街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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オランダ・エメン動物園で成功する若年個体の多頭同居 ~ エンリッチメントを乗り越える試み

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Photo(C)Brocks/Nord24

オランダのエメン動物園 (WILDLANDS Adventure Zoo Emmen) といえば欧州における雌(メス)の幼年・若年個体のホッキョクグマの集中プール基地として機能しています。現在同園には2012年11月にオランダの「動物帝国」で生まれたノルチェ、2013年12月にミュンヘンのヘラブルン動物園で生まれたネラ、2013年12月にドイツのブレーマーハーフェン臨海動物園で生まれたラーレ、2015年12月にやはりブレーマーハーフェン臨海動物園で生まれたリリーという四頭が飼育されています。現在ではこの四頭は同時に飼育展示場に登場してうまく同居がなされているようです。

この四頭が同居している映像をご紹介しておきます。実に壮観です。二番目の映像は40分という長い映像で、こういった映像があると非常に助かります。





映像を見ていて感じるのですが、この四頭は同じ年代の日本の雌(メス)のホッキョクグマたち(マルル、ポロロ、ミルク、シルカ、リラ、モモ)と比較すると幾分不器用な印象を持ちます。そう感じる理由はおそらく日本のホッキョクグマたちのほうが多種多様なおもちゃを数多く与えられ、そういったものでうまく遊ぶやり方を習得しているからだろうという感じがします。しかしここで考えてみなければならないことがあります。このエメン動物園のホッキョクグマ飼育展示場は総面積が6000㎡という広さがあり、しかも多頭飼育を行っているためにエンリッチメントとして多くのおもちゃを与える必要性があまりないだろうという考え方が根底にあるだろうということです。つまり、飼育展示場の広さというものをメリットにしてホッキョクグマへのエンリッチメントというものを多頭同居によって置き換え、そして現在世界の動物園で行われているエンリッチメントというものを乗り越えていこうという試みだろうということです。こういった観点に立ちますと、多彩な形状のおもちゃを与えられることによって修得した日本のホッキョクグマたちの器用さというものは、実は日本の動物園における飼育展示場の不十分さを映し出しているといった考え方が生じてくるわけです。私はこのエメン動物園をはじめとして欧州のいくつかの動物園においては、エンリッチメントといった概念を乗り越えようという試みがなされていることを感じざるを得ません。欧州の先進的な考え方を持つごく少数の動物園の飼育担当者は、仮に日本の動物園に暮らすホッキョクグマたちの器用で見事なおもちゃさばきの映像を見たとしても冷ややかな視線を投げかける可能性は否定できないかもしれません。

(資料)
Nord24 (Sep.11 2017 - Eisbärinnen aus Bremerhaven: Lili und Lale in Emmen vereint)

(過去関連投稿)
欧州がホッキョクグマの幼年・若年個体をプールする 「集中基地」 を計画 ~ 雌はオランダ、雄はイギリスへ
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オランダ・エメン動物園でのノルチェとラーレの近況 ~ 後退を余儀なくされた円山動物園の個体交換構想
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ドイツ・ミュンヘン、ヘラブルン動物園のネラとノビの双子が同園を出発、オランダとイギリスに到着
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オランダ・エメン動物園に移動したドイツ・ブレーマーハーフェン臨海動物園のリリー
by polarbearmaniac | 2017-10-15 18:00 | Polarbearology

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