街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア・イジェフスク動物園のシェールィとビェールィがモスクワ経由でハンガリー・ブダペスト動物園へ

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シェールィとビェールィ (Белые медвежата Серый и Белый)
Photo(C)Зоопарк Удмуртии

実に興味深いニュースが深夜になってモスコフスキー・コムソモーレツ(Московский комсомолец) 紙の報道で入ってきました。ロシア連邦ウドムルト共和国のイジェフスク動物園(現在では公式にはウドムルト動物園 - Зоопарк Удмуртии)で一昨年2015年の11月28日にドゥムカお母さんから誕生し人工哺育で育てられた1歳の雄(オス)の双子のシェールィ (Серый) とビェールィ (Белый) がモスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設にすでに到着し、検疫後にハンガリーのブダペスト動物園に移動することになるそうです。(*追記 - モスクワ動物園のヴォロコラムスク附属保護施設に到着したこの二頭を報じたTVニュースをご紹介しておきます。)



この双子の移動は欧州におけるホッキョクグマ繁殖計画の一環としてのものだそうです。つまりこの双子の二頭はEEPの該当個体になるということなのでしょう。そしてつまりこのことは、欧州とロシアとのホッキョクグマ繁殖に関する協力関係がすでに水面下で相当程度に構築されているということを意味していることになるわけです。そしてEAZAのコーディネーターが介在してブダペスト動物園に欧州内の雌(メス)のホッキョクグマを移動させてシェールィとビェールィのパートナーとすることになるわけです。あるいはしばらくの間はブダペスト動物園を欧州の雄の幼年・若年個体の集中プール基地の役割を担っているイギリスのヨークシャー野生動物公園の補完的な場所として利用するということなのかもしれません。しかしブダペスト動物園は数年前からホッキョクグマが不在となっており、歴史的にもホッキョクグマの繁殖に実績をあげていたブダペスト動物園が再びホッキョクグマの飼育に意欲を燃やした結果であると考えれば、ブダペスト動物園はプール基地としての補完機能よりも、やはり自園でのホッキョクグマの繁殖を狙っていると考える方が説得力があるようにも私には思えます。(*後記 - その後の報道によれば今回のこの二頭のブダペストへの移動は売却ではないそうです。)





やはり欧露間のホッキョクグマ繁殖の協力関係は私が予想していたよりもはるかに急ピッチで進行していることがわかりました。こういった状況では、クラスノヤルスク動物園や今後イジェフスク動物園で野生個体同士のペアによる繁殖で誕生する「新血統」の若年個体は全て欧州とロシアで完全に独占されてしまうことは必至の情勢でしょう。日本のホッキョクグマ界では札幌の円山動物園が2009年にイコロとキロルの欧州個体との交換計画を打ち出してから飼育基準をクリアした新飼育展示場の完成までに約8年間も費やしているわけです。とにかく何事も日本は遅すぎるわけです。だいたい同園内の一連の新施設建設の中でもホッキョクグマの飼育展示場はほぼ最終の時点で建設工事が行われているという点でも不可解なのです。その前になんとか館だか、なんとかゾーンとか、わけのわからない施設の建設ばかり先行してやっていたのが奇妙なのです(そんなものに私は足など踏み入れたことはありませんが)。 あんなものなどどうでもよいからまず最初にホッキョクグマの飼育展示場の建設に着手していなければいけなかったのです。おっと、円山動物園はまだずっとましなほうで、その他の動物園は問題の認識にすら至っていないわけですが....。日本の動物園関係者はホッキョクグマの繁殖についての世界の情勢や潮流などには関心が薄く、そして危機感がなさ過ぎるのです。そして我々ファンの側にも問題意識が欠けているのも問題でしょう。



それから同じ報道の中でイジェフスク動物園のノルドはデンマークのコペンハーゲン動物園に移動すると報じられていますが、やはり予想した通りでした。以前にノルドはハンガリーに移動するといったイジェフスクの地元メディアの報道もあったわけですが、ハンガリーに行くのはシェールィとビェールィの双子だったというわけです。

さて、シェールィとビェールィの権利はモスクワ動物園が保持しているわけで、モスクワ動物園は俊敏な動きを見せているわけですが、次はいよいよノヴォシビルスク動物園のロスチクがどうなるかです。ロスチクの権利はノヴォシビルスク動物園にありますので、ロスチクがどの動物園に移動するかにモスクワ動物園がどう噛んでくるかが問題です。いよいよ興味深いことになってきました。ロシアのホッキョクグマ界からは目が離せない状況になってきました。

(資料)
Московский Комсомолец (Jan.16 2017 - В Подмосковье приехали детеныши самых знаменитых белых медведей Удмуртии)
(*追加資料)
Вести.Ru (Jan.17 2017 - За питомцами Московского зоопарка теперь можно наблюдать в Сети)
ТВ Центр - Официальный сайт телекомпании (Jan.17 2017 - Двух белых медвежат из России отправят в зоопарк Будапешта)
Life.ru (Jan.17 2017 - Зоолог: Белые медведи целуются, чтобы успокоить друг друга)
(*後記資料)
Комсомольская правда в Ижевске (Jan.19 2017 - Белые медвежата из Ижевского зоопарка переедут в Будапешт, а их папа – в Копенгаген)

(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2017-01-17 06:00 | Polarbearology

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