街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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今年2016年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 訃報以外は「心地よき停滞状態」の一年?

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故カアチャン (Eisbärin Kaachan)
(2012年6月9日撮影 於 阿蘇・カドリードミニオン)
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故ユキ (Eisbärin Yuki)
(2012年6月30日撮影 於 周南市、徳山動物園)
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故オーロラ (Eisbärin Aurora)
(2012年4月21日撮影 於 名古屋、東山動植物園)

今年も押し詰まってきました。ここで今年2016年の日本のホッキョクグマ界を振り返ってみたいと思います。

全体的な印象では今年は比較的無風の一年だったように思います。ホッキョクグマの動きはありましたが、ほとんどの点においては「既定路線」という感じでした。大阪のバフィンとモモの親子の浜松への移動は繫殖プロジェクトの成果に達成によるバフィンの浜松帰還という従来想定されていた路線がそのまま行われたという点で予想外のものではありません。それに押される形で浜松のキロルが釧路に移動したわけですが、これはバフィン親子の浜松帰還が生み出した一つの結果と考えるべきでしょう。また、バリーバが横浜から愛媛へ帰還し、そして釧路からツヨシが横浜に移動してきたわけですが、こちらのほうは「玉突き移動」としての意味合いではなく、少なくとも繁殖への試みという点で積極的な意味を持っていたはずの移動でした。ただしバリーバの愛媛帰還時期とツヨシの移動時期、この二つそれぞれの遅れと受け入れ側の不可解とも思える意識、それについてのファンの側の問題意識の欠落といった要因もあって今年の繫殖シーズンへのツヨシの繫殖寄与は見送られた結果となっています。日本のホッキョクグマ界の克服すべき問題点であったように私は思っています。
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バフィンとモモ (Eisbärin Baffin und Momo)
(2016年6月8日撮影 於 大阪、天王寺動物園)
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バリーバ (Eisbärin Ballyba)
(2013年2月10日撮影 於 よこはま動物園ズーラシア)
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キロル (Eisbär Kiroru)
(2012年5月20日撮影 於 浜松市動物園)
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ツヨシ (Eisbärin Tsuyoshi)
(2016年10月5日撮影 於 よこはま動物園ズーラシア)

今年も私たちは貴重なホッキョクグマを三頭も失ってしまいました。2月に阿蘇のカドリードミニオンのカアチャンが亡くなり、11月に徳山動物園のユキが亡くなり、そして12月に入ってから名古屋の東山動植物園のオーロラが亡くなりました。昨年2015年に私たちはホクト(鹿児島)、ミリー(名古屋)、アイス(神戸)という、やはり三頭を失っていますので、今年も同数のホッキョクグマが日本のホッキョクグマ界から去って行ってしまったということになります。月日の流れは誠に非情であると申せましょう。そういった訃報を除けば今年2016年の日本のホッキョクグマ界は事実上「無風状態」、あるいは「心地よい停滞状態」だったというのが私なりの今年の日本のホッキョクグマ界の総括です。

来年2017年には否応なしにいくつかの事項が動き始めるでしょう。その動きの中心にあるのが札幌・円山動物園となる可能性は比較的大きいでしょう。「ララファミリー(Lara & Co.)」のホッキョクグマたちがそれぞれ新しいフェーズに入っていくことになるはずです。そこから発生した風は風力を強め、そして私見では、日本のホッキョクグマ界全体に転換点をもたらすことになるのは再来年2018年になるだろうということです。
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故メンシコフ (Белый медведь Меньшиков/Eisbär Menshikov)
(2014年9月14日撮影 於 サンクトペテルブルク、レニングラード動物園)

世界のホッキョクグマ界に眼を転じれば、今年2016年ではロシアにおけるメンシコフの死がとりわけ大きな出来事でした。彼こそはホッキョクグマの「偉大さ」そのものを象徴している存在だったのです。そして日本のホッキョクグマ界にも多くの貢献を行ってきた男でした。ですからメンシコフは日本のホッキョクグマ界の「名誉ホッキョクグマ会員」だったと言ってもよいのです。偉大なる一時代が終わってしまったということを痛感してしまいます。その他でとりわけ残念だったのはデンマークにおけるヴィルマの急死です。これについて私は未だに納得がいかない気持ちを持っています。素晴らしい活躍を行ったのはアメリカ(コロンバス動物園)の現在29歳となったナヌークです。そして興味深かったのはロシアのホッキョクグマ界がいよいよ個体売却から、従来以上に一層血統を重視した繁殖計画に大きく舵を切り始めている点です。モスクワ動物園を中心としてロシア国内に野生個体同士のペアを誕生させて「新血統」を作ろうとする傾向が強く表れてきているという点です。ロシアの動きから目を離すことができなくなってきたというわけです。ロシアの動きが欧州と日本のホッキョクグマ界に与える影響は無視できない状態になってきています。このままでは欧州に有利に、そして日本に不利にと状況は展開していく可能性が大きいと思います。

世界のホッキョクグマ界ではまだ今年2016年の繫殖シーズンの結果が出揃っていません。しかしおそらく誕生はしているものの、その事実公表がなされていない赤ちゃんが複数頭いることだけは間違いないと思われます。その中に日本の動物園で生まれた赤ちゃんがいるかどうかはまだわかりません。世界中の動物園の産室内のお母さんたちを心から応援したいと思います。

(過去関連投稿)
今年2012年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 真の 「開国」 となるか?
今年2013年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ 漠然とした期待感の中で封印されてきたもの
今年2014年のホッキョクグマ界を振り返って ~ 世界のホッキョクグマ界における日本の現在の位置確認
今年2015年の日本のホッキョクグマ界を振り返って ~ ホッキョクグマたちが描いた絵巻物
阿蘇・カドリー ドミニオンのカアチャン亡くなる ~ 国内最高齢(1983年誕生) が実は真相だった
周南市・徳山動物園のユキが亡くなる ~ 「永遠の若さ」を抱いて星の彼方へ....
名古屋・東山動植物園のオーロラ逝く ~ 「生活感」に溢れた現実主義的ホッキョクグマの死
by polarbearmaniac | 2016-12-30 19:30 | Polarbearology

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