街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園のホッキョクグマたち ~ ベルリン=ブランデンブルク放送の映像より

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故トロール (Eisbär Troll/Белый медведь Тролль)
(円山動物園 キャンディの兄)
(C)Rundfunk Berlin-Brandenburg

11月3日にホッキョクグマの赤ちゃんが誕生したドイツの首都ベルリンにあるベルリン動物公園(Tierpark Berlin)ですが、この動物園はあのクヌートの生まれたベルリン動物園(Zoologischer Garten Berlin)ほどは一般的には知られていないようです。ベルリンが東西に分断されていた時代に西ベルリンだった地区にあるのがベルリン動物園、そして東ドイツ(ドイツ民主共和国 - DDR)の首都であった東ベルリンだった地区にあるのがベルリン動物公園です。私はベルリンが分断されていた時代には非常に多く西ベルリンから東ベルリンに一日ヴィザで行っていましたが、このベルリン動物公園というのは一度も行ったことがありませんでした。そもそもそういった時代には動物園などには興味は全くなく、仮にあったとしても東西ベルリンの政治状況や文化といったものは興味満点だったわけですから知的刺激が非常に大きく、動物園に足を運ぶといったことはほとんどなかったでしょう。ここで1960年代、つまり東ドイツ時代のベルリン動物公園の映像を御紹介しておきます。ホッキョクグマが前半の多くに登場しています。当時と現在ではホッキョクグマの飼育展示場は同じです。



さて、このベルリン動物公園ですが、日本との関係では鹿児島の平川動物公園で飼育されていた故ホクトが1990年11月にこの動物園で生まれています。彼の母親は現在35歳でまだこの動物園に健在であるアイカです。さらに日本との関係にあえて言及すれば、札幌・円山動物園のキャンディの兄であるトロール (1986~2015) がこの動物園で飼育されていたということです。アイカ、ホクト、故トロール、キャンディについては過去関連投稿を御参照下さい。私は2013年に二度このベルリン動物公園を訪問したのですがトロールに会えなかったのを非常に残念に思っています。しかしアイカには会うことができてよかったと思っています。そしてこのアイカの他に現在ではモスクワ動物園生まれであるトーニャとヴァロージャが飼育されていますが、この二頭には私は彼らの幼少期にモスクワ動物園で会っていますので、お馴染みのホッキョクグマという感じを持っています。

さて、ここでベルリン=ブランデンブルク放送(Rundfunk Berlin-Brandenburg)が制作し、今年放送された一連の番組からこのベルリン動物公園のホッキョクグマたちの映像を集めたものを下でご覧いただきたいと思います。その番組で使用されている映像は2012年から2014年頃までの間にすでに撮影されていた映像が番組で使用されているようです。音声は on にして下さい。飼育員さんたちがホッキョクグマを名前で呼びかける声が聞けますし、ドイツ語を若干でも学んだ方ならば話の内容も理解できる箇所が多いと思います。下の映像のサムネイルとなっているのは故トロールです。



最初のシーンで三人の方が登場していますが、そのうちの一人が前園長のブラスキエヴィッツ氏です。ブラスキエヴィッツ氏はロシアのロストフ動物園経由でモスクワ動物園生まれのトーニャ来園についても語っています。飼育展示場ではアイカと故トロールが登場しています(3分38秒まで)。次に登場してどっしりと座っているのは故トロールです。そして飼育員さんが故トロールを室内に収容しょています。ナレーションではトロールは26歳であると述べていますので、この部分の映像が撮影されたのは2013年頃であることがわかります。この時点で故トロールは非展示となっていた時間が多かったという事情も理解できました(4分45秒まで)。続いてはトーニャとアイカが登場しています。トーニャは気後れした水の中に留まっています(6分6秒まで)。続いて主事であるジックス氏と飼育員さんがトーニャとヴァロージャにおもちゃを水中に投げ入れます。アイカは陸上でそれを見ています(9分52秒まで)。遊び方を見ているとシルカやモモのほうがうまいと思いますね。続いてはアイカの姿とその紹介です。飼育員さんが「アイカ、おはよう!」と呼びかけています。アイカの年齢を36歳だと言っていますが、それはおそらく35歳の間違いだと思います。しかしこの部分の映像は多分今年のものではないでしょうか。やはりアイカは年齢を感じさせます。飼育員さんの呼びかけの中でアイカは室内に戻ります(終了まで)。
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アイカ (Eisbärin Aika/Белая медведица Айка)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)
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トーニャ (Eisbärin Tonja/Белая медведица Тоня)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)
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ヴァロージャ (Eisbär Wolodja/Белый медведь Володя)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)

