街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

プロフィールを見る

ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の冬の日の本能 ~ ロスチクの移動先は欧州以外か?

a0151913_20332091.jpg
ゲルダとロスチク Photo(C)Alexey Parfenov

一昨年2015年の12月7日にノヴォシビルスク動物園でゲルダお母さんから誕生した雄(オス)のロスチクは本当に成長しました。冬真っ盛りのシベリアを覆う雪はノヴォシビルスク動物園にもライがいなく積もっているわけですが、ロシアの動物園では意外にも。このような雪の上での親子一緒の姿を見ることができる機会は多くありません。何故ならばロシアの動物園は基本的に二年サイクルの繁殖が行われていますので、だいだい1月のこの時期には親子は引き離されているケースが多いからです。モスクワ動物園のシモーナは最近は三年サイクルの繁殖に移行していますので雪の上での親子の光景を見ることができますが、その他のロシアの動物園で見る雪の上のホッキョクグマには親子の姿は見られない場合が多いのです。

さて、こういった冬の日にホッキョクグマが雪を掘ってトンネルのようなものを作る光景というのは、日本では札幌の円山動物園で見ることができますが本州の動物園で見ることは不可能です。これはホッキョクグマが巣穴を作ろうとする本能から生じた行動であるとノヴォシビルスク動物園は説明しており、私もそれはおおむね正しいだろうと思っています。ゲルダお母さんとロスチクのそういったシーンをノヴォシビルスク動物園のSNSのページで見てみましょう。



この下は現地のファンの方々の撮影した映像です。ゲルダお母さんも本当に大変ですね。ロスチクの力が日々増していますので簡単にあしらうことができなくなっているわけです。











この親子がいつまでこうして一緒にいられるかはわかりません。以前からロスチクの移動についての交渉が複数の動物園となされているということが報じられています。イジェフスク動物園の双子兄弟であるシェールィとビェールィは揃ってモスクワ動物園ヴォロコラムスク附属保護施設からハンガリーのブダペスト動物園に移動すること、そして同じ場所から雌のミラーナがドイツの動物園に移動すること、さらにイジェフスク動物園からやはりモスクワ経由で雄のノルドがコペンハーゲン動物園に移動すること、これらは何か示唆的なものを感じます。シェールィとビェールィ、ミラーナ、ロスチク、ノルドは全て同じ血統(「アンデルマ/ウスラーダ系 (カザン血統 - Белые медведи Казанской линии)」です。そうなるとロスチクが欧州に移動するという可能性は非常に小さくなったという考え方が生じてきます。何故ならば、果たして欧州が同じ血統の幼年・若年個体を5頭も同時期に受け入れるのかという大きな疑問が生じてくるからです。そうなると欧州ではなくロシア国内の動物園がロスチクの移動先のような気もするわけで、考え得るのはロストフ動物園です。雄のテルペイは来年ペルミ動物園の新園に戻るはずですのでロスチクをコメタのパートナーにするという考え方は有り得ますが、しかしロスチクとコメタは共に同じ血統です。
a0151913_21474762.jpg
ゲルダとロスチク Photo(C)Новосибирский зоопарк

先日の報道ではノヴォシビルスク動物園の交渉相手は「世界の複数の動物園」という言い方がされていたわけです。ならばエストニアのタリン動物園に移動してノラのパートナーとなるという考え方もあるわけですがタリン動物園のノラもロスチクと同じ血統です。そうなると日本という可能性はやはりありそうです。しかし彼の年齢の雄(オス)のホッキョクグマが必要なのは雌(メス)の幼年・若年個体を所有している札幌と浜松になりますが、いずれも次世代の血統問題がネックになってきます。特に後者は極めて難しいでしょう。となると残るは札幌なのですが、仮に札幌が名乗りを挙げていたと仮定してもそれは昨年の夏頃だったはずで、その段階の時点ではあえてロスチクを導入する動機を札幌は全く感じていなかったでしょう。ですからロスチクの移動先として札幌は考えにくいでしょう。

さて、どうなりますか.....。

(*追記)このロスチクに関しては先日の「ロシアで誕生した個体が飼育されるのはロシアと欧州の動物園だけになる」といった方針がまだ適用されないはずの個体ですので移動先候補としての日本は可能性としては残るということです。

(資料)
НГС - Независимые Городские Сайты (Jan.23 2017 - Белые медведи ​Герда и Ростик вырыли себе берлоги в горе снега)
Новосибирские новости (Jan.23 2017 - Белые медведи Герда и Ростик вырыли берлоги в куче снега)

