街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・バッファロー動物園のルナとサカーリの若いペアへの期待 ~ 雌の人工哺育個体の繁殖への挑戦

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ルナ (Luna the Polar Bear)  Photo(C)Buffalo Zoo

アメリカ・ニューヨーク州のバッファロー動物園で飼育されている4歳の雌(メス)のホッキョクグマであるルナといえば人工哺育で育てられ、そしてバッファロー動物園が新飼育展示場を建設するための資金集めにマスコット的な役割を果たして大いに寄与したホッキョクグマです。一時はアラスカで保護された野生孤児であるカリーと同居したり、また壕に転落して負傷ひたりなど非常に話題の大きかったホッキョクグマですが、最近は彼女をめぐる話題もあまり聞かなくなっていました。このルナの比較的最近の映像を三つほどご紹介しておきます。







ルナは幼年期に野生孤児のカリーと同居したことによって一応は「適応化 (Socialization)」がなされていると考えられますので人工哺育されたとはいっても繁殖に関しては大きなハンディキャップにはならないような気がします。あの有名なフロッケがラスプーチンと幼年期から同居したことによって「適応化 (Socialization)」が見事になされ、そして南フランス・アンティーブのマリンランドで繁殖に成功したという事例は、人工哺育された個体にとって何よりもこの「適応化 (Socialization)」が繁殖成功にとっては重要な要素であることを示しているように思います。

ただし上の三つの映像でも何となく感じる通り、ルナにとってはやはり人間に興味があるという傾向は他のホッキョクグマよりもやや大きいような気もします。フロッケの場合は幼年期からずっと継続してラスプーチンという存在が身近にあったのと比較すると、ルナの場合はカリーがセントルイス動物園に去っていった後には一頭で暮らしてきたという点は何か少し気になる点があるとも言えます。

このルナの繁殖上のパートナーして昨年暮れにバッファロー動物園に来年したのがオハイオ州トレド動物園で2012年11月に誕生した4歳の雄(オス)のサカーリです。サカーリの母親はアメリカで現在最も優秀な母親であると評判の高いクリスタルです。ルナとサカーリは多分来年のシーズンから繁殖を狙って同居が始まるのではないかと思いますが、あるいは早々と今年の春からの同居となるかもしれません。サカーリは今年2017年の元旦より一般公開が開始となっています。このサカーリのバッファロー動物園での姿を見てみましょう。





サカーリは母親であるクリスタルによって非常に筋の良い育てらえ方をしているわけで特別に問題となるような点はありません。ルナとこのサカーリは全米においてもこれから注目すべきペアとなることは間違いないでしょう。ルナを産んだアナーナ(現 シンシナティ動物園)は札幌のデナリの異父の妹であるという点でも、ルナは血統的に日本との繋がりのあるホッキョクグマであるというわけです。これは以前にも述べたことですが「ララファミリー(Lara & Co.)」、そのなかでララの子供たちというのは実際はデナリの母親であったシヌックの影響が非常に濃いというのが真相ではないかと私は考えています。ララというのは外形的には父親であったシローに似ているわけですが、その性格については自分の母親であったクーニャから受け継いだものが非常に色濃く反映しているホッキョクグマです。彼女はクーニャの持っていた欠点をも受け継いだわけですが、年齢と共にそれを完全に克服した点で偉大であるわけです。一方でララと双子姉妹である旭川のルルはクーニャから受け継いだ要素は比較的少ないように思います。そこがララとルルの違いであると私は考えています。ところが、ララの子供たちについてはクーニャの影響は希薄であり、大きく反映しているのは父親デナリの持つ多面的な要素です。そのデナリは彼の母親であったシヌックから受け継いだものは大きいように思います。「ララファミリー(Lara & Co.)」にもこのルナにもあの「アンデルマ/ウスラーダ系」のホッキョクグマたちが持つ「ロシア臭」といったものは全く感じない点にも気が付きます。そもそもアメリカのホッキョクグマのは「ロシア臭」といったものは全くないわけですから、それは当然でしょう。そういった理解を背景としてこのバッファロー動物園のルナの今後を追い続けていくのは関心の座標軸を定める点でおもしろいと思います。

(資料)
WIVB4 (Feb.17 2016 - Local polar bear enjoys snow at The Buffalo Zoo)

(過去関連投稿)
(*ルナ関連)
アメリカ・ニューヨーク州、バッファロー動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ その姿が突然公開
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(*サカーリ関連)
アメリカ・ウィスコンシン州のヘンリー・ヴィラス動物園で新展示場 ”The Arctic Passage”がオープン
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by polarbearmaniac | 2017-01-17 02:00 | Polarbearology

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