街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの近況 ~ シルカ購入を狙っていた同水族館

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ピリグリム  Photo(C)Татар-информ

現在ブラジルのサンパオロ水族館で飼育されている雄のピリグリム(Пилигрим)と雌のオーロラ(Аврора) という7歳になろうというペアについては以前に何度か投稿していますが、彼らが何故この南半球のブラジルで飼育されているかについては極めて複雑な事情があり、これについては「ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層」、及び「ロシア・カザン市動物園がブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの売却否定に追い込まれる」という二つの投稿をじっくりとご参照頂く以外にありません。実に不可解で不透明な交渉でこの二頭はロシアから遠く離れた地で暮らさざるを得なくなっているのです。この事情を説明しようとするとロシアのホッキョクグマ界についてのかなりの理解が要求されるわけです。いわゆる、ロシアのホッキョクグマ界に存在している闇の部分を照らす必要があるということです。そこに入る前に最近のサンパウロ水族館でのピリグリムとオーロラの姿を見ておきましょう。ここもやはり完全に室内での飼育です。



さて本題に戻ります。ピリグリムの所有権はロシアのカザン市動物園にあり、そして野生孤児出身のオーロラの場合はその所有権はロシアの連邦政府の自然管理局 (RPN)にあり、そこからの委託によってオーロラを飼育する権利を持つのがカザン市動物園であるということです。このオーロラについては本来はロシア国外に出すことは不可能であるはずにもかかわらず、カザン市動物園は自園のホッキョクグマ飼育展示場の建設工事期間中のオーロラの飼育をサンパウロ水族館に委託するという理由を付けて自己所有のピリグリムと共にオーロラをブラジルに移動させたということなのです。事の性格上、情報ソースを明かすことはできないのですが、以下の事情を私は掴んでいます。サンパウロ水族館は新しいホッキョウグマ飼育展示場を完成させ、そしてそこに導入するホッキョクグマとして2014年の段階でノヴォシビルスク動物園のシルカの購入を計画して故シロ園長と交渉を行ったわけです。一方でそのシルカのパートナーとしてサンパウロ水族館で飼育すべく購入を狙ったのがカザン市動物園所有でイジェフスク動物園で飼育されていた雄のピリグリムであったわけですが、このピリグリムには連邦政府の自然管理局 (RPN)が権利を持つオーロラがすでに彼のパートナーとして割り振られていたためにサンパウロ水族館はピリグリムの入手に失敗し、そしてその結果としてシルカの購入資格を失ってしまったというのが背景にあった事情なのです。それは「パートナーが用意できない施設にはシルカを売るな」というモスクワ動物園からの圧力が故シロ園長にあったためでした。

さて、そうなるとサンパウロ水族館としては新設されたホッキョクグマ飼育展示場に入れるホッキョクグマをペアとして入手することが困難になったため、再び話をカザン市動物園に持ち込んで、当時はイジェフスク動物園で飼育されていたピリグリムとオーロラのペアを何としてでも入手しようとしたわけです。さて、ここからが問題です。カザン市動物園はどういった形の交渉を連邦政府の自然管理局 (RPN)と行ったのかはわかりませんが、新飼育展示場完成までの委託飼育という形で野生孤児出身のオーロラをピリグリムと共にサンパウロ水族館に移動させることに結局は成功したというわけです。これが今もって謎です。間違いなく何かの不公正が行われたのだろうと私は考えています。これこそがロシアの闇の部分というわけです。再びサンパウロ水族館におけるピリグリムとオーロラの姿、及びサンパウロ水族館のホッキョクグマ飼育展示場の概要の紹介を見てみましょう。



現在カザン市動物園は比較的近接した場所に新しい動物園の建設計画が進行しています。完成したあかつきには現在飼育されているマレイシュカと、このサンパウロ水族館のピリグリムとオーロラのペアがその新動物園の飼育展示場に戻ることになっています。ただしサンパウロ水族館ははたしてすんなりとこの二頭をロシアに返還するかと言えば、またひと悶着があるような気がします。

さて、ここでピリグリムが2010年3月にカザン市動物園で一般公開されたときの映像を再度ご紹介しておきます。写っている母親はもちろんマレイシュカです。



続いてオーロラが野生孤児として2010年5月にクラスノヤルスク動物園で保護された時の映像をご紹介しておきます。



このピリグリムとオーロラの二頭、どうしてもロシアに戻って欲しいと思います。

(資料)
Татар-информ (Dec.5 2016 - Казанские белые медведи Аврора и Перегрино обосновались в зоопарке Сан-Паулу)
ProKazan.ru (Dec.5 2016 - СМИ: казанские белые медведи Аврора и Перегрино обосновались в зоопарке в Бразилии)

(過去関連投稿)
(*以下、ピリグリム関連)
ロシア・カザン市動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生!!
ロシア・カザン市動物園で生まれた赤ちゃん(続報)動画公開!
モスクワ動物園、ロシア国内の幼少ホッキョクグマの売却一元管理を開始か?
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モスクワ動物園がカザン市動物園に1頭のホッキョクグマを贈与 ~ 帰属意識と権利関係の狭間で

(*以下、オーロラ関連)
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(*以下、ピリグリムとオーロラ関連)
ロシア・ウドムルト共和国イジェフスク動物園でピリグリムとオーロラが「結婚式」 ~ 新しい繁殖基地へ
ロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ、同園から忽然と姿を消す ~ ブラジル行きの真相と深層
ブラジル・サンパウロ水族館に忽然と姿を現したロシア・イジェフスク動物園のピリグリムとオーロラ
ロシア・カザン市動物園がブラジル・サンパウロ水族館のピリグリムとオーロラの売却否定に追い込まれる
by polarbearmaniac | 2016-12-05 23:50 | Polarbearology

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