さて、同好の方々にこっそりと申し上げておくことにしましょう。もし海外にホッキョクグマの赤ちゃんを見に行って写真を撮りたいと思っている方々がいらっしゃれば、来年是非このベルリン動物公園に行くことをお勧めしたいと思います(赤ちゃんが無事に育つことが条件ではありますが)。何故ならばこの動物園は他の欧州の動物園やロシアの多くの動物園などとは違って来園者とホッキョクグマを隔てるガラスや格子がありません。つまり円山動物園や天王寺動物園やノヴォシビルスク動物園と同じく、ホッキョクグマの写真を撮影することが非常に楽なのです。観覧スペースも広いです。いやそれどころか、この三つの動物園以上に素晴らしい写真が撮れるのです。冒頭の写真や下の過去関連投稿の写真などを御参照していただければお分かりになると思いますが、このベルリン動物公園のホッキョクグマ飼育展示場でホッキョクグマの写真を撮影すると、札幌や大阪やノヴォシビルスクとは違って背景は黒系統の色になります。そういった色を背景に写真を撮るとホッキョクグマの白い姿が鮮やかに映えて写るのです。札幌や大阪やノヴォシビルスクでは背景は基本的に白系統ですのでホッキョクグマの姿はそれほど美しくは写りません。しかしベルリン動物公園では写真でも彼らの姿は実に鮮やかなのです。しかしこのベルリン動物公園にも難点があります。ホッキョクグマへの距離がかなりありますので、ましてや体の小さい赤ちゃんですと望遠側300mm(換算450mm) 程度のレンズでは難しいのです。最低でも望遠側500mm(換算750mm)のレンズが必要です。タムロンの150-600mmのレンズですと換算900mmとなりますので、これが理想的です。ただし海外にこのレンズを持っていくのは非常に重いという点で難点なのです。さて.....どうしましょうか? 70-200mm f/2.8 という明るいレンズで撮影して私の嫌いなトリミングをするか、それともシグマの50-500mm を使用するかということですね。やはり後者が正解でしょうか? それとも思い切ってNikon1でも使用しましょうか?

(*追記)
この下はベルリンで発行されているタブロイド版であるB.Z.紙が本日付けの記事の中で紹介したトーニャとヴァロージャに関する家系図です。クリックしていただくと拡大しますのでじっくりとご覧下さい。あるいはここをクリックしていただいても大きくご覧になれます。

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(C)B.Z.

この上の家系図には明白な一か所の間違いと、そして実際の血統を反映していないと考えられる二カ所があります。まず間違いについてですが、それはホクト(姫路)がウランゲリとシモーナの子供として描かれている点です。しかしこれはイワン(旭川)が正解です。これについてはすでにロストック動物園が管理している血統台帳には訂正された正しい記載が現在ではなされていますので「ロシア血統の謎」に迫る(2) ~ 日本ホッキョクグマ界最大の謎「イワンとホクトすり替り説」に挑む (前) を御参照下さい。そしてこのB.Z.紙の血統図のあと二カ所の実際の血統とは異なると推定できる記載についてです。まずトーニャはムルマとウンタイ(ウムカ)との間の子供として描かれていますが、これはウランゲリとシモーナの間に生まれた子供というのが真実だろうと私は考えています。これについてはトーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリンという投稿を御参照下さい。また、ゲルダ(ノヴォシビルスク動物園)はウランゲリとシモーナとの間の子供として描かれていますが、これはムルマとウンタイ(ウムカ)との間に生まれた子供というのが真実だろうと私は考えています。これについては「ロシア血統の謎」に迫る(1) ~ ラスプーチン、ゲルダ、血統番号2893個体の三頭の謎を追うという投稿を御参照下さい。こういったことがまさにロシア血統の謎の部分なのです。ドイツの方々はこういったロシア血統の闇の部分の存在に無知なのです。何事についてもロシアを甘く見てはいけないということです。旭山動物園の以前の種別調整者だったFさん、果敢にロシア血統の謎に挑みかかりイワンとホクトの血統上の真実を明らかにしてロストック動物園の血統台帳を訂正させたのは大きな賞賛に値するわけです。

(*追記2)
上の家系図の左右のうち、右側が「アンデルマ/ウスラーダ系」と私が呼ぶ家系です。仮に上の家系図が正しいとすれば、大阪・天王寺動物園のシルカの母親であるゲルダは右側の家系、シルカの父親であるクラーシン(カイ)も右側の家系に位置し、しかもクラーシン(カイ)はシモーナの弟です。ところが私見ではゲルダは右側ではなく左側の家系に属するのが真相だということです。ですからシルカは母親が左側の家系、父親は右側の家系となるわけです。白浜のゴーゴは右側の家系です。ゴーゴは故メンシコフと異父の兄弟だからです。ラダゴル(カイ - 仙台)、ピョートル(ロッシー - 静岡)、ホクト(姫路)、イワン(旭川)は全て右側の家系です。一方で豪太(男鹿)は左側の家系だということです。


