街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」、ガヌークとヘンリーとの間に生まれた不思議な友情

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ガヌーク(右)とヘンリー(左)  Photo(C)Polar Bear Habitat

カナダ・オンタリオ州コクレーン (Cochrane) の「ホッキョクグマ居住村(Polar Bear Habitat)」に暮らすオーストラリアのシーワールド生まれの三歳のヘンリーとケベック州のサンフェリシアン原生動物園で生まれた6歳のガヌークという二頭の雄のホッキョクグマの同居が非常に平穏に続いてもう五ヶ月になります。こういった雄の二頭の若年個体のホッキョクグマの同居は互いの相性が良くなければ非常に危険なのですが、ガヌークとヘンリーはこの五か月間に単なる相性の良さを越えた、一種の友情とでもいったような関係を築いたことを同施設はHPの記事 ("Ganuk & Henry: Five Months On") で述べています。いつもながら非常に暖かい視点で一見平凡そうに見えるホッキョクグマたちの日常を伝える同施設のスタッフには、内に秘めたホッキョクグマたちへの愛情というものを感じざるを得ません。このガヌークとヘンリーの同居については本ブログでも「カナダ・コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」、ガヌークとヘンリーの雄二頭の同居は大成功」、及び「カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」のガヌークとヘンリーに流れるゆっくりとした時間」、及び「カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」に新しい池のある飼育場がオープン」といった投稿でご紹介しています。
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ガヌーク(右)とヘンリー(左) Photo(C)Polar Bear Habitat

同施設のスタッフの方の述べるところによりますと、年少のヘンリーは年上のガヌークと遊び友達として付き合うことによって特に恩恵を受けているようです。一方で年長のガヌークはもともと冷静で抑制の効いたホッキョクグマであり飼育員さんの姿を非常に気にする傾向があったものの、ヘンリーとの同居以降は飼育員さんの存在を気に留めずヘンリーと遊ぶことに多くの時間を費やすようになり、ガヌークの内側にあった遊び心が外側に出てくるようになったということだそうです。この二頭は夜は別々の場所で睡眠をとるそうですが、朝になると二頭でレスリングをして遊ぶそうです。その光景を見てみましょう。非常にのんびりとしたものです。



しかしこういったことを長い時間行った後は二頭共に疲れてしまい、寝てしまうそうです。ガヌークはそういった時には自分の好きな場所を確保するそうですが、ヘンリーはそうやって寝ているガヌークの姿を見ていた時もあり、そうやって見られるのをガヌークは嫌がったようですが、やがてヘンリーはガヌークに寄り添って寝たり、あるいは起き上がって辺りを歩き回るようになったようです。それだけ二頭の間には信頼感が育ったということのようで、その光景を見たスタッフの方は非常に嬉しい気持ちになったそうです。そういったことをなんとなく連想させる映像がありますので見てみましょう。水の中にいるのはヘンリーで、上にいるのはガヌークです。



非常に何気無いシーンなのですが、こういった彼らの姿をよく観察して映像にしている飼育員さんの感性は素晴らしいと思います。

雄のホッキョクグマは本来非常に孤独を好む傾向が非常に強いわけで、こうやってガヌークとヘンリーの二頭を同居させてみると、やはり互いに吠えたり唸りあったりする時もあるそうです、これは彼らが何かのコミュニケーションをとっていることだと理解して人間の側からの介入は差し控えれ方針ではあるものの担当者はそういった様子を注意深くモニターして、仮に何か危険な状態になりそうならば介入する用意はしているそうです。しかしこの二頭はそういった強い緊張関係に至ったことはないそうです。

こうしてこの二頭の成長を見守っていくことに深い楽しみと意義を感じている「ホッキョクグマ居住村」のスタッフの視線が良く伝わってきます。さすがに、ホッキョクグマだけを飼育している施設らしい素晴らしい視点だと思います。私たちはこういった飼育下のホッキョクグマにもっと多くのドラマを望む傾向があるわけですし、イベントなどに多くの関心が向いてしまうわけですが、実は平凡とも見える彼らの日常の姿にこそ観察する価値があるのだと教えてくれる「ホッキョクグマ居住村」から発信されてくる情報なのです。

(資料)
Polar Bear Habitat (Nov.8 2016 - Ganuk & Henry: Five Months On)

(過去関連投稿)
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カナダ・コクレーンの「ホッキョクグマ居住村」、ガヌークとヘンリーの雄二頭の同居は大成功
カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」のガヌークとヘンリーに流れるゆっくりとした時間
カナダ・コクレーン「ホッキョクグマ居住村」に新しい池のある飼育場がオープン
by polarbearmaniac | 2016-11-13 13:00 | Polarbearology

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