街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ドイツ・ハノーファー動物園のシュプリンターとナヌークの近況 ~ ナヌークは果たして札幌に来るか?

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ナヌーク(左)とシュプリンター(右)
Photo(C)Frank Wilde/Hannoversche Allgemeine

北ドイツの都市であるハノーファーの動物園に暮らす二頭の仲良しの雄(オス)のホッキョクグマであるシュプリンター(2007年12月13日 レネン・アウヴェハンス動物園生まれ、母親はフリーダム)とナヌーク(2007年11月3日 ウィーン・シェーンブルン動物園生まれ、母親はオリンカ)というのは実に不思議な存在です。彼らはパートナーと当てがわれることもなく共に9歳になった現在でも雄同士で仲良く暮らしているわけです。以前2012年4月まではさらにナヌークと双子の兄弟であるアルクトスもこの動物園で暮らしており、まさに「仲良しトリオ」だっというわけでした。アルクトスはその後にスコットランドのハイランド野生公園に移動したわけですが、彼はそこでもパートナーがいないという不思議な状態です。そういったことで2012年に札幌・円山動物園とハノーファー動物園との間で個体交換交渉が行われたわけでした。
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ナヌーク Photo(C)Christoph Schmidt/Ruhr Nachrichten

その個体交換交渉とは具体的には日本からアイラ(現 おびひろ動物園)がハノーファー動物園に移動し、そしてハノーファー動物園のナヌーク(あるいはシュプリンター)が円山動物園にやってくるという個体交換交渉だったわけです。その経緯と失敗に終わった結末については「ドイツ・ハノーファー動物園と個体交換交渉を行った札幌・円山動物園 ~ その背景を読み解く」、及び「ドイツ・ハノーファー動物園に2012年夏に札幌・円山動物園が提示した交換候補個体はアイラだった!」という二つの投稿を御参照下さい。
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シュプリンター Photo(C)Peter Steffen/Haller Kreisblatt

このハノーファー動物園というのは現在は民営化されており非常にイベントの多い動物園となっています。さらにクリスマスの飾りつけや特別イベントの企画など、非常に見ていておもしろい動物園というものを目指しているわけです。そんなイベントの様子を二つほどご紹介しておきます。





このハノーファー動物園でも当然ホッキョクグマに対するエンリッチメントが行われているのですが、それを担当しているのはダニエル・ゴースマンさんです。この二頭の雄に大きくて丈夫なボール(重さが50キロあるようです)を与える理由は、彼らが単に楽しみだけでボールと遊ぶのではなく体を鍛えるという要素が加味されているそうです。つまり、野生の環境において生きていくといった彼ら本来の力強い行動をも引き出したいということのようです。このハノーファー動物園におけるボールでのエンリッチメントの様子をTVニュースが紹介している映像を下に御紹介しておきます。なるほど、これが頑丈そうですね。なにか非常にドイツ的なものを感じてしまいます。同じ球状のものを与えても、シルカに対する色とりどりのいくつものプラスチック容器を用いたエンリッチメントとはかなり様相が異なるようです。是非ご覧下さい。確かにこれならば腕力が鍛えられそうです。



さて、昨年末に「おびひろ動物園のアイラの6歳の誕生祝い ~ 来年2017年には同園よりの移動が必至の情勢」という投稿を行っていますが、依然としてハノーファー動物園の若き雄たちにはパートナーがいない状態です。基準をクリアした新飼育展示場が完成する札幌の円山動物園が再度話をハノーファー動物園に持っていくことは不可能ではありません。しかし聞くところによりますと円山動物園はJAZA - WAZA - EAZA というルートで欧州の雄の個体の導入を考えている(考えていた)ようです。ということは、アムステルダムのEAZAのコーディネーターが大きく関与してくることになるはずです。これはなかなか難物だと思います。仮にハノーファー動物園を以前のやり方で「一本釣り」にするのは話が通り易いとは思いますが、果たしてどうでしょうか? 仮にそれができるならば、シュプリンターではなくナヌークが欲しいということです。仮に以前のようにナヌークとアルクトスという双子兄弟が共にハノーファー動物園にいれば一層話はしやすいはずなのですがアルクトスはスコットランドに移動していますので、これがやや気になるところです。ハノーファー動物園は「シュプリンターとアイラ(あるいはその他のララファミリー個体)」という組合せよりも「ナヌークとアイラ(あるいはその他のララファミリー個体)」という組合せを望みそうです。何故ならそのほうが血統的優位性が高い(つまり血統的孤立度が高い)組み合わせだからです。しかし仮にナヌークが札幌に来れば「ナヌークとピリカ」という組み合わせが考えられますが、ただしピリカの権利は帯広市が所有していますのでピリカを再度また札幌に戻すのは難しいでしょう(サツキとピリカの権利を札幌市は帯広市と交換したのは今になってみれば失敗でしたね)。そうなると「ナヌークとマルル/ポロロ」という組合せとなるはずです。アメリカのコロンバス動物園のように雄のナヌークと双子姉妹のアナーナとオーロラという三頭同居を行って双子姉妹の両方に繁殖に成功させたのが今回のコロンバス動物園です。これが「双子姉妹の神話」なのです。そうなるとナヌークとマルル、ポロロの双子姉妹の三頭同居を実現すればマルルとポロロの両方の繁殖に成功する可能性は高いようにも思うのですが、マルルとポロロはすでに熊本と徳島に引き離されてしまっているわけで、ずっと一緒に飼育されてきたコロンバス動物園のアナーナとオーロラの双子姉妹とは条件が違うというのが気になるのです(だからマルルとポロロの双子を引き離すなと、あの時あれほど私は言ったのです)。マルルとポロロは今更同居させてみても、もう互いに相手は他人(他熊)としてしか認識せず、そしてこの二頭にナヌークを加えて三頭同居させると緊張感がさらに増してしまうわけです。

やはりハノーファー動物園と以前の交渉を蒸し返すのは難しいと考えます。 いや、それよりもそれ以前にまず、ナヌーク(やシュプリンター)に繁殖能力があるかどうかは誰にもわからないという不確定要素があるわけですが....。

(資料)
Hannoversche Allgemeine (Dec.20 2016 - So feiern die Tiere im Zoo Hannover Weihnachten)
Ruhr Nachrichten (Apr.14 2016 - Vier Pranken und ein Ball - Spielzeug für Eisbären)
RTL Nord (May.5 2016 - Spielzeug für die großen Tiere)

(過去関連投稿)
ウィーンの双子(アルクトス&ナヌーク)がハノーファーへ移動 (May.20 2010)
ドイツ・ハノーファー動物園の新施設 Yukon Bay
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ドイツ・ハノーファー動物園と個体交換交渉を行った札幌・円山動物園 ~ その背景を読み解く
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by polarbearmaniac | 2017-01-08 19:00 | Polarbearology

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