(資料)
ARD - "Panda, Gorilla & Co."(Folge 311, 341, 359, 223, 3)
(*追記資料)
B.Z. Berlin (Nov.14 2016 - Die Geschichte der Eisbären im Berliner Tierpark) (grafik-eisbaeren)

(過去関連投稿)
(*故トロール関連)
ベルリン動物公園(東側)のトロールがクヌートの「後継」としてベルリン動物園(西側)に移動 
ベルリン動物園のトロール(札幌・円山動物園、キャンディの兄)がトスカ(クヌートの母)と初顔合わせ
ベルリン動物園で雌のホッキョクグマ2頭が激しく闘争し負傷
ベルリン動物園の「クヌートの代役」のトロール、古巣の旧東側のベルリン動物公園に戻る
札幌 ・ 円山動物園のキャンディへの期待と声援 ~ 彼女のドイツでの幼少期と今は亡き両親の姿
喜怒哀楽を常に隠したポーカーフェイスのキャンディ ~ モスクワ動物園との深いつながり
ベルリン動物公園のトロール(札幌・円山動物園のキャンディの兄) 28歳にて亡くなる
(*アイカ関連)
南国・薩摩に生きるホッキョクグマたち ~ 欧州現代史激動期のベルリンに生を受けたホクトへの親しみ
旧東ベルリンのベルリン動物公園へ ~ アイカとトーニャの2頭の雌に御挨拶
32歳となったアイカの素顔 ~ 老いを感じさせぬプライドの高さと足腰の強靭さ
25年前の東ドイツにいた「もう一頭のクヌート」 ~ ユキ(姫路)とポーラ(仙台)の父親の物語
セルビア・パリッチ動物園のビョルン・ハインリヒ死す ~ ユキ(姫路〕 とポーラ(仙台) の父親の訃報
ホクト(鹿児島・平川動物公園) の行動から推測する彼のベルリンでの幼年時代
33歳になったアイカ、その誇り高きプライド ~ 心配される足腰の衰え
オランダ・ロッテルダム動物園のエリックが亡くなる ~ 双子の赤ちゃんを遺した父親の21歳の早過ぎる死
鹿児島・平川動物公園のホクトが亡くなる ~ 34歳の老いた母を遺して相次いで逝った三頭の息子たち
(*トーニャ関連)
ベルリン動物園、ロシアのロストフ動物園よりホッキョクグマを入手か?
亡きクヌートのパートナー候補だった個体、ロシア・ロストフ動物園で依然待機か? ~ 状況を推理する
モスクワ動物園のシモーナの娘、ロシア・ロストフ動物園より待望のベルリン到着!
ロシアからベルリン動物公園に来たモスクワ動物園のシモーナの娘、トーニャと命名される
モスクワ動物園がカザン市動物園に1頭のホッキョクグマを贈与 ~ 帰属意識と権利関係の狭間で
旧東ベルリンのベルリン動物公園へ ~ アイカとトーニャの2頭の雌に御挨拶
トーニャの素顔 ~ その怜悧な性格の魅力
(*ヴァロージャ関連)
ドイツ・ベルリン動物公園のトーニャのパートナーとしてモスクワから到着した「謎の幼年個体」の正体は?
ベルリン動物公園のトーニャと「謎の幼年個体」との間の繁殖は姉弟間の近親交配との大きな批判起きる
ベルリン動物公園の担当者、ドイツ国内の「近親交配批判」に反論 ~ “Errare humanum est...”
ベルリン動物公園でモスクワ動物園生まれのシモーナの三つ子の一頭、ヴァロージャが一般公開される
(*2013年1月 ベルリン動物公園訪問記)
旧東ベルリンのベルリン動物公園へ ~ アイカとトーニャの2頭の雌に御挨拶
トーニャの素顔 ~ その怜悧な性格の魅力
32歳となったアイカの素顔 ~ 老いを感じさせぬプライドの高さと足腰の強靭さ
(*2013年12月 ベルリン動物公園訪問記)
ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin) を訪問 ~ アイカ、トーニャ、ヴァロージャの奇妙な三頭同居
33歳になったアイカ、その誇り高きプライド ~ 心配される足腰の衰え
ヴァロージャ (Володя) の素顔 ~ シモーナお母さんの三つ子の一頭は「慎重派ちゃん」?
トーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリン
by polarbearmaniac | 2016-11-14 06:00 | Polarbearology

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