街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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ロシア東北端・チュクチ半島のリィルカイピ村の約20頭のホッキョクグマたち ~ 正論 vs. 文化的思考

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Photo(C)Иван Мизин

ロシアの最新の報道によりますとロシアの東端にあるチェクチ半島のリィルカイピ(Рыркайпий)村の周囲に約20頭ものホッキョクグマが居付いて村から離れなくなってしまっているそうです。ホッキョクグマたちを村から追い払うために専門家チームが組織されたとのことです。何故このようなことになってしまったかということですが、このリィルカイピ村の付近の海岸には秋になると多くのセイウチが現れるそうで、このあたりがセイウチの保護地域となっていることもあってか5000頭近くのセイウチが姿を見せ、それに引き寄せられるように多くのホッキョクグマたちも集合してきたそうです。この地域における秋も間もなく終わる時期になってセイウチたちは姿を消してしまいホッキョクグマたちの大部分もそれにつれて離れていったものの約20頭のホッキョクグマたちはこの場所に居残ってしまったということだそうです。
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ホッキョクグマが侵入した村の住居 
Photo:Движение в защиту БЕЛОГО МЕДВЕДЯ

彼らは食べ物には困っていない様子だそうですが、それは彼らがセイウチを襲った食べ残しがまだあるためだそうですが、3~5歳ほどの若いホッキョクグマたちは好奇心のためか村にある人間の住居に近寄り、そういった彼らの中には住居に押し入ってしまったホッキョクグマもいるそうです。

このリィルカイピ村については以前に「ロシア極北 チュクチ自治管区の村落、リィルカイピの人々とホッキョクグマとの関係」という投稿を行っています。そこでもご紹介していましたが、この村の住民はホッキョクグマをそれほど恐れてはいないようで以前から食べ物なども与えているケースがよくあったわけです。たとえばこれは昨年の映像ですが住居の中からホッキョクグマに食べ物を与えるちった例はこの地域にはよくあるようです。



やはり以前に「ロシア橋北地域で働く人々とホッキョクグマの不思議な関係 ~ 「蜂蜜(мёд)を食べるお方」への敬意」という投稿を行っていますが、ロシア人とクマとの関係には独特のものがあるようです。こういったものには間違いなく歴史的・文化的背景があると考えられます。「野生のホッキョクグマに食べ物を与えてはいけない」というのは正論であり Zoological correctness です。しかしそういった正論は一度言ってしまえばそれ以上でも以下でもない、ただそれだけのものであって思考が停止していて発展性が無く、私はそういった正論にはあまり興味はありません。私が知りたいのはその文化的な背景です。



こうやって食べ物を与えても時期が来ればホッキョクグマたちは別の地域に移動してしまうわけで人間の住む村にずっと居ついてしまうということはありません。昔からこの地域に住む人々はそれをわかっているわけです。ホッキョクグマたちと適当にうまく付き合っていくといったような大陸的姿勢こそがこの地域に住む人々のしたたかさでしょう。こういった姿勢はカナダにはありません。

(資料)
РИА Новости (Oct.19 2017 - Белые медведи обосновались рядом с чукотским поселением)
Вести.Ru (Oct.19 2017 - Опасное соседство: около 20 белых медведей обосновались рядом с селом на Чукотке)
ТАСС (Oct.19 2017 - Занесенные к Красную книгу белые медведи обосновались рядом с селом на Чукотке)

(過去関連投稿)
ロシア極北・ネネツ自治管区のウスチ・カラ村に現れたホッキョクグマ ~ 人とホッキョクグマの生命の尊重
ロシア極北・ネネツ自治管区のアンデルマの街とホッキョクグマたち ~ 人に身近な存在のホッキョクグマ
ロシア極北 チュクチ自治管区の村落、リィルカイピの人々とホッキョクグマとの関係
ホッキョクグマ・アイカ と レディン一家の物語 ~ 愛情の日々、そして悲劇的な終末へ
ロシア橋北地域で働く人々とホッキョクグマの不思議な関係 ~ 「蜂蜜(мёд)を食べるお方」への敬意
by polarbearmaniac | 2017-10-19 20:00 | Polarbearology

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