人気ブログランキング | 話題のタグを見る


街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_213392.jpg
バフィン(右)とモモ(左)はかなり特異な親子のようである。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_21591332.jpg
母親のバフィンは完全にモモを庇護しているが、モモは自分の自由を謳歌しているもののバフィンの母親としての支配力を全く息苦しく感じていないようである。つまり親子関係としてはまさに理想的な調和を保っているのだ。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_211941.jpg
私にはこの親子がこういった関係となることを以前には予想できなかった。大阪では理解できなかったことがここ浜松でようやく理解できた。バフィンとモモは実に素晴らしい親子である。このバフィン親子の特質と真の魅力を味わうためには、実は相当の理解力が必要であることがようやくわかった。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2122845.jpg
今日も日差しの非常に強い日である。必然的に気温も高いのだが吹いてくる風は意外に爽やかである。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2131270.jpg
バフィンは朝からゆったりとしている。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_21274672.jpg
モモはお疲れのようである。昨日の日曜日に遊び過ぎたのかもしれない。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_21111518.jpg
しかしやはりこの二頭は水に入る。次の映像は20分間の長さがあるが、眠気を感じるようなゆったりとした親子の様子である。記録用としてのみ貼り付けておきたい。


バフィンとモモの水の中の一日 - Baffin and Momo the polar bear Mother and daughter, in the water today at Hamamatsu Zoo (Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2213810.jpg
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2243892.jpg
まだまだ母親に甘えるモモ。


二歳半のモモへの授乳 - Baffin the Polar Bear nurses her two and half years old cub Momo, at Hamamatsu Zoo(Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2212450.jpg
遊びの時間への間合いを計っているモモ。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_22153995.jpg
「我が人生 (Bear's life)は遊びそのものである。」と思っている精悍な顔つきのモモである。


モモの遊び - Momo the Polar Bear jumps into the water, kicking away her favorite toys, at Hamamatsu Zoo(Hamamatsu Zoological Gardens), Japan, on Jun.12 2017.

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_22233286.jpg
よく言われるようにモモがお転婆だというのは私は少し違っていると思っている。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2218274.jpg
モモの遊びは意外に節度を保っているのだ。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2226773.jpg



バフィンとモモの期待感 - Baffin and Momo the Polar Bears' feeling of expectation, at Hamamatsu Zoo, Japan, on Jun.12 2017.

バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_22342141.jpg
バフィンとモモとの関係はララと彼女の子供たちとの関係とはかなり異なっている。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_2232661.jpg
ララと彼女の子供たちとの関係は一種のメリハリの効いた関係である。そこには母親から子供たちへの「原因」としての働きかけがあり、そして子供たちは「結果」としてのそれに対する敏感な反応を示すという関係であり、そこには外から見ていて一つの物語を感じるのである。その物語は時間の推移によって進行していく。つまりララ親子の関係には時間軸を持った「起承転結」のドラマがあるのである。ところがバフィンとモモとの関係は何かフワリとしていて柔らかさを感じる。バフィンとモモとの関係はそこに物語を読み取るということではなく、親子の間に漂っている霞のような雰囲気にこそ見るべきものがあるのだ。だからバフィン親子の間の関係に時間の推移といったものによって進行していくドラマを期待しても肩透かしを食らう。何故ならバフィン親子の関係は時間軸ではなく空間軸によって展開しているからである。そういったララ親子の関係とバフィン親子の関係との本質的な違いを理解しなければバフィン親子の関係の本当の魅力を味わうことは難しいと思う。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_22385555.jpg
ララ親子の間の関係を観察するのはスタンダールの小説を読むようなものである。スタンダールの小説の登場人物の行動は一つの出来事に対する反応が引き起こす行動という形をとって次の段階の状況が生じ、そしてその新しい状況に対して別の登場人物が反応して次の行動を行う。それによってドラマは進行しそして一定の結末という形をとる。つまりスタンダールの小説は時間軸によって展開していくのである。ところが一方でバフィン親子の関係を観察するのはチェーホフの小説を読むようなものである。チェーホフの作品では一つの出来事が必然的に次の状況をもたらすとは必ずしも言えない。そして作り出されるのは登場人物が存在・共存している空間における共有感情であり、それは登場人物の次の行動をもたらすものとは必ずしも言えない。だからチェーホフの作品は時間軸では理解しにくい。だからチェーホフの作品やバフィン親子の間の関係は「未完のドラマ」なのだ。
バフィンとモモの月曜日に見るチェーホフ的世界の親子関係 ~ ララ親子との違いを考える_a0151913_22515197.jpg
Nikon D5500
Tamron 16-300mm F/3.5-6.3 DI II VC PZD MACRO
Panasonic HC-W870M
(Jun.12 2017 @浜松市動物園)

(*追記)
参考までにこの下の映像は上のバフィンとモモの最初の映像と同じく約20分近い長さのある水の中でのララ親子の映像である。そこに見ることのできるのはまさに「時間軸」で展開されるドラマである。ここにはバフィン親子とはかなり違う世界が展開している。この映像には、機会あらば母親のララの支配と影響を瞬間的ではあれ脱することを狙っている娘のリラの姿がある。しかしララは手練手管を用いてそういったリラの行動を操縦して自分の側に引き付けてしまうわけである。



ララ親子の水遊び - Lara the polar bear plays with her female cub in the water(2), at Sapporo Maruyama Zoo, Japan, on Jul.23 2015.
by polarbearmaniac | 2017-06-12 23:00 | しろくま紀行

カテゴリ

全体
Polarbearology
しろくま紀行
異国旅日記
動物園一般
Daily memorabilia
倭国旅日記
しろくまの写真撮影
旅の風景
幻のクーニャ
飼育・繁殖記録
街角にて
未分類

最新の記事

........and so..
at 2023-03-27 06:00
モスクワ動物園のディクソン(..
at 2023-03-26 03:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-25 02:00
ロシア・西シベリア、ボリシェ..
at 2023-03-24 02:00
鹿児島・平川動物公園でライト..
at 2023-03-23 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-22 03:00
名古屋・東山動植物園でフブキ..
at 2023-03-21 01:00
ロシア・ノヴォシビルスク動物..
at 2023-03-20 02:00
モスクワ動物園のディクソン ..
at 2023-03-18 22:20
ロシア・サンクトペテルブルク..
at 2023-03-18 03:00

以前の記事

2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月

検索