街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ベルリン動物公園の雄(オス)の赤ちゃんの故クヌートと重なり合うもの、合わないもの

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Photo(C)Tierpark Berlin

ベルリン動物公園で昨年2016年の11月3日にトーニャお母さんから誕生した赤ちゃんの性別は雄(オス)であることが判明した件についてはすでにご紹介していました。この赤ちゃんの健康チェックと性別判定作業の映像はなかなか素晴らしい出来栄えでいろいろなところでも紹介されています。

さて、同園はまたこの赤ちゃんの最新の映像を公開しましたが、これは産室内で赤ちゃんがトーニャお母さんの体の下に入り込んでいくという映像なのですが、多分自分で何か冒険でも行っているような気分のように見えます。





ベルリンのファンにとってはこの赤ちゃんは2006年12月に旧西ベルリンのベルリン動物園で誕生したクヌート以来、待ちに待ったホッキョクグマの赤ちゃんだということで、クヌートの思い出と重ね合わせてこの赤ちゃんに期待する声は非常に大きいようです。地元のベルリン=ブランデンブルク放送が今回の赤ちゃんの性別判明について報じたニュース映像を御紹介しておきます。健康チェックと性別判定が終了した後この赤ちゃんはトーニャお母さんのもとに再び戻されたのですが、やはり赤ちゃんにとって一連の作業は非常に怖ろしいものだったようで、お母さんと再会した後は疲れきってぐっすりと眠ってしまったようです。その姿も映っています。それから後半には旧西ベルリンのベルリン動物園のホッキョクグマ飼育展示場の横にある故クヌートの記念像に花をささげる一人のクヌートファンの老婦人の姿が映し出されています。今回のベルリン動物公園での赤ちゃん誕生を非常に素晴らしいことであるという感想を語っていますが、しかしやはりあのクヌートというのは特別な存在であったという気持ちのようです。



故クヌートというのはファンにとってはもう伝説のホッキョクグマであり、今回のベルリン動物公園の赤ちゃんをもってしてもそう簡単には取って代わることはできないという気持ちなのでしょう。なにしろクヌートには最初からどこかに悲劇の影といったものを感じたわけです。クヌートの母親であったトスカはサーカス出身のホッキョクグマでした。この「サーカスのホッキョクグマ」というものにすでに非常に数奇な運命が刻み付けられていたわけで、しかもその母親が育児放棄をしてしまったために人工哺育となったクヌートでした。さらに育ての親であった担当飼育員さんのトーマス・デルフラインさんの死というものがクヌートの運命にのしかかってきたわけでした。そしてクヌート自身の悲劇的な死をもって、クヌートは「伝説のホッキョクグマ」となったわけです。クヌートについては以前の「クヌート (Dec.5 2006 ~ Mar.19 2011)、没後5年が経過しての回顧 ~ 悲劇の不気味な黒い影」という投稿でご紹介した二つの映像のうち二番目の映像を御参照頂ければ幸いです。

一方でこれはあくまでも私自身の印象ですが、私は今回のベルリン動物公園の赤ちゃんの両親であるトーニャもヴァロージャもその幼年期にはモスクワ動物園で何度も会っていたわけですし、さらにトーニャやヴァロージャの両親(シモーナ etc.)にも何年にもわたってモスクワ動物園で親しんできました。さらにシモーナの両親であるウスラーダや故メンシコフにも何度も会ってきたわけですし、故メンシコフの母親であるアンデルマにも何度も会っています。こういった点において欧州のホッキョクグマファンのどなたよりもこの今回のベルリン動物公園の赤ちゃんの血族について親しみを持っているわけです。そういった観点から、私は今回の赤ちゃんを故クヌートと重ね合わせるということは全くできません。

間違いなく私は今回のベルリン動物公園の赤ちゃんに会いに行くでしょう。

(過去関連投稿)
ベルリン動物公園(Tierpark Berlin)でホッキョクグマの双子の赤ちゃん誕生! ~ 第一関門は週末
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、第一関門の生後72時間を見事に乗り切る ~ 授乳音確認
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃんは生後五日を乗り切る ~ 生後10日間を最初の関門ととらえる同園
ベルリン動物公園で誕生の双子の赤ちゃん、一頭が産室内で姿を消す? ~ 生存は一頭と同園が発表
ベルリン動物公園、産室内のトーニャお母さんに若干の余裕が生まれる ~ 隣室での水分補給
ベルリン動物公園の赤ちゃんが生後20日が経過 ~ 産室内のトーニャお母さんにニンジンとリンゴの差し入れ
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後25日が経過し前脚で踏ん張って前に進もうとし始める
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、順調に満一ヶ月へ
ベルリン動物公園のトーニャお母さんと生後一か月を越した赤ちゃんの様子が公開
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後40日で立ち上がり始める ~ 同園がトーニャを「熟練の母親」と評価
ベルリン動物公園のヴァロージャ(Володя/Wolodja)の来園の経緯 ~ 霧の中に浮かぶ真相
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後50日が経過する
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃん、生後約二ヶ月が経過
ベルリン動物公園で誕生の赤ちゃんの性別は雄(オス)と判明 ~ "Es ist ein Junge!"
by polarbearmaniac | 2017-01-15 06:00 | Polarbearology

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