街、雲、それからホッキョクグマ ~ Polarbearology & conjectaneum


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仙台・八木山動物公園、苦心するホッキョクグマの繁殖成功への試み

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2005年のラダゴル(カイ) (Белый медвежонок Ладогор)
Photo(C)Ленинградский зоопарк

秋篠宮殿下が17日に仙台市の八木山動物公園を訪問されたことを報じる記事が出ていますが、その中で同園の園長さんは殿下に対して、ホッキョクグマの繁殖状況については試行錯誤しながらも繁殖に結び付いていないということを述べたということが報じられています。これは確かに気になる点ではあります。
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ウスラーダとラダゴル(カイ)(Белая медведица Ладогор и Медвежонок Ладогор) Photo(C)Ленинградский зоопарк

同園で繁殖が期待されているのは雄(オス)のラダゴル(カイ)と雌(メス)のポーラという、どちらも間もなく13歳になるペアです。同園はこのペアの飼育を開始した時点から将来の繁殖の成功について強い意欲を示していたわけで、この二頭を幼年期にはあえて同居させないといったことまで行っていたはずです。つまりかなり腰の据わった姿勢で繁殖に向き合ってきたということはいくつかの例でも私には伝わってきたわけです。この仙台のペアは血統的にも優れたペアであり、特に雄(オス)のラダゴル(カイ)はレニングラード動物園の女帝であるウスラーダの息子であり、しかも彼は母親であるウスラーダと最も長い時間を過ごした息子だったわけです。この点で言えばモスクワのシモーナと双璧であったわけです。ラダゴル(カイ)とシモーナの共通点は精神的安定性にあるといえましょう。特にラダゴル(カイ)は常同行動とは縁の遠いホッキョクグマであり気質的にも温和な性格です。「アンデルマ/ウスラーダ系(カザン血統)」という繁殖能力に優れた血統集団に会って彼の繁殖能力を懐疑的に考えることは難しいでしょう。一方のポーラは姫路のユキの妹でありセルビアのパリッチ動物園でシンバから誕生しているわけですが父親(ビョルン・ハインリヒ)の血統も素晴らしく、この父親の弟であったロッテルダム動物園の故エリックはオリンカとの間で数回の繁殖に成功していますからポーラの血統にも何ら問題は無いわけです。


ラダゴル(カイ)とポーラ (Ladogor/Kai and Paula the Polar Bears have a time of their own, at Zoo Paradise Yagiyama, Sendai, Japan, on May.25 2017.)

園長さんが「試行錯誤しながら」と語っているのはおそらくこの二頭の毎年の同居開始時期や同居期間を毎年いろいろと変更しながら試みてきたという意味だろうと私は思っています。このまま気長に見守ろうといった姿勢もあるとは思いますが仮に今年も繁殖に成功しなければ来年はともかくとして再来年の2019年の繁殖シーズンはペアの組み替えを行ってみる手はあるでしょう。候補としてはポーラの姉であるユキを姫路から仙台に連れてくる選択肢とか、旭川のピリカを仙台に連れてくる選択肢の二つのうち一つではないでしょうか。その前提としてラダゴル(カイ)の繁殖能力についての検査も必要になるかもしれませんが、ウスラーダの子供たちに繁殖能力のない個体がいるとは極めて考えにくいと思います。

私は日本に暮らす雄(オス)のホッキョクグマの中ではこの仙台のラダゴル(カイ)が最も好きですね。それは、彼の存在と姿にはホッキョクグマという種の「中心」にあるものが彼に最も備わっているように感じるからです。最近は威厳を増してきていて彼の父親である故メンシコフの在りし日の姿の片鱗を垣間見せてくれるような印象を持っています。

(資料)
河北日報 (Nov.18 2017 - 秋篠宮さま、八木山動物公園を視察)
朝日新聞 (Nov.18 2017 - 秋篠宮さま、八木山動物公園視察)

(過去関連投稿)
(*ラダゴル/カイ関連)
仙台・八木山動物公園のカイのロシア時代の写真
ウスラーダお母さんの10番目の子供、カイ (八木山動物公園 / ロシア名 : ラダゴル )のロシア時代の姿
ロシアのマスコミ、カイ(仙台)とロッシー(静岡)の地震・津波からの無事を大きく報じる
カイ (仙台・八木山動物公園 / ロシア名:ラダゴル) とウスラーダお母さんの物語
カイの素顔 ~ 「黄金の中庸(Aurea Mediocritas)」 としての存在、そして将来の可能性
初夏の日のカイ (ラダゴル) ~ 女帝ウスラーダが手塩にかけて育てた「正統派ホッキョクグマ」

(*ポーラ関連)
25年前の東ドイツにいた「もう一頭のクヌート」 ~ ユキ(姫路)とポーラ(仙台)の父親の物語
セルビア・パリッチ動物園のビョルン・ハインリヒ死す ~ ユキ(姫路〕 とポーラ(仙台) の父親の訃報
セルビア・パリッチ動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) がハンガリーのソスト動物園へ
ハンガリー、ニーレジハーザのソスト動物園の28歳のシンバと36歳のオーテクの老境に咲く満開の花
ハンガリー・ニーレジハーザのソスト動物園、シンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の夏の日
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園のシンバ (姫路のユキ、仙台のポーラの母) の近況
ハンガリー・ニーレジハーザ、ソスト動物園でのフィーテの冬の日 ~ 三十歳のシンバとの同居

(*2017年 八木山動物公園訪問記)
国内最高齢の32歳になったナナ、その優雅さと上品さの底に流れている精神の若々しさと瑞々しさ
ラダゴル(カイ)に備わってきた威厳 ~ 飼育展示場の空間的支配力を完全に確立
ポーラに迫りつつある正念場 ~ パートナーに増した威厳によって生じた行動の変化は好機?
ズーパラダイス八木山のホッキョクグマたち ~ 欧州・カナダ・ロシアのホッキョクグマ界の縮図を体験
ズーパラダイス八木山の二日目 ~ マイペースのホッキョクグマたち
by polarbearmaniac | 2017-11-19 00:30 | Polarbearology

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