街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園のヴァロージャ(Володя/Wolodja)の来園の経緯 ~ 霧の中に浮かぶ真相

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ヴァロージャ (Eisbär Wolodja /Белый медведь Володя)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)

ベルリン動物公園 (Tierpark Berlin)で6歳のトーニャお母さんから11月3日に誕生した赤ちゃんは生後44日が経過しています。同園はまた新しい映像を公開しました。授乳を求めてでしょうか、赤ちゃんは懸命にトーニャお母さんの体をよじ登ろうとしています。特に変わった行動ではありませんが、少しずつ力をつけてきているようです。以下に最新のこの映像をご紹介しておきます。



さて、今回のベルリン動物公園での赤ちゃん誕生についてはロシアでも一部のメディアが報じているのですが、その中で一つ興味深いニュース映像がありましたのでご紹介しておきます。それは同園で飼育されている雄のヴァロージャ (Володя/Wolodja - 2011年11月27日生まれ)、及びベルリン動物公園でのホッキョクグマ繁殖に関して同園の主事であるジックス氏が語っている内容です。



ここでジックス氏は、同園での今までのホッキョクグマ繁殖は7回であるとし、そして雌(メス)のトーニャの繁殖を目指すためには雄の個体が必要で、その個体の調達をモスクワ動物園に依頼したという内容を語っています。この発言の内容は私が以前に述べた内容を裏付けています。ベルリン動物公園は故クヌートのパートナーとしてトーニャをモスクワ動物園から導入したものの彼女のベルリン到着前にクヌートは亡くなり、そしてやがてベルリンに到着したトーニャはパートナーのいない状態となったわけです。そこでしばらくしてからベルリン動物公園はトーニャのパートナーを探すべくモスクワ動物園に再度話を持っていったわけです、「雄の個体はいませんか?」と....。 つまりトーニャとヴァロージャの血統関係などはベルリン動物公園は大した関心を払っていなかったというわけです。
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ヴァロージャ (Eisbär Wolodja /Белый медведь Володя)
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)

「雄の個体はいませんか?」と問い合わせを受けたモスクワ動物園は単に「いますよ。」とだけ回答し、そしてシモーナの産んだ三つ子の一頭であるヴァロージャがベルリンにやってきたというわけです。モスクワ動物園はすでにベルリン動物園(故クヌートのいた旧西ベルリンの動物園)に売却していたはずのトーニャかベルリン動物公園(旧東ベルリン)に暮らしていたと認識していた可能性は高くはなかったかもしれません。しかし、血統台帳上では別の場所として記載されているベルリン動物園とベルリン動物公園ですが、経営上は一体でなされていることは交渉の過程でモスクワ動物園は知っていたでしょう。そしてモスクワ動物園は、ベルリン動物公園が希望している雄の個体がトーニャのパートナーとなるであろうことも予想していたと考えるのが自然でしょう。
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ヴァロージャとトーニャ
(2013年12月29日撮影 於 ベルリン動物公園)

さて、そしてヴァロージャがベルリン動物公園に来園後に持ちあがったのがトーニャの血統疑惑だったわけです。ベルリン動物公園はおそらくその段階でモスクワ動物園に問い合わせを入れたはずです。しかしこういった経緯が生じる以前に前もってモスクワ動物園はトーニャの血統情報の書き換えを行い、そしてヴァロージャをベルリンに送り込むに際してトーニャの血統上の辻褄合わせを行っていたとみて間違いないでしょう。こうしてトーニャの母親はシモーナからムルマに書き換えられていたというわけです。しかし以前から私が述べていますように現在のこの血統情報、つまりトーニャの母親はムルマとされていることは実際の血統を反映していないだろうということです。つまりトーニャの実際の母親はムルマではなくシモーナだというのが私の見解です。これについては「トーニャの素顔、そしてその血統の謎に迫る ~ 北京に負けたベルリン」という投稿を御参照下さい。しかしマニアの方以外には理解していただけない内容の話でしょう。

(資料)
L!FE.ru (Nov.23 2016 - В зоопарке ФРГ медведица Тоня съела долгожданного детёныша от москвича Володи)

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園のホッキョクグマたち ~ ベルリン=ブランデンブルク放送の映像より
ベルリン動物公園(Tierpark Berlin)でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 第一関門は週末
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、第一関門の生後72時間を見事に乗り切る ~ 授乳音確認
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃんは生後五日を乗り切る ~ 生後10日間を最初の関門ととらえる同園
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、一頭が産室内で姿を消す? ~ 生存は一頭と同園が発表
ベルリン動物公園、産室内のトーニャお母さんに若干の余裕が生まれる ~ 隣室での水分補給
ベルリン動物公園の赤ちゃんが生後20日が経過 ~ 産室内のトーニャお母さんにニンジンとリンゴの差し入れ
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後25日が経過し前脚で踏ん張って前に進もうとし始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、順調に満一ヶ月へ
ベルリン動物公園のトーニャお母さんと生後一か月を越した赤ちゃんの様子が公開
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後40日で立ち上がり始める ~ 同園がトーニャを「熟練の母親」と評価
by polarbearmaniac | 2016-12-17 02:00 | Polarbearology

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