるとも述べています。イェンセン氏は非常に慎重な言い方ではありますし、ヴィルマの移動と彼女の死に直接的な因果関係があるとは断言できないものの、やはり原因の可能性として専門家が移動に言及したという意味は重大です。やはり「ヴィルマが移動していなければ彼女はロストック動物園で元気だった。」ということはかなりの確率で言えそうです。オールボー動物園からの正式発表を待ちたいと思います。

ヴィルマは非常に「移動慣れ」したホッキョクグマでした。彼女は2002年12月にロストック動物園で誕生したあと、2004年1月にロストック動物園からニュルンベルク動物園に移動し、そしてその後2008年2月にロストック動物園に戻り、さらに2010年12月にヴィッパータール動物園に移動して2012年1月にアノーリを産み、さらにまた2013年10月にロストック動物園に移動して翌年12月にフィーテを産み、そして2016年10月にオールボー動物園に移動するといった経緯を辿っています。彼女の二回の自分の子供との別離は、いずれも母親である彼女が子供を置いて自分が移動するという形をとったわけです。ホッキョクグマを繁殖のために移動させることは当然ではあるものの、ヴィルマの場合はいろいろな事情があったにせよ少しやり過ぎだと思います。ましてや彼女は繁殖実績のある雌(メス)のホッキョクグマなのです。繁殖のために移動させるのは雌(メス)では繁殖実績のないホッキョクグマ、雄では実績のあるホッキョクグマと考えておくべきでしょう。

同じようなケースでウィーンのシェーンブルン動物園からオリンカがオランダのロッテルダム動物園に移動したことがありました。そのケースも息子たちをシェーンブルン動物園に置いたまま彼女はロッテルダム動物園に移動し、そしてそこで彼女のウィーンでのパートナーだったエリックと再会したというケースです。しかしかなりストレスになる例であるように思います。

移動してから数週間、あるいは数か月でホッキョクグマが亡くなった場合にその死因が調査されるケースはよくあるものの、解剖によってその死因は「移動以前からあった腫瘍によるものだ。」などというお決まりの結論が良く出てきます。本ブログでも何例か今までそういったケースをご紹介しています。しかし私はこういったケースは、移動さえなければ病気の進行はなかっただろうというケースだろうと思っています。

(資料)
B.T. (Nov.7 2016 - Dyrepassere i chok efter mystisk dødsfald i Zoo: Nu er dødsårsagen opklaret)
NORDJYSKE (Nov.7 2016 - Dødsårsag opklaret: Det døde Vilma af)

(過去関連投稿)
デンマーク・オールボー動物園のヴィルマが急死! ~ 移動後二週間での不可解な死
by polarbearmaniac | 2016-11-08 11:00 | Polarbearology

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