街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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アメリカ・サンディエゴ、シーワールドのスノウフレイクが繁殖目的で再びピッツバーグ動物園へ

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スノウフレイク (Snowflake the Polar bear/Белая медведица Снежинка - Сноwфлаке)
Photo(C)SeaWorld san Diego

雌(メス)の個体だけが飼育されている動物園というのは繁殖に関してはだいたい一つの方法しかありません。それは繁殖行動期間にあわせて他園から雄(オス)の個体の出張を受け入れるということです。繁殖行動期の期間限定の出張による移動は基本的にはあくまでも雄(オス)が行うべきであると言う考え方が世界的にも一般的です。数年間にわたってのことならば雌(メス)が移動するケースはいくつもあります(たとえばバフィンとかキャンディ)。ところが一方で、雌(メス)が繁殖行動期に短期間だけ雄(オス)のいる他園に出張移動するというケースを行っているのは多分世界でもこのアメリカ、サンディエゴのシーワールドの二頭の雌(メス)たちだけだろうと思います。

サンディエゴのシーワールドで飼育されている雌(メス)のセーニャ (1995年11月生まれ、札幌・円山動物園のキャンディのすぐ下の妹) は2013年、2014年のシーズンにペンシルベニア州のピッツバーグ動物園にそれぞれ繁殖行動期を含む期間だけ移動して同園の雄のコーダとペアを組みました。またセーニャと大の仲良しのスノウフレイク(1995年11月生まれ)は2014年のシーズンにセーニャと共にやはりピッツバーグ動物園に繁殖目的で出張しました。しかしこれらのいずれも彼女たちがサンディエゴのシーワールドに帰還した後に出産に至ったということはありませんでした。そしてとうとう2015年のシーズンにはシーワールドでスノウフレイクに人工授精が行われたわけです。これについては「アメリカ・サンディエゴ、シーワールドの19歳の雌のスノウフレイクに人工授精が試みられる」という投稿を是非ご参照下さい。その2015年にもスノウフレイクは出産に至るということはなかったのです。ホッキョクグマへの人工授精はまだ世界でも出産の成功例はありません。中国では行われれて成功しているかのような報道がありますが、それはデータなどが一切開示されておらず科学的な信頼性が全く無いというのが中国におけるホッキョクグマの人工授精に対する世界で共通した評価です。その件に関しては本ブログでは過去に何度も投稿しています。

さて、昨年2016年のシーズンにこのセーニャとスノウフレイクの繁殖に対してどのようなことが行われたのかはわかりません。しかし今年2017年のシーズンには21歳のスノウフレイクは再度ピッツバーグ動物園に期間限定の出張を行うことが決定しているとのことです。私は何故ピッツバーグ動物園にこだわるのかという点についてはやや疑問にも思うのですが、しかしピッツバーグ動物園はこうしたホッキョクグマの繁殖への取り組みには積極的ですし、やはり過去の経緯からシーワールドは自らが飼育しているホッキョクグマの繁殖をピッツバーク動物園のコーダが可能にしてくれるという信頼感もあるのでしょう。またこの試みはAZAのSSP (Species Survival Plan) を推進するホッキョクグマに関する委員会の推薦であるという事実もあるわけです。ところがこのスノウフレイクのピッツバーグ動物園での繁殖目的の出張移動について動物保護活動家は「スノウフレイクとセーニャは20年間も一緒に仲良く暮らしているのにスノウフレイクをピッツバーグ動物園に移動させれば残されたセーニャが可哀想だ。」と言って批判しているそうでシーワールドに対してスノウフレイクの移動を中止するように迫っています。全く困った人たちです。それを報じる地元のニュース映像をご紹介しておきます。



この移動に疑問があるとすれば、それは雌(メス)が繁殖行動期のみピッツバーグ動物園に移動してそこの雄(オス)とペアリングを行い、そして再びサンディエゴのシーワールド戻ってきて秋以降に出産準備を行うというやり方が本当によいのかといったことであり、残されたセーニャが寂しくなって可哀想だなどというのは全く的外れの批判でしょう。ここで昨年2016年の「国際ホッキョクグマの日」におけるスノウフレイクとセーニャの様子をご紹介しておきます。なるほど、これは仲の良い雌同士といった感じです。それから非常に興味深いことにこの二頭は個体識別が楽だと思います。セーニャは円山動物園のキャンディの妹であり顔つきがキャンディによく似ているからです。



それからこの下の映像は昨年2016年の12月に行われたスノウフレイクの21歳の誕生会の映像です。



スノウフレイクには幸運を祈りたいと思います。あそらく7月頃にはピッツバーグからサンディエゴに戻って来ることになるだろうと思いますが重要なのはその後でしょう。シーワールドでうまく出産への環境を整えてやってほしいものです。

(資料)
fox5sandiego.com (Feb.3 2017 - Plan to use SeaWorld polar bear for breeding sparks protest)
The San Diego Union-Tribune (Feb. 2 2017 - First killer whales, now polar bears? PETA goes after SeaWorld again)
The Pittsburgh Tribune-Review (Feb.28 2014 - Pittsburgh Zoo's lone male polar bear, 3 females mate to preserve species)
SeaWorld Parks & Entertainment (Dec.7 2016 - Happy Birthday, Snowflake!)

(過去関連投稿)
ビーグル犬のエルヴィス君の妊娠判定 (2) ~ サンディエゴ ・ シーワールドのセーニャは “妊娠”!
アメリカ・サンディエゴ、シーワールドのセーニャ、出産の有無の事実の発表ないまま元気に姿を現す
アメリカ・ペンシルベニア州、ピッツバーグ動物園のコーダの背負う責任 ~ 3頭の雌との間で繁殖を狙う
アメリカ・サンディエゴ、シーワールドのセーニャとスノウフレイクが出張先のピッツバーグ動物園から帰還
アメリカ・サンディエゴ、シーワールドの19歳の雌のスノウフレイクに人工授精が試みられる
by polarbearmaniac | 2017-02-04 21:00 | Polarbearology

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