街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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昨年2016年の繁殖シーズンに世界の動物園で誕生した赤ちゃんたち ~ そして次の2017年の繁殖シーズンの展望

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ララとリラ (Lara the Polar Bear with her cub Lilas)
(2015年4月4日撮影 於 札幌・円山動物園)
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リラ (Lilas the Polar Bear Cub)
(2015年4月5日撮影 於 札幌・円山動物園)

昨年2016年の繁殖シーズンにおける世界の動物園での赤ちゃん誕生は現時点(1月15日終了段階)では出揃ったと思います。実際に赤ちゃんは生まれてはいるもののその事実が公表されておらず母親と一緒に産室で成育している例は間違いなくある(特に北米、欧州、ロシア)とは思いますが、いつまでも正式発表を待っていてもきりがありません。また、1月15日の段階で産室内に留まっていてまだ出産のない雌(メス)がこれから出産する可能性があるか(つまり2016年13月の出産)ということですが、その可能性は無視してよいほど小さいと思います。そういったことで、昨年2016年の繁殖シーズンに誕生し、そして現時点まで元気で成育しいる赤ちゃんたちを纏めてみたいと思います。誕生はしたものの死亡してしまった例は除外します。あくまでも現時点で親子で産室内にいるケースだけをあげます。

・ベルリン動物公園(ドイツ)
11月3日にトーニャ(6歳)が出産 (二頭出産して一頭が生存中)

(*後記 - 本稿投稿以降に判明したフランスの例を追加しておきます)
・ミュルーズ動物園(フランス)
11月7日にセシ (5歳) が出産 (一頭出産して生存中)

・コロンバス動物園(アメリカ)
11月8日にアナーナ(9歳)が出産 (二頭出産して一頭が生存中)
11月14日にオーロラ(9歳)が出産 (二頭出産して二頭共に生存中)

・ヘラブルン動物園(ドイツ)
11月21日にジョヴァンナ(9歳)が出産 (一頭出産して生存中)

・ラヌア動物園(フィンランド)
11月25日にヴィーナス (11歳) が出産 (二頭出産して一頭が生存中)

・オールボー動物園(デンマーク)
11月26日にメーリク(15歳)が出産 (三頭出産して二頭が生存中)

・タリン動物園(エストニア)
11月26日にフリーダ(13歳)が出産 (二頭出産して一頭が生存中)

・ヤクーツク動物園(ロシア)
12月7日頃にコルィマーナ (5歳) が出産(出産頭数不明、一頭が生存中)

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フギース (Huggies the Polar Bear)
(2012年3月23日撮影 於 オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園)

2016年の繁殖シーズンは出だしこそ好調でしたが12月に入ってからペースがガクンと落ちました。私にとって全く理解できないのは、オランダ・レネンのアウヴェハンス動物園のフギースの出産の発表がないことです。フギースについては「オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の22歳のフギースの繁殖へのさらなる挑戦」という投稿を御参照下さい。フギースは私個人の出産可能性ランキングでは「大本命 "S" 」のカテゴリーに入るホッキョクグマなのです。つまりシモーナ(モスクワ)やララ(札幌)と同じクラスの、出産確実というホッキョクグマなのです。ただしかし、やや気になった点はやはりあったのです。彼女は今回は新しいパートナー(現 フリースラント・アクア動物園のフェリックス)との間での繁殖挑戦だったわけです。とはいうもののこのドイツのフェリックスは現在欧州でも屈指の繁殖能力のある雄だということです。カナダのイヌクシュク、日本のデナリ、ロシアのウランゲリ、オランダのヴィクトル(現在はイギリス)などと同格という、優秀で確実性のある繁殖能力を持つ雄ということになります。私がこのブログを開設して以来、オランダの動物園は毎年ホッキョクグマの赤ちゃんが誕生していたわけですが、とうとう2016年のシーズンにはそれが途切れてしまったということになります。オランダの動物園は赤ちゃん誕生後の72時間以内に授乳が確認されればその段階ですぐに赤ちゃん誕生の事実を発表するわけですが、現時点でフギースの出産の事実が発表されないというのは彼女は出産に成功しなかったと考えてよいでしょう。とはいうものの、まだフギースは飼育展示場には復帰していないようですが.....。
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フギースとルカ、リンの双子 (Huggies the Polar Bear with her twin cubs Luka and Lynn)
(2012年3月23日撮影 於 オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園)

