街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティ、ホーグル動物園で繁殖に寄与せず悠々と暮らすリッツォ

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リッツォ (Rizzo the Polar bear) Photo(C)tripadvisor

アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティのホーグル動物園(Hogle Zoo)といえば札幌・円山動物園のデナリの生まれ故郷であることは有名です。日本のホッキョクグマ界において過去から現在に至るまでアメリカの動物園で生まれたホッキョクグマといえば非常に少なく、現在ではデナリの他では旭山動物園のサツキがやはりアメリカ生まれ(クリーヴランドのメトロパークス動物園)であるぐらいでしょう。ホーグル動物園におけるデナリや、彼の母親、兄弟姉妹についてはかなり調べてありますので過去関連投稿を是非御参照下さい。
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Photo(C)tripadvisor

デナリの母親である故シヌック (1977 ~ 2002)は10頭の子供たちを育て上げた実に偉大なホッキョクグマであったわけで、彼女がホーグル動物園に君臨していた時代のホーグル動物園はアメリカにおける重要なホッキョクグマの繁殖基地だったわけですが、そのシヌックが亡くなってからというもののしばらく経ってホーグル動物園にはホッキョクグマが不在になるという状態が非常に長く続いたわけでした。しかし2012年になって9年振りにこの動物園にホッキョクグマが戻ってきたわけです。それが1997年12月生まれの雌ノホッキョクグマであるリッツォ (Rizzo)です。非常に短いですがこのリッツォの最新の映像を見てみましょう。



欧州の動物園にしてもアメリカの動物園にしても、ホッキョクグマについてどうもよくわからない点があるのですが、このリッツォに関してです。彼女はホーグル動物園に来園したときは14歳であり、そして現在は18歳なのですが、彼女に何故パートナーがいないのかという点です。雌(メス)のホッキョクグマであるのもかかわらず彼女は繁殖に全く寄与していないという不思議さです。伝え聞くところによれば、このリッツォがホーグル動物園に移動(2012年4月)に移動する直前に飼育されていたシンシナティ動物園で雄のリトルワンとの間で何回か繁殖行為があったそうですが、本来ならばシンシナティ動物園でその年の年末に出産準備で産室に入るべきはずのものを、リッツォはそのままホーグル動物園に移動したということだそうです。これが事実とすれば大きな問題だと思います。要するにホッキョクグマの出産準備のために環境を変えないでやるということよりもホーグル動物園の新しいホッキョクグマ飼育展示場のオープンに間に合うように2012年4月に移動させたということを意味するわけで、これは全く感心できません。その当時にはもうトレド動物園のメイヤーソン女史がAZAのSSPを主導していたはずですから、事前に彼女の移動は決まっていたにしても何故このような時期にわざわざリッツォをソルトレイクシティに移動することに同意したのかということです。このあたりがアメリカのホッキョクグマ界の問題なのです。少なくとも日本ではこういったことはないでしょう。
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リッツォ Photo(C)tripadvisor

このホーグル動物園はこうして4年前に Rocky Shores というホッキョクグマの新しい飼育展示場をオープンさせたわけで、まさか産室の設備がないなどということは有り得ないと思います。この動物園で一頭で飼育展示場を独占して暮らしているリッツォは気分的には気楽なのかもしれません。あと二つほどこのリッツォの映像を見てみましょう。「悠々と暮らしている」というよりは「暇を持て余している」というほうが正確なのかもしれません。





どのような事情があるかは知りませんが、このリッツォのように繁殖に寄与させずに一頭で飼育しているということならばコロンバス動物園で生まれたノーラはオレゴン動物園にではなくこのホーグル動物園に移動させて、若いリッツォにノーラの相手をさせてやればよかったわけです。何も31歳になったタサルにその役をあてがう必要などなかったのです。

さて、このホーグル動物園も今年で85周年だそうです。ホーグル動物園の歴史を振り返った番組をご紹介しておきます。残念なことにホッキョクグマは登場していません。



さて、話を故シヌックに戻しますが、この偉大なるシヌックの息子(デナリ)を日本で見ることができるというのは日本のファンにとっての大きな幸運と喜びなのです。
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デナリ (Denali the Polar bear/Белый медведь Денали)
(2015年4月1日撮影 於 札幌・円山動物園)

ララが世界的にも偉大なホッキョクグマであることは間違いないにしても、ララファミリー(Lara & Co.)の子供たちは母親であるララの偉大さの背後に、このホーグル動物園で飼育されていたシヌックのさらに偉大な影が大きく投影されていると私は考えています。ここをクリックしていただくと御理解いただけると思いますが、これはもう並のホッキョクグマの母親の姿ではありません。全身から母性が発散し、そして輝いているという姿なのです。デナリはこの母親の息子としてホーグル動物園で生まれ、そしてこの母親に育てられたというわけです。そのホーグル動物園でリッツォが繁殖に寄与せず一頭で暮らしているという現状はおかしな話なのです。

(資料)
Goof4Utah (Oct.30 2016 - Wirth Watching - The Grand History of Utah's Hogle Zoo)
Deseret News Utah (Dec.19 2002 - Hogle Zoo workers mourn polar bear mom 'Chinook')

(過去関連投稿)
デナリ(現・円山動物園)の1994年一般公開初日の様子 ~ 雄の「偉大さ」とは?
デナリ(札幌・円山動物園)の母シヌックの「育児記録写真集」  ~ “Project Polar Bear”
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (前)
デナリの義父の悲劇的な死の真相 (後)
「偉大なる男」デナリを生んだ「偉大なる母」の姿
デナリ (円山動物園) とその母親、兄弟姉妹たちの姿 ~ ユタ州・ソルトレイクシティーの地元紙の記録
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園、取り戻せるか過去の繁殖の栄光
大きく成長を遂げつつあるポロロ ~ クーニャよりもシヌックの影を強く感じるララファミリーの子供たち
アメリカ・ユタ州、ホーグル動物園のシヌック(1977~2002 デナリの母)が最後まで殉じた母親役
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園に9年ぶりにホッキョクグマ戻る
アメリカ・ユタ州、ソルトレイクシティーのホーグル動物園で新展示場のRocky Shores がオープン
by polarbearmaniac | 2016-11-22 06:00 | Polarbearology

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