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街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


by polarbearmaniac

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ロシア・カザン市動物園がバルナウル動物園にホッキョクグマ飼育新規参入への協力を申し出る

ロシア・カザン市動物園がバルナウル動物園にホッキョクグマ飼育新規参入への協力を申し出る_a0151913_321354.jpg
マレイシュカ (Белая медведица Малышка/Eisbärin Malyshka)
(2015年8月14日撮影 於 ロシア、カザン市動物園)

今回の投稿の内容はかなりのマニア向けの内容です。非常に小さなニュースなのですが、その背景には大きな意味が潜んでいるという感じがします。
ロシア・カザン市動物園がバルナウル動物園にホッキョクグマ飼育新規参入への協力を申し出る_a0151913_3513320.jpg
以前、ロシア西シベリアのバルナウル動物園 (Барнаульский зоопарк) がホッキョクグマの新規飼育を希望して個体の入手についてモスクワ動物園に交渉を持ち込んだというニュースをご紹介しています(「ロシア・西シベリア、バルナウル動物園が狙うホッキョクグマ飼育展示への新規参入 ~ 可能なのか?」)。それに対してモスクワ動物園はバルナウル動物園の依頼を断ったというニュースもご紹介しています(「モスクワ動物園、ホッキョクグマ繁殖に三年サイクルを導入か? ~ バルナウル動物園の個体入手希望に不承諾」)。つまりこのことは、いかにロシアの動物園においてホッキョクグマ飼育飼育への新規参入が難しいことであるかを示しているわけです。新規参入のためには巨額の資金を投入して飼育環境の良好な近代的なホッキョクグマの飼育展示場を建設せねばならなくなっているのがロシアにおける状況なのです。さて、ところがバルナウル動物園はどうしてもホッキョクグマの飼育を行いたいという希望を捨て去ってはいなかったようです。
ロシア・カザン市動物園がバルナウル動物園にホッキョクグマ飼育新規参入への協力を申し出る_a0151913_3335531.jpg
マレイシュカ (Белая медведица Малышка/Eisbärin Malyshka)
(2015年8月14日撮影 於 ロシア、カザン市動物園)

ここからが報道記事の内容です。先日、ロシアのタタールスタン共和国からの代表団がバルナウル市を公式訪問したそうですが、その代表団のメンバーにカザン市動物園の園長さんが入っており、その方はバルナウル動物園を見学して同園の園長さんに対して、現在ロシアが国として取り組んでいるホッキョクグマの保護とその研究に対してバルナウル動物園の参加を誘い、さらにバルナウル動物園におけるホッキョクグマ飼育のための園内の施設改良についての助言を行うスタッフの派遣を含む協力を申し出てきたそうで、バルナウル動物園の園長さんはその申し出を受諾したようです。カザン市動物園は現在、新しい動物園の建設工事中であり、ホッキョクグマ飼育展示場も飼育環境の優れたものが完成することになるわけですが、そういった飼育展示場の設計や改良のノウハウをバルナウル動物園に提供したいという考えのようです。バルナウル動物園の園長さんは一年以内にホッキョクグマの飼育展示場建設の計画を完成させるという意向だそうです。

さて、報道記事の内容の背後からいくつかの予想を組み立てることが可能です。まず、バルナウル動物園(この動物園は公営ではなく個人所有のようです)がホッキョクグマの飼育展示場を完成したときにどこからホッキョクグマを入手するかです。第一の可能性としては協力を申し出てきたカザン市動物園からでしょう。となれば、現在ブラジルのサンパウロで飼育されていて間もなくカザンに帰還するはずのピリグリムとオーロラとの間で繁殖に成功した個体ではないかと考えられます。マレイシュカということは全く有り得ない話でしょう。第二の可能性としてはノヴォシビルスク動物園からでしょう。カイ(クラーシン)とゲルダとの間での繁殖に成功した第三子に白羽の矢が立つ可能性があります。これは有望である感じがします。現在ノヴォシビルスク動物園で別飼育となっているロスチクは、いくらなんでも今後一年以上もそのままノヴォシビルスク動物園に留まり続けるということは考えにくいわけで、そうなると彼がバルナウル動物園に移動することも可能性はほとんどないでしょう。このロスチクは「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」に属していますが、欧州の繁殖計画(EEP)を構成する個体群への参加ができないためにノヴォシビルスク動物園での待機状態が継続していることはまず間違いない話であり、そうなると彼の弟か妹(つま両親の第三子)は尚更欧州に行くことは困難よなってロシア国内に留まることになるはずです。となれば、ノヴォシビルスクから非常に距離の近いバルナウルに移動する可能性は非常に大きくなるわけです。

非常に興味の湧いてくる状況になってきました。

(資料)
vesti22 (Sep.13 2017 - В Барнаульском зоопарке может поселиться белый медведь)
Амител (Sep.10 2017 - Работники барнаульского зоопарка собираются в арктическую экспедицию)

(過去関連投稿)
ロシア・西シベリア、バルナウル動物園が狙うホッキョクグマ飼育展示への新規参入 ~ 可能なのか?
モスクワ動物園、ホッキョクグマ繁殖に三年サイクルを導入か? ~ バルナウル動物園の個体入手希望に不承諾
ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスチクの移動時期が迫る ~ バルナウル動物園への移動は否定
by polarbearmaniac | 2017-09-14 03:00 | Polarbearology

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