それからカナダのサンフェリシアン原生動物園のエサクバクとミラクです。これについては「カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の深慮遠謀 ~ エサクバクとミラクのダブル出産への挑戦」という投稿を御参照下さい。これも出産の事実の発表がありません。特にエサクバクは最初にイヌクシュクと組んだとき(2009年)は出産に成功したものの、それ以来イレ、そして次にエディとパートナーを変えていますが出産には成功していません。ホッキョクグマの繁殖にはいかに雄(オス)が重要なカギを握るかを見事に示している例だと言ってよいでしょう。
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バフィンとモモ (Baffin the Polar Bear and her cub Mono)
(2015年6月13日撮影 於 大阪・天王寺動物園)
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モモ (Momo the Polar Bear cub)
(2015年3月10日撮影 於 大阪・天王寺動物園)

スコットランドのハイランド野生公園のヴィクトリア(彼女については「スコットランド、ハイランド野生公園の19歳の雌のヴィクトリアと8歳の雄のアルクトスの歩む繁殖への道」という投稿を御参照下さい)にも出産のニュースは流れていません。しかしこのハイランド野生公園というのは担当者があまりに気負い過ぎのように思います。最初からあまりに期待が大きすぎるわけです。ロシアのイジェフスク動物園のドゥムカには出産があった可能性がありますが、イジェフスク動物園は赤ちゃん誕生の発表は非常に遅いです。あと、まだ可能性が残るのはアメリカの動物園です。しかしどうでしょうか、やはり厳しいとは思いますが.....。
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クルミとミルク (Kurumi the Polar Bear and her cub Milk)
(2014年1月25日撮影 於 男鹿水族館)
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ララとポロロ(左)、マルル(右)の双子 (Lara the Polar Bear with her twin cubs Porolo and Marle)
(2013年4月6日撮影 於 札幌・円山動物園)

日本の動物園ですが、旭山動物園のピリカは飼育展示場に復帰していますが、ルルはどうなのでしょうか? 仮に2月に入ってからもルルの飼育展示場復帰がないとすれば、出産成功の可能性はあるということです。姫路市立動物園のユキもどのような状態なのかは今一つわかりませんが、これも2月になってもユキが飼育展示場に復帰しなければ出産成功の可能性は大いにあります。要するに旭川も姫路もホッキョクグマの繁殖に今回は非常に神経質になっていることが理解できる状況だからです。いずれにせよ、姫路にせよ旭川にせよ出産に成功しているのならば遅かれ早かれ発表があるでしょうから、あれこれと詮索してみても意味がないということです。ただしかし私は、レネンのフギースほどの繁殖に信頼性のあるホッキョクグマが出産に成功しないということであるならば日本の動物園で今回ホッキョクグマの赤ちゃんが生まれなくても何ら不思議ではなく、残念とすらも思わないほどフギースは出産が当然視された雌だったのです。その他では白浜のAWSが今後の繁殖についてどのような考え方を持っているか(たとえばオホトの年齢をどう評価するかとか、今後の人工哺育の意義についてどう考えるかとか、ゴーゴをどうするかといった大阪の思惑など)ということはありますが、白浜については私自身としては全て受け身の姿勢で情報を待つという以外のことはできません。
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ラダゴル(カイ)(Белый медведь Ладогор/Eisbär Ladogor)
(2013年2月3日撮影 於 仙台・八木山動物公園)
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ポーラ(左)とラダゴル(カイ - 右) (Белая медведица Паула и Белый медведь Ладогор/Eisbärin Paula und Eisbär Ladogor)
(2013年2月2日撮影 於 仙台・八木山動物公園)
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ウスラーダ (Белая медведица Услада/Eisbärin Uslada)
(2014年5月3日撮影 於 サンクトぺテルブルク、レニングラード動物園)