(過去関連投稿)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園でホッキョクグマの赤ちゃん誕生! ~ やはり出産していたゲルダ!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの登場を待つ人々 ~ その時を親子の意思に委ねる度量
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、一瞬姿を見せる ~ 'authenticity' への視座
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんがゲルダお母さんと本日、初めて5分間だけ戸外に登場!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダ親子の「国際ホッキョクグマの日」
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で誕生の赤ちゃんの「国際ホッキョクグマの日」の映像を追加
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの声を札幌のリラ、大阪のモモと比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの性別予想に盛り上がる地元 ~ 雄(オス)の予想に高い支持
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 親子関係を破壊しかねない来園者のエサやり行為
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、日曜日に来園者が入場に長蛇の列 ~ 大人気のゲルダ親子
ロシア・西シベリア、ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、生後100日を超える
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんは雌(メス)と判明 ~ 赤ちゃんはシルカの妹だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃんの命名への同園の迷い ~ シルカ同様の過熱を恐れる同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ ララ/アイラの多層的な親子関係と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃん命名について沈黙状態 ~ 「シルカ事件」から学ばぬ同園
ロシア・ノヴォシビルスク動物園が赤ちゃんの性別を訂正発表! ~ 赤ちゃんは雄(オス)だった!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダお母さんと赤ちゃんの近況
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんとオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)のプール開き
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の赤ちゃん、オイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が泳ぎ始める
ロシア・ノヴォシビルスク動物園生まれの二頭 ~ シルカ vs オイゼビウス (Ойзебиус - 仮称)
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダをシモーナと比較する ~ 母親と息子の実力は反比例?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のホッキョクグマ飼育展示場のライブカメラ映像配信、遂に復活!
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(Ойзебиус - 仮称)が間もなく生後半年が経過へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のオイゼビウス(仮称)の正式命名が後日行われる予定となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園の雄の赤ちゃんの名前が「ロスチク (Ростик)」に決まる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ シルカ/ゲルダとは非常に異なる親子関係
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子のライブ映像配信が二年前と同様に大人気となる
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチク、その日常の姿 ~ 経験を積んだゲルダお母さん
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ゲルダお母さんの機嫌を損ねないように巧妙に立ち回るロスチク
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの成長 ~ 「シルカの物語」を乗り越えられるか?
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダ親子の近況 ~ 「ゲルダ/シルカ」、「バフィン/モモ」と比較する
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子の姿 ~ 娘とよりも息子との関係が気楽か
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの近況 ~ 予想の難しい彼の将来の移動先
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子模様 ~ 「未完の大器」ゲルダ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの親子、その秋の日の姿
ロシア・ノヴォシビルスク動物園、ロスチクに手こずり始めたゲルダお母さん ~ 成長の確かな手応え
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチク、 地元のファンの暖かい視線に見守られ間もなく満一歳へ
ロシア・ノヴォシビルスク動物園で満一歳となったロスチク ~ 移動先候補の複数の動物園と交渉が進行中
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のゲルダとロスチクの冬の日 ~ シルカの「あの日」とロスチクの「その日」
by polarbearmaniac | 2017-01-23 21:30 | Polarbearology

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
エッセイ、コラム
街角にて
未分類

最新の記事

ハンガリー・ブダペスト動物園..
at 2017-03-25 21:00
ウクライナ・ムィコラーイウ動..
at 2017-03-25 13:00
ロシア北東部・サハ共和国、ヤ..
at 2017-03-24 15:00
ドイツ・ミュンヘン、ヘラブル..
at 2017-03-23 20:00
男鹿水族館のクルミと豪太のペ..
at 2017-03-22 23:30
ハンガリー・ブダペスト動物園..
at 2017-03-21 20:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2017-03-21 18:00
ロシア・ノヴォシビルスク市の..
at 2017-03-20 19:00
デンマーク・オールボー動物園..
at 2017-03-19 20:30
チェコ・ブルノ動物園の「国際..
at 2017-03-19 00:30

以前の記事

2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

ライフログ


人生と運命 1


スターリン―青春と革命の時代


モスクワは本のゆりかご


私のモスクワ、心の記憶


自壊する帝国 (新潮文庫)


甦るロシア帝国 (文春文庫)


嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)


ロシア 春のソナタ、秋のワルツ-1999-21st


それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影


ミチコ・タナカ 男たちへの讃歌 (新潮文庫)


わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝


ベルリン戦争 (朝日選書)


Hof――ベルリンの記憶


カチンの森――ポーランド指導階級の抹殺


北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)


慟哭の通州――昭和十二年夏の虐殺事件


主題と変奏―ブルーノ・ワルター回想録 (1965年)


藤田嗣治 異邦人の生涯


Barle's Story: One Polar Bear's Amazing Recovery from Life As a Circus Act


Hotel Adlon: Das Berliner Hotel, in dem die grosse Welt zu Gast war


Ein seltsamer Mann


Alma Rose: Vienna to Auschwitz


St Petersburg: A Cultural History


Gulag


The Guest from the Future: Anna Akhmatova and Isaiah Berlin