街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラ、来年の繁殖シーズンへの大きな期待

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フェリックスとオーロラ (ヴィクトリア)
Photo(C)"Роев ручей" Красноярский зоопарк

現在世界のホッキョクグマ界で純粋に血統的な観点でみれば、最も繁殖が期待されているペアがロシア・シベリア中部のクラスノヤルスク動物園(正式には「ロエフ・ルチェイ・クラスノヤルスク動物園」 - "Роев ручей" Красноярский зоопарк)で飼育されている推定11歳の雄のフェリックスと推定7歳の雌のオーロラ(本名ヴィクトリア)であることは間違いありません。端的に言えば、このフェリックスとオーロラとの間で繁殖に成功すれば、その赤ちゃんは世界の飼育下で最も血統的な優位性を持つ個体となるわけです。以前から本ブログではこの事実を何度も指摘しています。おそらく私独自の用語使用である「血統的な優位性」というのは血統的な遺伝的孤立度の高さを意味するわけです。このフェリックスとオーロラは共に野生孤児の出身であり、他園には全く存在していない野生の孤立した血統なのです。ですから、このフェリックスとオーロラとの間に誕生した個体を、日本のホッキョクグマ界は何が何でも導入すべきなのです。欧州の動物園でも全く同じように考えているでしょう。こういった件については是非「ロシア・クラスノヤルスク動物園の新飼育展示場計画発表 ~ 欧露の「囲い込み」体制に日本はどう対応するか」という投稿を御参照下さい。また、このフェリックスとオーロラについては「ロシアNow」というロシアの今を伝えるロシア連邦政府発行紙「ロシースカヤ・ガゼータ」の日本語版のこのページで紹介されていますので興味のある方はご覧ください。
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日本で飼育下のホッキョクグマの血統における遺伝的多様性の維持を当ブログ開設者のように主張すれば、同好の方々の多くからは嫌われるわけです。理由は簡単です。日本におけるホッキョクグマの熱烈なファンの方々の大部分は「アンデルマ/ウスラーダ系」の個体のファンと「ララファミリー(Lara & Co.)」の個体のファンとの二つから成り立っているからです。そして多くの方々は「〇〇ちゃん」と「××ちゃん」との組み合わせを望み、それに異議を唱える者がいれば気分が悪くなるということです。しかしおおむね、この「〇〇ちゃん」と「××ちゃん」との組み合わせは、日本においてはすでに血統的な遺伝的孤立度を低くしようという組み合わせになっている点で、日本のホッキョクグマ界の現状をあぶりだしてしまっているわけです。ただしこの「アンデルマ/ウスラーダ系」と「ララファミリー(Lara & Co.)」というのは、なにしろ魅力的な個体が多いのです。こう言ってしまうと欧州の方々には実に申し訳ないのですが、私の見たところ欧州の「ロストック系」よりはずっと魅力的です。ですから「〇〇ちゃん」と「××ちゃん」との組み合わせは日本においては動物園の集客力アップにつながるわけで、「ファンあっての動物園だ。」という理解をすれば好ましいということになります。しかし日本のホッキョクグマ界における血統的な遺伝的孤立度を下げないようにするのはどうしたらよいかという知的考察作業とその実践の推進に興味を持つ非常に少数のファンは別の観点から考えることになります。前者のファンはロシアの大スターであるノヴォシビルスク動物園のロスチクが日本に導入されてリラやモモのパートナーになればいいなと考えるわけです。後者のファンは、クラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラのペアの繁殖成功個体をいかにすれば日本に導入できるかと考えることになるわけです。
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フェリックスとオーロラ(ヴィクトリア)
Photo(C)"Роев ручей" Красноярский зоопарк

さて、それはともかくとしてこのクラスノヤルスク動物園のフェリックスとオーロラのペアは来年の繁殖シーズンに備えて早々と同居を開始しました。今年の繁殖行動期である春にも、この二頭は同居を行ったのですが果たして繁殖行為があったかどうかは明らかにされていません。おそらくあっただろうと私は推測しています。何故なら秋口からオーロラの姿がネット上では見えなくなってしまっていたからです。つまり彼女は産室入りしたのだろということです。となると何故この12月上旬という段階でオーロラが姿を現してフェリックスと同居を開始したかが問題です。12月上旬という段階では彼女は当然まだ産室に留まっていなければおかしいからです。こういったことからさらに推察しますと、おそらくオーロラは11月に出産したのだろうと考えます。しかし赤ちゃんは死亡したために、この早い時期にオーロラは産室から飼育展示場に姿を見せたのだろうということです。こういったことから判断しますと、オーロラもフェリックスも繁殖能力があることを示しているのだと私は考えます。つまりこの野生孤児同士のペアは今後の繁殖が極めて有望だろうと考えられるわけです。

一昨日から開始されたこのフェリックスとオーロラの同居の様子をご紹介しておきます。





このフェリックスとオーロラの間に誕生した個体こそが、札幌のリラや浜松のモモのパートナーなるべきなのです。そういった観点から私たちは今の段階からこの二頭の姿に注目しておく必要があります。

(資料)
Комсомольская правда (Dec.9 2016 - Белые медведи в красноярском зоопарке удивили всех нежным проявлением чувств)
Sibnovosti.ru (Dec.9 2016 - «Роев ручей» опубликовал «романтическое» видео с белыми медведями)
АиФ Красноярск (Dec.9 2016 - В «Роевом ручье» у белых медведей раньше времени начался брачный период)
ТВ-Енисей (Dec.9 2016 - У белых медведей в "Роевом ручье" раньше обычного начался брачный период)
7 канал Красноярск (Dec. 9 2016 - Белые медведи в «Роевом ручье» неожиданно полюбили друг друга)

(過去関連投稿)
(*オーロラ関連)
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by polarbearmaniac | 2016-12-09 21:30 | Polarbearology

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