仙台のラダゴル(カイ)とポーラのペアですが、いくらなんでもそろそろ今年2017年の新しい繁殖シーズンには朗報を聞かせてもらえないでしょうか? とりわけラダゴル(カイ)はあのウスラーダが長い時間かけて丁寧に育てた息子なのです。ウスラーダの16頭の子供たちというのは、いずれも母親と過ごした時間が十分とは言えない個体もあるわけですが、しかしウスラーダと長く一緒に暮らした子供ほど情緒が安定していて繁殖にも有利になることは明らかで、ウスラーダの娘としてはシモーナ(モスクワ)、そして息子ではラダゴル(カイ)が最も母親であるウスラーダと長く暮らした子供なのです。ちなみにレニングラード動物園の facebook のカバー写真はウスラーダや故メンシコフではなく、このペアの16頭の子供たちを代表してシモーナを差し置いてなんとラダゴル(カイ)の写真が使用されているほどなのです。 ラダゴル(カイ)には何が何でも繁殖成功に寄与してもらいたいわけです。思い切った案ではありますが私としてはとしてはポーラ(仙台)とユキ(姫路)の姉妹を2年間ほど交換して、ラダゴル(カイ)/ユキ、ルトヴィク(ホクト)/ポーラというペアにしてみるというやり方が彼らの気分を変えてみるという点で有効ではないかと考えています。
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イコロ (Белый медведь Икор/Eisbär Ikor)
(2015年7月18日撮影 於 恩賜上野動物園)

今年2017年の新しい繁殖シーズンには上野動物園とズーラシアが「参戦」します。釧路も「参戦」の資格があります。しかし上野や釧路はイコロとキロル(そしてデアとミルク)の繁殖能力は未知数です。だからどれだけ期待してよいかはわかりません。男鹿と静岡は期待できるようにも思います。それは豪太とピョートル(ロッシー)は繁殖能力が証明されているからです。ところがズーラシアは雄(オス)の繁殖能力が極めて疑問ですから、2017年が「最初で最後の勝負」といった趣きで期待せねばならない必要性があることを十分承知の上でも繁殖成功には言語に絶するほどの厳しさがあると考えます。今年2017年については私は関東ではズーラシアではなく、できれば上野のイコロとデアのペアを追いかけたいと考えています。上野動物園が日本の主導的動物園としての意地とプライドを見せてくれるかという戦いでもあるからです。
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ララとアイラ (Lara the Polar Bear with her cub Aïra)
(2011年12月19日撮影 於 札幌・円山動物園)

(過去関連投稿)
オランダ・レネン、アウヴェハンス動物園の22歳のフギースの繁殖へのさらなる挑戦
カナダ・ケベック州、サンフェリシアン原生動物園の深慮遠謀 ~ エサクバクとミラクのダブル出産への挑戦
スコットランド、ハイランド野生公園の19歳の雌のヴィクトリアと8歳の雄のアルクトスの歩む繁殖への道
北米の過去約100年間の飼育下のホッキョクグマ出産記録が語ること(2) ~ 出産のピークは何日頃?
2016年のホッキョクグマ出産シーズンは折り返しの中間点を通過 ~ 今年は「豊作」の年か?
2016年のホッキョクグマ出産シーズンで後半戦に入って誕生のニュースが途絶えている不思議
2016年のホッキョクグマ出産シーズンが最終コーナーへ ~ 急速に縮小する日本での赤ちゃん誕生の可能性
by polarbearmaniac | 2017-01-16 01:00 | Polarbearology

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