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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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イタリア・ファザーノ、サファリ動物園の四歳のグラツィア(上野のデアの妹)、親子三頭同居は依然継続中

イタリア・ファザーノ、サファリ動物園の四歳のグラツィア(上野のデアの妹)、親子三頭同居は依然継続中_a0151913_1144588.jpg
グラツィア (Orso polare Grazia/Grace the Polar Bear) 
(上野動物園のデアの妹)
Photo:TripAdvisor

南イタリア・ファザーノのサファリ動物園 (Zoosafari di Fasano) で2012年12月24日にマリッサお母さんから生まれたのが雌(メス)のグラツィア (Grazia/Grace)です。このグラツィアは上野動物園のデアのすぐ下の妹にあたります。このサファリ動物園のマリッサお母さんというのは女腹のようで、今まで四頭生まれた子供は全て雌(メス)なのです。2003年にノエル(現 コペンハーゲン動物園)、2006年にジョヴァンナ(現 ヘラブルン動物園)、2008年にデア(現 上野動物園)、そして2012年にグラツィアを産んでいるわけですが、このグラツィアは依然としてサファリ動物園で暮らしています。母親のマリッサは現在23歳になっていますので、あと一回くらいは出産する可能性はあるものの娘のグラツィアが同居している間は無理だと思います。

以前から何度もご紹介してきましたが、このファザーノのサファリ動物園というところはホッキョクグマの親子に父親を同居させるという、世界の動物園では「禁じ手」となっていることを現在も実現させている唯一の場所であることに特徴があります(以前にはドイツのケルン動物園もこれを行っています)。現在上野動物園で飼育されているデアも父親との同居体験があることは以前にもご紹介しています。デアの妹であるグラツィアはすでに四歳になっていますが、やはり親子三頭での同居が続いています。最近の映像を見てみましょう。これは今年の5月のもののようです。実に壮観な光景です。



もう一つ見てみましょう。次は昨年2016年のプロモーション映像の一部でのシーンです。



このグラツィアですが、貴重な雌(メス)の個体ですし来年あたりから繁殖も可能な年齢になってきますから欧州内のどこかの動物園が食指を伸ばしているとみて間違いないでしょう。デアの時もすでに欧州の複数の動物園が当時すでに名乗りを挙げていたわけです。この現在四歳のグラツィア、果たしてどの動物園に行くことになるかは注目すべきことです。このサファリ動物園は欧州内にあるとはいえEAZA非加盟でEEPにも参加していませんので、ホッキョクグマとはいっても欧州域外に移動することが可能です。ただし前回のデアの場合もそうですが欧州域外でしたら、かなりの大都市の名前の通った動物園に行くことになるでしょう。そういった場所の動物園に個体を売りたいというのがイタリア人の奇妙なプライドなのです。ただし中国にだけは行ってほしくはないですね。

(*補足)
ホッキョクグマの母親が子供の育児中の飼育展示場に父親である雄(オス)のホッキョクグマを同居させることが「禁じ手」となっている理由はもちろん、父親が子供を襲う可能性があるからです。現在、世界でただ一つこれを行って成功しているのはイタリア・ファザーノのサファリ動物園であり、そして現在上野動物園で飼育されているデアも父親との同居経験があることはすでに述べていますが、それ以外の例というのは私が具体的に知る限りでは1990年代のドイツのケルン動物園です。オランダのロッテルダム動物園の偉大なる母であるオリンカも父親との同居体験があるということは知っていました。ところが最近ケルン動物園でかつてホッキョクグマが飼育されていた時代の映像をネットにアップされた方がいました。以下の二つの映像で、これらは共に1992年に撮影されたものだと記されています。この二つの映像は共に確かにホッキョクグマの母子が父親である雄(オス)と同居しているのを見ることができます。ただしこれを撮影された方はこの映像は1992年に撮影したと記してはいるものの、実はそれは不正確なのではないかと思います、何故なら同園ではこの映像が撮影されたと述べられている1992年の暮れにオリンカ(現ロッテルダム動物園)が誕生していますので、仮にこの下の映像の撮影年が1992年だっとすると、母親はこのように前回出産した子供が一緒にいるもにかかわらず発情して雄(オス)との間で繁殖行為を行い同じ年の年末に出産したということになってしまうからです。ということはつまり、この二つの映像が撮影されたのは1991年もしくは1994年が正確なのではないかと思うわけです。確率的には前者が有力だと思います。仮に後者の1994年だった場合、この映像には幼年期のオリンカの姿が映っているということになります。






(過去関連投稿)
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by polarbearmaniac | 2017-06-08 01:30 | Polarbearology

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